Thin Ice Press
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日本に活版印刷が導入されたのは、幕末から明治のころ。その手本となったヨーロッパでは14世紀から木製活版、そして15世紀には金属製活版の印刷技術が育まれていました。
ヨークにある「Thin Ice Press(シン・アイス・プレス)」では、そんな流れを汲む19世紀の手動活版印刷機を見学・体験することが出来ますよ!
ヨークはロンドン、オックスフォード、ケンブリッジと同じく、古くから印刷が行われてきた都市のひとつ。こと18世紀にはトーマス・ジェント(Thomas Gent)に代表される印刷業者が活躍していました。
しかしその伝統が衰退しつつある現代、絶滅危惧の印刷技術を守ることを目指しヨーク大学のスタジオで学生や研究者らのワークショップを開始したのが2017年でした。
やがてその活動が発展し、大学内キャンパスから出た現在の場所に移転。伝統印刷を“過去の遺物”ではなく、現代の創造活動のための生きた技術として継承する活動を続けています。
ちなみに「Thin Ice Press」という変わった名称は、 1739年の大寒波で凍結したウーズ川の上にトーマス・ジェントが印刷機を持ち込み、来場者の名前などを印刷して人気を博したエピソードにちなみ名付けられました。
「シン・アイス・プレス」の大きな特徴は、18世紀の木製印刷機から20世紀初頭の鉄製印刷機まで、印刷技術の発展を追えること。
最も注目されるのは、18世紀にトーマス・ジェントも使用した 木製の「Common Press(共通型印刷機)」に関する資料。現存する木製印刷機は非常に少ないため、ここでは残存部材の調査や3Dモデル化を行い、それをもとに実働レプリカの製作プロジェクトも進行中だそうです。
また金属活字はもちろん、木製活字や手組み活版用のケースも保存し使用。そして伝統的な活版印刷について殆ど知らない筆者のような素人でも、楽しく体験できるのがヴィクトリア時代の鉄製印刷機です!
筆者が訪問した日に見学者が体験できたのは、1845年製コロンビアンプレス印刷機でした。
発明したのは米国フィラデルフィアのエンジニア、ジョージ・クライマーで、数年後に英ロンドンに拠点を移して機械を生産。アメリカ合衆国のシンボル白頭鷲をカウンターウエイト(重り)にあしらい、彼の愛国心と誇りを表したそうです。
では印刷体験。まず最初に、あらかじめバッタのイラストが印刷された紙をセットし、印刷箇所に穴が開けられたカバーで覆います。すでに活字が組まれた活字版にインクが付くよう、ずっしり重いインクローラーをごろごろ転がします。
活字版にインクを塗ったら、先ほどの紙がセットされたパネルを被せ、ハンドルを回してプレス機の下へ移動させます。しっかりプレス機の下敷きになったら、またハンドルを逆方向に回して出せば完了!
この日に印刷したのは17世紀の詩人ロバート・バートンによる詩の一説。自分で印刷した紙は、もちろんお土産に持ち帰れます。
見学または今回のようなプチ体験だけなら予約不要ですが、ワークショップ(有料)コース等もあります。印刷の歴史やデザインに興味のある人、そしてちょっと変わったカルチャー体験をしてみたい人にお勧めです!