• Facebook でシェア
  • X でシェア
  • LINE でシェア

【カンボジア】シェムリアップの奇跡!2万人が震えた春分の朝日

也木すず

也木すず

カンボジア特派員

更新日
2026年4月1日
公開日
2026年4月11日

カンボジア、シェムリアップの象徴・アンコールワット。この聖なる遺跡が、1年で最も神秘的な姿を見せる瞬間をご存知でしょうか。それは春分と秋分の時期のみ、太陽が中央塔の真上から昇るというのです。
2026年3月22日、筆者は2万人もの観衆とともに、その奇跡の光景を待ちわびました。まだ真っ暗な早朝にバスに乗り込み、暗闇を歩き、辿り着いた先で目にしたのは、まるで「火の玉」のような力強い太陽の輝き。
今回は、年に一度の御来光に最大の歓声が上がる当日の様子をご紹介します。

AD

「地球の歩き方」に誘われて

  • 地球の歩き方(D22)アンコール・ワットとカンボジア2025~2026年版表紙

「星がまたたく夜空に、白い絵の具をにじませるように、静かに東の空が明けていく。暗くて何も見えなかった周りにアンコール遺跡群のシルエットが浮かび始める。やがて大地と空の境が白く光った瞬間、太陽が昇り始め、大地が照らされる。神々が目覚める瞬間だ。夕方、神々が眠りにつく頃には、くっきりと輪郭を浮かばせた真っ赤な太陽が西のジャングルに沈んでいく。何百年、何千年と毎日繰り返されてきたことなのに、なぜか、誰もがその瞬間だけは、特別な思い出として心に刻みつける。いにしえの人々も眺めたであろう日の光は、今も変わらず神々の大地を照らし続けている。アンコール遺跡で見るサンライズ、サンセットは壮大で、神々しく、一生心に残る体験となるだろう。」

これは「地球の歩き方(D22)アンコール・ワットとカンボジア2025~2026年版」冊子に書かれたアンコール・ワットのサンライズ、サンセット紹介の冒頭文の抜粋です。
これを読んで、朝日を見ずにいられましょうか。筆者はこれを読んでアンコール・ワットの御来光を拝みに行くことを決めました。

春分の日の御来光

【4:50: 真っ暗なチケットセンター到着。すでに漂う異様な緊張感。】

当日チケットを購入する必要があったので、ホテルのフロント集合が5:00から4:40集合に変更になりました。チケットは前日までに購入しておくのが得策です。

【5:00: 交通規制。バスを降り、群衆とともに「ぞろぞろ」と暗い道を進む足音】
バスやトゥクトゥクが入れるのはここまで、とガードレールのようなものが設置されていました。VIPを除く一般の人々はぞろぞろと暗闇を歩きます。街灯などなく、本当に暗いのでガイドさんのライトに助けられました。このあたりでチケットチェックがありました。各々チケットを所持し、すぐ出せるようにしておくとよいでしょう。

【5:36: 正面封鎖の絶望。しかし、ガイドの機転で「左側の入り口」へ】
群衆の熱気のせいか夜明け前なのに蒸し暑く汗がにじんできます。はやる気持ちで足が自然と急ぎ足になり、これまた暑さを助長してしまう。浮き橋を渡り、ようやくアンコール・ワットの門にたどり着くと、昨日くぐったはずのかつては王様専用の門だった中央の門が封鎖されていたのです。「えっ、入れないの?」と言いかけるやいなや「左へ行きましょう。左の方が綺麗に見えますから。」とガイドの案内で筆者は左の門へ。狭い門には人だかりができてしまい、なかなかスムーズに進めません。チラッと見えたアンコール・ワットを写真におさめると、いつのまにか薄っすらと空がピンクがかっていたことに気が付きます。

5:40 全体像がやっと見えた!空は白々明け始めていた】
日の出は6:10でしたが、30分前でだんだんと明るくなっていました。この門の入り口で立ち止まる人が多いため、ここからなかなか進めませんでした。スマホライトでもいいかもしれませんがライトを持っておくことをおすすめします。

5:50: ピンクに染まる空と、芝生まで埋め尽くした「2万人」のシルエット。
夕日とも思えるようなコーラルピンクの空の色は,今朝の苦労のせいか今まで見た朝日の空の色の中で一番美しく感じます。アンコール・ワットがよく似合うピンクともオレンジとも言えない空の色でした。この門からの景色はフォトスポットですが、この日に撮ることは正直難しいと感じました。前日か翌日再訪されるのが良いと思います。

【6:00: 日の出10分前の空は、一度真っ白に。】

ピンクがかった空が、真っ白になりました。このまま日があけてしまうのかと少し不安になったのはこの時です。通路も入口の門も人がびっしりと詰め寄っていました。少しづつ気温が上がってくるのを感じます。

【6:23: 人々の歓声が聞こえてきた!】
アンコール・ワットの左端に真っ赤な、まるで火の玉のような太陽が顔をのぞかせました。その姿に一部の人が歓声をあげます。まだ正面の通路の人たちには見えていないようでした。この後も場所によって見えている人とそうでない人がいるので、歓声がずれて聞こえてきました。
※写真は姿が見え始めてから3分後です。

 

春分と秋分。太陽が真東から昇り、昼と夜の長さが等しくなるこの日は、古来より人類にとって特別な「聖なる日」です。エジプトのギザやメキシコのチチェン・イッツァのように、世界各地の古代遺跡には太陽信仰の記憶が刻まれていますが、ここカンボジアの地にあるアンコール・ワット(Angkor Wat)もまた、天体観測の結晶のひとつです。

この巨大な石造寺院は12世紀前半、30年の年月をかけて建立されました。参道の中心線は、春分・秋分の日の出のラインと寸分違わず重なるよう設計されており、この日、太陽は中央塔の真後ろから姿を現すのです。現代のような精密な測量機器も存在しない800年以上前に当時のクメール人たちは、どうやってこの巨大な石の塔を配置できたのでしょうか。中央塔に太陽が重なるその瞬間、アンコールワットは単なる石の建築物ではなく、天と地を繋ぐ「宇宙の縮図(須弥山)」として完成されると言われています。

 

天文学的な「春分の日(Equinox)」は、2026年3月20日でした。しかし、アンコールワットの中央塔の真上から朝日が昇る「パーフェクト・アライメント」が見られる日は、「3月20日〜23日」の数日間にわたります。特に今年(2026年)に関しては、ふたつの理由で3月22日が「ベスト」かつ「最大の人出」になったようです。

一つ目は、観測上の「真上」が22日だったこと。現地のガイドコミュニティや天体観測データによると、2026年は3月22日が最も中央塔の先端に太陽が重なる日として予測・共有されていました。実際、カンボジア政府や現地の観光局も、この21日〜23日をメインイベントとして告知していました。

二つ目は日曜日と重なったこと。3月22日は日曜日でした。そのため、平日の20日(金)よりも、地元のカンボジア人家族やプノンペンからの国内旅行者が爆発的に増えたようです。ガイドさんによると、8割がカンボジア現地の方で、外国人観光客は2割ほどでした。

一生に一度のアンコール・ワットでの御来光を拝むのであれば、ぜひ次の秋分の日もしくは、来年の春分の日に計画してみてはいかがでしょうか。

 

トップへ戻る

TOP