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【東京】この秋、美意識の深淵をたどる名器めぐりを〜名碗100選から民藝SHOCK、異国への憧れまで(2026年11月の展覧会選)

かん

かん

アメリカ・カリフォルニア州特派員

更新日
2026年10月30日
公開日
2026年10月31日
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こんにちは! カリフォルニア特派員のかんです。

この秋の東京は、三井記念美術館の「館蔵の茶碗100撰」を皮切りに、日本の茶道具の名宝から中国・アジアの古陶磁、さらには近代のものづくりに衝撃を与えた民藝まで、器と工芸の奥深い魅力に浸れる珠玉の展覧会が揃っています。
筆者は先月、三井記念美術館の「館蔵の茶碗100撰」を参観する機会に恵まれました。来月も、サントリー美術館の「逸翁美術館コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品」や、泉屋博古館東京の「唐物誕生」などに足を運ぶつもりです。

この秋、筆者が着目しているそれぞれの展覧会の見どころ、茶道・器好きなら外せない着眼点やそれぞれの博物館へのアクセス情報をご紹介します。

「逸翁美術館コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品」〜サントリー美術館(六本木・東京ミッドタウン)

©︎サントリー美術館 「逸翁美術館コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品」チラシ

今月、サンノゼに戻り次第、「しまった!見逃した!」と筆者が後悔したのが、この「逸翁美術館コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品」展です。阪急東宝グループの創業者であり、近代屈指の大数寄者・茶人「逸翁」こと小林一三(1873〜1957)の美意識に迫る特別展で、東京・六本木のサントリー美術館に大阪・池田の逸翁美術館が誇る選りすぐりの名品が六本木に集結しています。

この11月8日までの展示です。来月早々に再度日本に行く機会があるため、今度は真っ先にサントリー美術館に足を運ぶ予定です。

逸翁コレクションには、与謝野蕪村(よさのぶそん)の「奥の細道画巻」や狩野光信(かのうみつのぶ)画の「豊臣秀吉像」、尾形乾山(おがたけんざん)の色絵立田川文向付などがあります。私たちが教科書で良く見かけた「豊臣秀吉像」は、この逸翁コレクションの「豊臣秀吉像」が原本とも言われています。なんと、この原本は、重要文化財です。
形式ばった格式を嫌い、客を心からもてなすためのユーモアと創意工夫を愉しんだ、と言われる「逸翁好みの茶道具」は、必見の価値でしょう。堅苦しさを脱ぎ捨てた、軽妙洒脱で温かみのある茶の湯世界が堪能できるのでは?という期待も高まります。

【逸翁美術館コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品】
会期:開催中(2026年11月8日迄)
会場:
サントリー美術館(東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階)
サントリー美術館への歩き方:都営地下鉄大江戸線「六本木駅」8番出口直結・東京メトロ日比谷線「六本木駅」地下通路直結・東京メトロ千代田線「乃木坂駅」3番出口より徒歩約3分
当日券:一般1700円・大学生1200円・高校生1000円・中学生以下無料
ウェブサイト:https://www.suntory.co.jp/sma/

「民藝SHOCK!! ―没後60年 静嘉堂の河井寬次郎」〜静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)

もう1つ、11月8日までの会期の展覧会があります。近代建築の傑作・明治生命館1階にある静嘉堂@丸の内にて開催されている、陶芸・工芸ファン必見の特別展「民藝SHOCK!! ―没後60年 静嘉堂の河井寬次郎(かわいかんじろう)」です。陶芸家・河井寬次郎(1890〜1966)の没後60年を機に、静嘉堂が所蔵する河井寬次郎コレクションが一挙公開されています。

卓越した作陶技術で中国・朝鮮の古陶磁を模倣し高い評価を得ていた初期から、柳宗悦らとの出会いによって無名の職人が生み出す実用美に打たれ、名声を捨てて実用陶器へ舵を切った劇的な転換を、展示を通じて体感することができるそうです。静嘉堂の岩崎小彌太(いわさきこやた)が支援した河井寬次郎の初期の端正な作品から、釉薬の流し掛けがダイナミックな民藝期、晩年の自由奔放な造形まで、生命力あふれる作品群が重要文化財の重厚な空間に並んでいるとか。

「生活に根ざした用の美、土と手の力強さ」をストレートに問いかけてくる展示、と言われています。

尚、今回の展示では、世界に3つしかないとされる曜変天目茶碗も展示されています。折しも、東京国立博物館で開催中の「大徳寺 本朝無双之禅苑」展でも、その1つである龍光院の曜変天目茶碗(2026年11月8日迄の展示)を見ることが出来ます。この機会に、両方に足を運んで見るのも、乙なものではないでしょうか。

