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秋のイベントとしてすっかり定着したハロウィン。仮装した子どもたちがお菓子をもらって歩く姿はおなじみですが、日本にもよく似た風習があるのをご存じですか。その名も「お月見どろぼう」。十五夜の夜、子どもたちが家々を回り、お月見のお供え物を“盗んで”いくという昔ながらの風習で、奈良県内の一部地域にも、今なおその風習が受け継がれています。
今回は、中秋の名月を前に、奈良に残るちょっと不思議な「お月見どろぼう」の風習をひも解いてみます。
月見団子と聞いて、どんな形を思い浮かべますか? 白く丸い団子を三方などに積み上げた姿をイメージする人も多いのではないでしょうか。これは関東でよく見られる月見団子。一方、関西では、細長い餅にあんこを巻いた独特の形の月見団子が親しまれています。
この形は、里芋を表したものといわれています。十五夜には、秋に収穫された里芋などを月に供える風習があり、中秋の名月は別名「芋名月」とも呼ばれます。関西の一部地域では、その里芋をかたどった餅にあんこを巻いたものが月見団子として定着しています。奈良でも、中秋の名月が近づくと和菓子店の店頭に関西らしい月見団子が並びます。
今年の十五夜、9月25日当日のみ販売の和菓子店も多いなか、その前後にも買えるお店を探してみました。
近鉄奈良線「富雄駅」西出口から徒歩約2分のところにある「御菓子屋 松之餅」では、9月1日から月見団子が販売されています。
また、奈良市と生駒市に店舗を構える「萬春堂」でもすでに月見団子を販売中。奈良県内に7店舗を展開する「天平庵」でも、今年の月見団子の予約を受け付けています。販売期間や販売方法などは店舗によって異なるため、訪れる際は公式サイトやSNSで最新情報を確認してください。
月に供えた団子や里芋。実は十五夜には、子どもたちがそのお供え物を“盗む”という、ちょっと不思議な風習が奈良にはあります。その名も「お月見どろぼう」。十五夜の夜、子どもたちが家々を回り、縁側や玄関先などに置かれた月見団子や里芋などのお供え物を取っていきます。
「泥棒」と聞くと驚きますが、この日に限っては特別。むかし、子どもたちは“神さまの使い”とも考えられ、お供え物を取られることを縁起がよいとして歓迎する地域もありました。
こうした風習は奈良だけのものではなく、かつて各地で行われ、地域によってさまざまな呼び名で伝えられてきました。 奈良県内の一部地域では、今なおその風習が伝えられています。
時代とともにその姿も変化し、現在では団子や里芋の代わりにお菓子を用意し、子どもたちが家々を回ってもらう形で受け継がれています。子どもがお菓子をもらいながら地域を練り歩く様子は、どこかハロウィンの「トリック・オア・トリート」にも似ていますね。
十五夜になると、子どもたちが「たばらせて」と言いながら家々を回ります。
「たばる」は「いただく」という意味を持つ古い言葉で、奈良では「神仏への供え物を下げていただく」という意味をもつ方言として残っています。
「お月見どろぼう」という名前だけを見ると、お供え物を“盗む”風習のように感じます。しかし、奈良に残る「たばる」という言葉を通して見てみると、月や神仏に供えたものを子どもたちが“いただく”という、また違った一面が見えてきますね。
今年の十五夜は、 きれいな月を眺めるだけでなく、昔ながらのお月見文化にも目を向けてみませんか。奈良の和菓子店を訪ねて、この時期ならではの月見団子を探してみるのもおすすめです。月見団子を味わいながら、その形やお供えに込められた意味を知れば、いつもの中秋の名月が少し違って見えるかもしれません。