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【フランス】カンヌ絶賛『急に具合が悪くなる』、パリと京都を舞台に日仏の心の交流描く

守隨 亨延

守隨 亨延

フランス特派員

更新日
2026年5月19日
公開日
2026年5月19日
©︎Yukinobu Shuzui 左から濱口竜介監督、岡本多緒さん、ヴィルジニー・エフィラさん、長塚京三さん、黒崎煌代さん

フランス南部のカンヌで開かれている第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、濱口竜介監督の映画『急に具合が悪くなる』の公式上映が行われました。現地では濱口監督の他に、W主演のヴィルジニー・エフィラさんと岡本多緒さん、そして長塚京三さんと黒崎煌代さんらが参加しました。

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介護施設職員とがん患者の交流

©︎2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula – Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners

『急に具合が悪くなる』は、介護施設で理想のケアの在り方を探求するマリー・ルー(ヴィルジニー・エフィラさん)と舞台演出家でありステージⅣのがん患者である真理(岡本多緒さん)を軸に進んでいきます。同じ名前を持つふたりが偶然に出会い、やがて友情という枠組みをも超えた深い絆を結んでいく姿を、パリと京都を舞台に描いています。

その脇を、真理の演出を表現する役者・吾郎として長塚京三さん、吾郎の孫で自閉症スペクトラム症の智樹を演じる黒崎煌代さん、介護施設の看護師役であるマリー・ビュネルさんが固めています。

物語はパリのシーンからスタート。介護施設内の描写を中心に進んでいきますが、時折映し出させるパリ市内13区などの情景は、パリに思い入れのある人であれば、とても気にいるはず。いずれもパリ市内における人々の普段の生活とパリという国際都市が交差する「ほどよい」場所でロケ地の選び方も唸らせます。

公式上映後は長く大きな拍手に包まれる

©︎Kazuko Wakayama 公式上映時のレッドカーペット

5月15日に開かれたコンペティション部門の公式上映では、エンドロールが流れ出すと14分の拍手とスタンディングオベーション。濱口監督は「ここ(カンヌ)に来られたことを心から嬉しく思っています。素晴らしいキャストと一緒に仕事ができたこと、素晴らしいクルーに支えてもらったことに、心から感謝をしています。そしてこの映画には原作があります。著者である磯野真穂さん、宮野真生子さんにも心からお礼を申し上げます」と挨拶。観客の歓声に応えました。

©︎Yukinobu Shuzui 取材に応えるエフィラさん

公式上映後、場所を移して開かれた日本の報道各社合同の囲み取材では、各出演者もコメント。岡本さんが「本当に温かい拍手を長い時間いただいた。まだ現実味が自分の中で無い感じですが、本当に今高揚しております」と気持ちを述べると、エフィラさんは「この作品は、私にとっては人と人が繋がることを、そしてその大切さを言っているんだと思います。今日の会場にいて、私は本当につくづくそれを感じました。濱口監督が作った作品と観客がどこかで繋がっている感覚というのを本当に体感した気がしていて、私にとっても素晴らしい上映でした」と振り返りました。

長塚さんは「見れば見るほどというか、1回目よりもさらに感情が深くて、皆さんが素晴らしくて、これはぜひ2回以上見る必要がありますね」と笑いを誘うと、黒崎さんは「国が違うと笑うところが違ったりして、こちらが気づかされるというか。僕も(今日で見るのが)2回目なんですけど、新しい気持ちで見れてすごい感動しました」と語りました。

物語に登場するパリ市内のエリア

©︎Yukinobu Shuzui フランス国立図書館フランソワ・ミッテラン館

今回の作品で舞台となるエリアは、パリ市内でも中心部ではなく市境に近いエリア。郊外(市外)まで行かず、住宅街の雰囲気が濃くなる場所です。エッフェル塔やシャンゼリゼ大通りといった、すでに何らかの色が付いた場所で進行しないことで、マリー・ルーと真理とで進む物語により生活感と親近感を持たせ、二人の交流がより観客の心に入ってきます。

たとえばマリー・ルーが真理と出会うのが、パリ市内19区にある「ビュット・デュ・シャポー・ルージュ公園」。吾郎が公演を行うのが13区にある「テアトル13」。再開発地域にある現代的な外観の劇場です。マリー・ルーと真理が話しながら歩く場所は、同じく13区の「フランス国立図書館フランソワ・ミッテラン館」のテラス。そして、同館から横断歩道を渡って繋がるセーヌ川の河岸では、実際、日常的に夜はダンスを楽しむ人たちがいます。

マリー・ルーの移動手段は地下鉄ではなくトラムです。トラムはパリ市境辺りを、ぐるりと繋ぐ交通機関。これにより、パリの人々の暮らしが現実味を帯びて、より解像度高く浮かび上がります。

長塚さんなど出演者の人々が語っているように、『急に具合が悪くなる』は何度も見ることで、また新しい良さが湧き上がってくる作品です。作品を見た後にロケ地を巡り、その場所の空気感を抱きながら、再び『急に具合が悪くなる』の世界に戻ってみるのも良いかもしれませんね。

■フランス国立図書館フランソワ・ミッテラン館(BnF Bibliothèques François-Mitterrand)
住所:Quai François-Mauriac 75013
URL:https://www.bnf.fr/fr/francois-mitterrand

『急に具合が悪くなる』
公開:6月19日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
出演:ヴィルジニー・エフィラ 岡本多緒 長塚京三 黒崎煌代
監督:濱口竜介
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
製作:Cinéfrance Studios、オフィス・シロウズ、ビターズ・エンド、Heimatfilm, Tarantula
配給:ビターズ・エンド
提供:Soudain JPN Partners フランス=日本=ドイツ=ベルギー合作
公式HP:https://www.bitters.co.jp/soudain/
公式X:@FilmAOAS
© 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula – Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners

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