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青森県・十和田市にある「十和田市現代美術館」。真っ白な壁でできたホワイトキューブと呼ばれる空間は、ニューヨーク近代美術館が導入し、それ以来、多くの美術館で取り入れられてきました。中でも、同美術館はホワイトキューブと大きな窓が組み合わさっているのが特徴的。通常の美術館は大きな窓から日光が差し込むと、作品が傷む可能性があるので窓を避けることが多いのですが、大通りに面した展示室には窓があり明るい空間をつくりだしています。1部屋に1作品という贅沢なつくりで常設展示しているからこそ、ゆっくりと作品を愛でることできます。今回は「十和田市現代美術館」で巡りたい、11つの作品をご紹介します。
「十和田市現代美術館」を訪れて、まず最初に入るのがエントランス。ここで印象的なのは、あざやかな色彩の直線です。色と幅に強弱のついた直線が幾何学的に並び、躍動感のある直線をつくっています。チケットを購入する間もアートに触れられる、ちょっと嬉しいお出迎えです。
2026年9月に十和田市特別住民に登録され話題になっていたのが「スタンディング・ウーマン」。見る角度によって、優しい表情にも厳しい表情にも変化します。皮膚のシワの寄り方や髪の毛、透き通って見える血管まで、本物さながら。同時に、4メートル以上ある大きさが非現実感を演出し、リアルさに揺らぎを与えています。この絶妙なアンバランスさが魅力。360度さまざまな角度から、眺めたくなる作品です。
実際に十和田湖で使われていた木船を使用した作品。まわりに無数の赤い糸が張り巡らされ、何層にも編み込まれています。繊細で、それでいて力強さを感じる糸。場所やものに宿る記憶や人の縁、生と死といった、目には見えない不確かな存在を想起させる作品です。
真ん中を流れるように玉石を配置しているのが「三途の川」。向かって右側にあるのは、釣り鐘を用いた「平和の鐘」。そして、左にあるのがオノ・ヨーコさんが各国で行なっているプロジェクトの「念願の木」。「三途の川」「平和の鐘」「念願の木」の3つの作品が並んでいるのは、美術館の中庭です。今の時期、「念願の木」にはたくさんのリンゴが実っていました。以前は、ここで収穫したりんごを、美術館のカフェでアップルパイとして提供していたこともあるそう。コンパクトな空間ながら、壁面の白壁が3つの作品を引き立てています。
宇宙を連想するような見た目に、柔らかな青いネオンの光と浮遊感漂う音色が調和する部屋です。幾何学的な彫刻の向こうに木のシルエットが見える不思議な空間。柔らかさと硬さ、人工的なものと自然のもの、対照的なものが融合し、ひとつの作品をつくりあげています。
半透明や赤の無数の人が組体操のように連なり、グラデーションを織りなす作品です。部屋に入った瞬間は、大きな植物があるように見えますが、よく観察すると「人」の連続。輪廻転生や親から子へ受け継ぐDNA、世代から世代へ受け継ぐ記憶や知識、過去と未来、そして生と死。さまざまなものの永遠のつながりを感じ取ることができます。長い年月を、ぎゅっと圧縮したかのような存在感に圧倒されます。
美術館建物の裏にある駐車場を抜けた奥の展示室にあるのが、ヨーロッパ風の建物のファサード(外観)。床と壁に、ドアや窓がそれぞれ設置されているかと思いきや……実は45度の角度で大きな鏡が立てかけてあり、床の様子が壁に映し出されている作品です。床に寝そべってゴロゴロ動くと、まるで壁の方で動いているように見えるという仕掛け。思い思いに、ポーズをとって撮影を楽しめます。なお、こちらの展示室はチケット購入後に一度、外へ出る必要がありますが、館内に再入場することができるのでご安心ください。
同美術館内のカフェの床にも注目です。色とりどりの花柄を組み合わせた絵画が広がるパッチワークのような床。古布を裂いて新しい布を織る、十和田の伝統工芸「南部裂織(さきおり)」に着想を得た作品です。売店が併設されていて、アートな雑貨が揃います。カフェでひと息つく時間も、記憶に残る時間を演出してくれます。
美術館前の広場に佇むのが、躍動的な一頭の馬。ウェルカムブーケの意味もある花に囲まれたカラフルな馬で、青空によく映える作品です。美術館を訪れる人々を、今まさに走り出さんと力強く立ち上がる姿勢で出迎えてくれます。馬とともにあった十和田の歴史や平和への祈り、未来への希望をも象徴しています。
美術館前の道を挟んだ向かい側には、草間彌生さんの作品が並んでいます。黄色い水玉がアート広場の芝生に広がり、女の子やキノコなど8つの作品が集まります。印象的なドットと色彩が重なり、草間彌生さんの世界観に没入できます。
草間彌生さんの作品の隣にあるのが、遊び心を感じる2つの彫刻。トイレ棟の上部から中をのぞき込む「アンノウン・マス」と、広場を浮遊する「ゴースト」を見ることができます。互いにいたずらを考えているような、楽しそうな2つの作品。可愛らしい姿で、見ているだけで心が和みます。
「十和田市現代美術館」の作品はいかがでしたでしょうか。美術館の中も外も、アートに囲まれ思う存分「芸術の秋」を堪能することができます。青森を訪れた際は、ぜひ同美術館に足を運んでみてください。
◾️十和田市現代美術館
住所:青森県十和田市西二番町10-9
電話:0176-20-1127
URL:https://towadaartcenter.com/
◾️カフェ&ショップ: cube cafe & shop
営業時間:カフェ: 9:00 – 16:30、ショップ: 9:00 – 17:00
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)
電話:0176-22-7789
URL:https://towadaartcenter.com/