今回、「民藝SHOCK!!」展鑑賞後、その半券を東京国立博物館「大徳寺 本朝無双之禅苑」展(10/14〜12/6)に持参すると、その入館料(一般のみ)が100円引になります。
大徳寺展の半券を持参した場合は、静嘉堂文庫の入館料が割引(一般 200円引)に。

また、パナソニック汐留美術館「吉田璋也のデザイン ― 新作民藝運動がめざした未来」展(10/15~12/20)の入館料(一般のみ)も「民藝SHOCK!!」の半券提示で200円引となり、同展半券で静嘉堂文庫の入館料も割引(一般 200円引)になるそうです。

【民藝SHOCK!! ―没後60年 静嘉堂の河井寬次郎】
会期:開催中(11月8日まで)
会場:
静嘉堂文庫美術館(東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階)
静嘉堂文庫美術館への歩き方:東京メトロ千代田線「二重橋前〈丸の内〉駅」3番出口直結・JR「東京駅」丸の内南口より徒歩約5分・東京メトロ丸ノ内線「東京駅」地下道経由で徒歩約5分
当日券:一般1500円・大学生/高校生1000円・中学生以下無料
ウェブサイト:https://www.seikado.or.jp/exhibition/current_exhibition/

©︎畠山美術館・サントリー美術館・泉屋博古館東京・三井記念美術館 各展覧会のチラシ(一部抜粋)

「異国への憧れ ―茶の湯とアジアの古陶磁―」〜荏原畠山美術館(白金台)

では、次に、この12月13日まで開催中で、少し余裕を持って参観プランを立てられる展覧会を2つ、ご紹介しましょう。まず、1つ目は、荏原製作所の創業者であり、近代屈指の大数寄者・茶人「即翁」こと畠山一清(1881〜1971)が創設した茶道具専門の美術館で開催中の「異国への憧れ ―茶の湯とアジアの古陶磁―」です。

緑深い白金台の高台に佇む数寄屋建築の中で、アジア各地の古陶磁と茶の湯の結びつきに光を当てた特別展がこの10月17日より開催されています。

本展では、即翁の卓越した審美眼によって蒐集されたアジア各地の古陶磁が一堂に会しているそう。当館曰く「茶の湯は、誕生の瞬間から常に「海の外にあるまだ見ぬ異国へのあこがれ」を原動力として発展してきました。そのあこがれは時代ごとに「賞揚(権威)」から「見立て(美学)」、そして、「地球規模の交易(ロマン)」へと形を変えてゆきました。本展では、最高峰の唐物や島物、古渡の名品が集結します。」(同展チラシより抜粋)とのこと。なんと期待が膨らむ売り文句でありましょうか!

南宋時代の唐物を始め、高麗物、東南アジア、果ては欧州からの、日本の茶人たちが強い憧れを抱いた海を越えてもたらされた異国の器の数々。それらが茶席の道具として見立てられ、大切に愛でてきた変遷を、この展覧会では垣間見ることが出来そうです。

なお、同館では、「スタンランと猫のジャポニスム ―マネからシャ・ノワール(黒猫)、アール・ヌーヴォーの時代へ」も同時開催中です。こちらも「19世紀末、浮世絵をはじめとする日本美術がパリで注目を集めると、西洋では長らく異端とされてきた猫が、モダン・アートを彩る重要なモチーフへと変貌し」た経緯に基づき、「猫を繰り返し描いた画家として知られるテオフィル=アレクサンドル・スタンランを中心に、西洋の版画やポスター、日本の浮世絵など約100点を展示」し、「猫という身近で魅力的な存在を入口に、19世紀末のパリで花開いた日本美術との出会いと、そこから生まれた新たな表現の世界」(同展チラシより抜粋)を楽しめる千載一遇の展覧会です。ぜひ足をお運びください☺

【異国への憧れ ―茶の湯とアジアの古陶磁―】
【スタンランと猫のジャポニスム ―マネからシャ・ノワール(黒猫)、アール・ヌーヴォーの時代へ】
会期:開催中(2026年12月13日迄)

会場: 荏原畠山美術館(東京都港区白金台2-20-12)
荏原畠山美術館への歩き方:都営地下鉄浅草線「高輪台駅」A2出口より徒歩約5分・東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台駅」2番出口より徒歩約10分
当日券:一般1500円・大学生/高校生1000円・中学生以下無料(但し保護者の同伴必要)
ウェブサイト:https://www.hatakeyama-museum.org/exhibition/000325.html

