キーワードで検索
大正ロマンの風情が今も色濃く残る尾花沢市の銀山温泉。冬の雪景色が有名なこの町ですが、新緑に包まれる初夏の美しさもまた格別です。一歩足を踏み入れれば、そこはまるで映画『千と千尋の神隠し』の不思議な世界へと迷い込んでしまったかのような世界観。今回は、ノスタルジックな温泉街のなかで見つけた、この季節ならではの五感を揺さぶる体験をレポートします。
銀山温泉の玄関口でまず私たちを迎えてくれるのが、レトロモダンな外観が目を引く「大正ロマン館」です。一歩中へ入れば、地元の特産品を活かした美味しいお土産や、どこか懐かしいお菓子がずらりと並ぶ、まさに旅の始まりにふさわしい空間。
ここで旅の気分を一層高めたら、赤い橋を渡るような高揚感とともに、木造バルコニーの旅館が立ち並ぶ景色のなかへ。優しく漂う硫黄の香に包まれながら、川沿いにある足湯にそっと足を浸します。
サクッとした食感のなかにコクが詰まった名物のカレーパン、ふんわりと黒糖の甘みが広がる出来立ての黒糖饅頭、地元の豆腐屋さんで仕入れた、ひんやりと滑らかなお豆腐。穏やかな気候と湯煙のなか、これらを交互に口に運ぶ時間は、至福のひとときです。
お腹を満たしたあと、初夏の銀山温泉をさらに歩いていると、ふと耳をかすめるのが旅館の軒下に吊るされた風鈴の音。チリン、と涼やかに響くその音色は、異世界へといざなう優しい合図のよう。
しかし、その静謐な余韻に浸りながら温泉街の奥へと進んでいくと、風景は一転します。目の前に現れるのは、勢いよく流れ落ちる白銀の滝。それまでの静けさを覆すような、滝の激しい音が周囲の森に響き渡り、五感を心地よく刺激してくれます。この「静」と「動」が隣り合う贅沢な空間が広がります。
銀山温泉でこの季節に見られたのは、艶やかな新緑と、シックな木造建築の色彩のコントラスト。まるで昼と夜、現実と幻が交差するような圧倒的な美しさで、旅人の目を楽しませてくれます。
銀山温泉は、山形県の北東部、奥羽山脈のふもとに位置する尾花沢市にあります。大正浪漫の歴史ある町並みを守るため、温泉街のなかへは一般車両の乗り入れが制限されています。
【電車・バスでお越しの場合】
東京方面からのアクセスもスムーズです。
1.山形新幹線を利用し、最寄り駅の『大石田(おおいしだ)駅』で下車。
2. 駅前からは、銀山温泉行きの路線バス(はながさバス)に乗り換えて約40分で到着します。
【お車でお越しの場合】
東北中央自動車道『尾花沢IC』などから一般道を進みます。
【大正ロマン館からシャトルバスでのパークアンドライド】
大正ロマン館には無料の大型駐車場があり、ここから温泉街の入り口までを結ぶシャトルバス(銀山温泉バス)が運行されています。銀山温泉街入口までに、銀山温泉共同駐車場前と銀山荘前にも停車。往復終日乗り放題で、一律500円(小学生以下無料)なので、日帰り観光におすすめです。
◾️銀山温泉バス(銀山荘ホームページより)
https://bus.ginzanso.jp/
【お散歩のポイント】
高低差のイメージでいうと、行きは下り坂、帰りは上り坂にります。バスで一気に移動するか、ワンダーランドまでの道のりを楽しみたい方は行きに25分程度歩いてみる散策ルートもおすすめです。
ナショナルジオグラフィック誌も紹介し、おとぎ話のような町並みをや日本の伝統美を楽しめる場所と注目されている銀山温泉ですが、5月の週末はアジアからのツアーバスを見受けつつもインバウンドの影響はまだ多くなく、どこか引き締まった静けさを保っていました。山形が誇るさくらんぼの季節を迎えれば、この町はもっと多くの笑顔で賑わうはず。
ガス灯に火が灯る雪の銀山も素敵ですが、静かに流れる初夏の時間を感じにきませんか。