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【東京】両国の江戸東京博物館で「豊臣兄弟!」展が開催中!秀長と秀吉の天下統一を名品から読み解く

かん

かん

アメリカ・カリフォルニア州特派員

更新日
2026年10月25日
公開日
2026年10月25日
かん 「豊臣兄弟!」展看板
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2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』をきっかけに、戦国時代への関心が高まっている方も多いのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、その豊臣兄弟にスポットを当てた、東京・両国の江戸東京博物館で開催中の特別展「豊臣兄弟!」です。

本展の主役は、豊臣秀吉とその派手な兄の影に隠れていた豊臣秀長(とよとみひでなが)の豊臣兄弟。この展覧会は、農民に過ぎなかった2人が、激動の時代をいかに活ききったかを、肖像画、合戦図屏風、武具、刀剣、茶道具などから紐解いています。

秀吉の華やかな成功の陰で、秀長はどのように戦を支え、大名たちをまとめ、領国を治めたのか。歴史ファンはもちろん、大河ドラマから戦国史に興味を持った方にもおすすめの展覧会です。

©︎かん NHK大河ドラマ特別展「豊臣兄弟!」の長浜城セット(唯一の写真撮影OKの展示)

江戸東京博物館リニューアル記念・NHK大河ドラマ特別展「豊臣兄弟!」の見どころ

「豊臣兄弟!」展の見どころは、何と言っても、まず、秀長の視点でしょう。戦国時代の天下統一の立役者といえば豊臣秀吉です。農民出身の足軽から出世を重ね、織田信長の後継者として全国統一を成し遂げました。

一方、弟の秀長は、兄ほど一般には知られていないでしょう。しかし、秀吉の政権運営や各地の大名との交渉、戦場での指揮において、兄・秀吉から全幅の信頼を置かれた実務家として、非常に重要な役割を果たしていました。本展では、「秀吉の弟」としてではなく、武勇と政治力を兼ね備えた、豊臣政権を支える実力者としての豊臣秀長の姿を描き出しています。

兄が矢面に立って天下を切り開く一方、弟はその背後で戦場・政治の双方において周囲をまとめてあげていく。そんな二人の役割の違いに注目すると、よく知っているはずの豊臣秀吉の天下統一も、違った景色に見えてきます。

兄弟の肖像画に始まり兄弟の木像に終わる全7部構成の展示内容

展覧会は、プロローグ、5つの章、エピローグという構成で、豊臣兄弟の人生を追いながら展開します。

プロローグ|武と智の兄弟 〜兄弟の人物像を知る
まず、秀吉と秀長、それぞれの肖像画が、展覧会の参観者を迎え入れます。秀吉が信長のもとで頭角を現し、秀長がその躍進を支えていく関係性をつかむくだりを紹介する導入部分です。

第1章|転戦の日々 〜信長の家臣から天下人へ
織田信長や黒田如水、毛利輝元像等も出迎えてくれ、戦国時代ファンには背中がゾクゾクする展開の始まりです。伊勢・長島一向一揆攻めから、鳥取城後略の布陣図や、山崎の戦い、賤ヶ岳合戦屏風、片桐且元の長槍や千成瓢箪等々。。。秀吉が信長亡き後の主導権を握っていく過程と、その陰で働いた秀長の活躍を、合戦図屏風や書状などから追っていきます。

第2章|天下一統 〜戦国大名をまとめ、政権を築く
小牧・長久手の戦い、徳川家康との関係、紀州・四国・九州への進出など、豊臣政権が勢力を広げる時代です。豊臣時代の大阪城指図、長久手合戦図屏風、徳川家康像やその書状、羽柴秀吉や秀長の書状など、武将間での駆け引きや秀長が総大将や調整役を務めていた資料が展示されます。かの武将たちの真筆かと思うと、ドキドキするエリアです。そして、また、天下統一が武力だけで成し遂げられたわけではないとわかります。

第3章|大和入国 〜秀長の行政手腕に迫る
秀長が大和を治め、郡山城を拠点に城や城下町を整備した時代に焦点をあてています。城跡から出土した瓦などを通じて、秀長が戦場だけでなく、地域の統治や都市づくりでも力を発揮したことが伺いしれます。

第4章|時の権力と美 〜権力者たちが愛した文化と美術
大きな黒漆に桐紋の入った風呂桶や能の衣装など、生活道具から茶の湯や芸能に至るまでの工芸品を通じ、桃山時代の文化が紹介されます。千利休らに縁の茶道具では、大名物の茶碗や水指、秀長が実際に使ったとされる肩衝茶入などが展示され、ため息が止まりません。合戦とは異なる豊臣兄弟の一面を感じられる章です。

第5章|豊臣の落日 〜秀長の死、そして豊臣家の終焉
秀長が逝去した後の秀吉の晩年から秀頼の時代、後継問題や徳川家との対立を経て、大坂の陣で豊臣家が滅亡するまでが展開されます。

エピローグ|兄弟!再び 〜兄弟の絆を振り返る
秀長が秀吉の右腕としてどれほど信頼されていたか、ゆかりの品々から振り返ります。互いに支え合った兄弟の物語が締めくくられます。
特に、豊臣秀吉自筆遺言状案とされる「いへやすほか宛」の書状、おそらく小学校の歴史の授業ですら言及される五大老宛のエピソードの証人との邂逅には、誰もがハッとさせられるでしょう。

最後のエピローグは、翁のような面差しの豊臣秀吉の素地のままの木像と、若いままの綺麗に着色された衣冠束帯の豊臣秀長の木像とが並んで参観者を見送ります。筆者の目には、秀長亡き後の秀吉の孤独と、秀長ありきの豊臣の弥栄を偲ばされる場面でした。

©︎かん 展示の最後には、「豊臣兄弟!」のキャラクターたちとの記念撮影コーナーも!