「唐物誕生―茶の湯デザインの源流をさぐる」〜泉屋博古館東京(六本木一丁目)

©︎泉屋博古館東京 「唐物誕生」チラシ

もう一つのこの12月13日まで開催中の展覧会が、住友家伝来の名品を収蔵する泉屋博古館東京にて開催される特別展、「唐物誕生」です。

「茶の湯デザインの3000年史──中世日本では、大陸との交流のなかで喫茶の風習がもたらされ、やがて「茶の湯」として独自の伝統文化を形成していきます。喫茶に用いられ、そして喫茶の場を彩る道具には「唐物」(からもの)のとよばれる大陸の文物が珍重され、当時の人々の価値観や美意識による選別を経て、いわゆる「名物」として評価されるものも登場しました。本展ではこうした「唐物」が誕生する過程を、はるか中国古代にまでさかのぼってご紹介し、胡銅(古銅)とよばれる花入を切り口として、金工品や陶磁器、漆工など、素材を越えた共通性にも着目しながら、茶の湯デザインを東アジア文化史のなかに再定位することを試みます。」(同展チラシより)

中国で生まれ日本へと渡った「唐物」が、いかにして室町〜桃山期の茶人たちの美意識によって選ばれ、茶道具の規範・デザインの源流となっていったか。古くは新石器・殷時代、そして西周時代からの数多くの青銅器、宋元時代の青磁、白磁、天目などの陶磁器、彫漆や螺鈿などの漆工芸、金属器や染織まで、格調高い唐物の名宝が一堂に会します。現代のデザインやものづくりにも通じる、茶の湯の“原点の美”を深く学べる内容と言えるのではないでしょうか。

【唐物誕生―茶の湯デザインの源流をさぐる】
会期:2026年11月3日〜12月13日
会場:
泉屋博古館東京(東京都港区六本木1-5-1)
泉屋博古館東京への歩き方:東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」北改札(泉ガーデン方面)より屋外エスカレーター・エレベーター経由で徒歩約3分・東京メトロ日比谷線「神谷町駅」4b出口より徒歩約10分
当日券(前売り券):一般1500円(1300円)・学生800円(700円)・18歳以下無料(但し身分証明書が必要)
ウェブサイト:https://sen-oku.or.jp/program/t_202611_karamono/

尚、泉屋博古館東京では、今回の展覧会に応じて、予約制のイベント開催が予定されています。
お時間に余裕の在る方は、ぜひ、こちらへの参加もご検討されたらいかがでしょうか。
(イベント参加にはすべて当日の観覧券が必要・都合により内容を変更する場合あり)

講演会「胡銅の茶の湯文化史」詳細
11月3日(火・祝)14時00分~15時00分
講師:伊住禮次朗氏(茶道資料館副館長)
会場:泉屋博古館東京 講堂
定員:50名(予約制)

記念シンポジウム「日本伝統文化と中国金工品」詳細
11月29日(日)14時00分~17時00分
講師:池坊専宗氏(華道家・写真家)
伊住禮次朗氏(茶道資料館副館長)
新郷英弘氏(芦屋釜の里資料館館長)
山本堯(泉屋博古館 学芸員)
定員:50名(予約制)

〈アートwith〉レクチャー「倣古創新―芦屋釜と中国青銅器に学び」詳細
11月27日(金)17時30分~18時30分
講師:樋口陽介氏(芦屋鋳物師)
会場:泉屋博古館東京 講堂
参加料:500円(税込・入館料別)
定員:50名(予約制)

スライドトーク1)詳細
11月12日(木)14時00分~15時00分
講師:森下愛子(泉屋博古館東京 学芸課長)
会場:泉屋博古館東京 講堂
定員:60名(予約不要・当日11時より整理券配付)

スライドトーク2)詳細
11月28日(土)14時00分~15時00分
講師:山本堯(泉屋博古館 学芸員)
会場:泉屋博古館東京 講堂
定員:60名(予約不要・当日11時より整理券配付)

文化の秋。11月の東京では、見逃せない展覧会があちらこちらで雨後の筍のように開催されていますね。
この機会に、ぜひ、日本の文化の奥深さ、海外からの文化の日本での受容について、これらの展覧会、ここにない展覧会などを回られ、体感してみてください。

次回の記事では、11月23日(月・祝)まで開催されている三井記念美術館の「館蔵の茶碗100撰」レポをご紹介したいと思います。

どうぞお楽しみに!

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