筆者の独断で選ぶ見逃せない展示品

① 豊臣秀吉像・豊臣秀長像(前期展示)桃山~江戸時代・17世紀/京都・禅林寺蔵※
まず見ておきたいのは、本展の中心人物である秀吉と秀長の肖像です。肖像画は、現代の写真とは異なり、描かれた時代の人物観や権威の表し方も反映されています。同じ寺に納められた兄・秀吉の肖像と見比べて、二人がどのように後世へ伝えられてきたのかを考えるのも面白いかと思います。
なお、後期展示には、別所蔵の秀吉像・秀長像が展示されます。

② 賤ヶ岳合戦図屏風(通期展示)江戸時代/長野・佐久市教育委員会蔵※
合戦の場面を絵画として描いた屏風は、戦場の臨場感だけでなく、後世の人々がその戦いをどう記憶したのかを知る手掛かりにもなります。賤ヶ岳の戦いは、秀吉が信長の後継者として勢力を伸ばすための重要な転機でした。屏風図の中には各武将の名称も書き込まれています。誰がどこに配置されていたのか。画面の人物配置や戦況の描写に注目したい作品です。

③ 御所参内・聚楽第行幸図屏風(通期展示)江戸時代・17世紀/上越市立歴史博物館寄託※
天下人となった秀吉が、朝廷との結びつきを深め、権威を示していく様子が描かれています。聚楽第を建て、そこに天皇を招くまでに上り詰めた秀吉の豪勢さを描いたこの屏風は、武力だけでなく、権威や儀式も政権を支える要素だったことを示唆しているのではないでしょうか。

④ 郡山城跡出土瓦(通期展示)16世紀/奈良・大和郡山市蔵※
絵画や肖像とは異なり、城跡から出土した瓦は、当時の建築や都市整備の伝世資料です。秀長が本拠とした郡山城の瓦は、戦国武将の仕事が戦争だけではなかったことを教えてくれます。また、郡山城の瓦と大阪城の瓦の意匠がにていることも興味深く、兄弟の絆に想いを馳せてしまいました。

⑤ 肩衝茶入 銘 薬師院(通期展示)中国・南宋~元時代・13~14世紀/兵庫・香雪美術館蔵※
秀長らが所用したとされる茶入です。渋く、なんとも言えない趣があります。武将と茶の湯の関係を知る証人であり、その小さな器に宿る歴史に想いを馳せたいところです。

⑥ 重要文化財・秋草蒔絵天目台(通期展示)桃山時代・16世紀/京都・高台寺蔵※
華やかな桃山文化を感じさせる漆工芸品。蒔絵の装飾が見事です。

⑦豊臣秀吉自筆遺言状案「いへやすほか宛」(前期展示)(慶長3年〈1598〉)8月5日 山口・毛利博物館 ※
豊臣秀吉が亡くなる約2週間前の慶長3年(1598年)8月5日に、徳川家康をはじめとする有力者宛に書いた直筆の遺言状の草案とされています。慶長3年(1598年)8月5日付で、「いへやす(徳川家康)」、「ちくせん(前田利家)」、「てるもと(毛利輝元)」、「かけかつ(上杉景勝)」、「秀いへ(宇喜多秀家)」の5人の五大老の名前が見て取れるのには、息を呑みます。

※作品名・年代・所蔵先・展示期間は公式展示案内に基づきます。

©︎かん ファン垂涎のドラマに因んだ展覧会グッズも販売されています
©︎かん ドラマに因んだお土産も充実!

前期・後期の展示替えに要注意!

前述した展示品以外にも、戦国武将の装備や武具等、目を見張る出品が多々あります。お目当ての展示を是非公式展示案内で確認して、お出かけいただきたく思います。

「天下人の弟」から、豊臣政権を支えたもう一人の主役へ

「豊臣兄弟!」展の魅力は、秀吉の華々しい天下統一をたどるだけでなく、その成功を支えた秀長の存在や当時の戦国武将の生き様を、歴史資料や美術品を通して具体的に知ることができる点にあります。

戦場での活躍を伝える合戦図、権力の象徴となった刀剣、領国経営の跡を残す瓦、文化人との交流を物語る茶道具。それぞれの展示品が、秀長という人物の多面的な姿を浮かび上がらせると共に、戦国時代は昔の物語ではなく、当時の現実であり、私たちの歴史の一部分であったことを再確認できるはずです。

そして、その会場であるリニューアルした江戸東京博物館には、豊臣兄弟の時代だけでなく、その後の江戸の成立から近代東京への変化まで、都市の歴史を一日で楽しむ展示が所狭しと工夫されています。

次の記事では、このリニューアルした江戸東京博物館をご紹介しましょう。

©︎かん 秀長が収めた郡山にちなみ奈良のお菓子もお土産コーナーに並んでいます

江戸東京博物館リニューアル記念・NHK大河ドラマ特別展「豊臣兄弟!」

会期:2026年9月15日(火)~11月8日(日)
会場:江戸東京博物館 1階特別展示室
〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1(JR両国駅・大江戸線両国駅より徒歩数分)
TEL:03-3626-9974

開館時間:9:30~17:30(土曜日は9:30~19:30)
※最終入室は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)

観覧料:一般2,100円、65歳以上1,600円、大学生・専門学校生1,300円。(中学生以下・高校生など無料。常設展は別に観覧料が必要)
※料金は税込み。特別展・常設展セット券も販売されています。

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