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「ウズベキスタンに行ってきた」と言うと、だいたい「どこにあるんだっけ?」と聞かれるウズベキスタン。成田空港から首都タシケントまで直行便で約9時間。中国の西に位置する中央アジア諸国のなかにあって、シルクロードのオアシスと呼ばれながらも、日本ではまだまだ知られざる未知の国。
ところが2018年2月から日本を含む7ヵ国がビザ免除となり、これまでよりぐっと行きやすくなりました。訪れてほしい町も名所もありすぎて、一度では紹介しきれないので、今回はウズベキスタンのなかでも特に人気の、青の都サマルカンドに絞って、美しすぎる必見スポットをご紹介します。
ウズベキスタンの首都はタシケントですが、観光という点で絶対外せないのはサマルカンド。サマルカンド・ブルーと呼ばれる独自の青いタイルで建てられた建築物が異国情緒をかもし出しています。サマルカンドを訪れたら、まずは町の中心「レギスタン広場」へ。メドレセと呼ばれる神学校が3つ建ち並んだ壮麗な広場で、夜はライトアップされたイルミネーション・ショーも開催されます。
中央に建つ「ティカラリ・メドレセ」は1660年に建てられた神学校。左手の青いドームの下には礼拝所があるのですが、入ってびっくり! キラッキラのゴールドな天井がお出迎え。「ティラカリ」とは「金箔された」という意味だそうで、まさに名前のとおりのまばゆさです。
レギスタン広場の正面向かって右に建つ「シェルドル・メドレセ」は1636年に完成しましたが、一風変わっていて、入口の門の壁に注目してみてください。トラのような、ライオンのような動物とその背中にはこちらを見つめる人面が。偶像崇拝が禁止で、人や動物のモチーフはタブーとされているイスラームの世界において、あえてそのタブーをやぶって描かれています。当時の支配者が自分の権力を誇示するために描かせたといわれていますが、なんとそのせいで建築家が責任をとって自殺してしまったとか。恐ろしい話です……。
「青の都」と呼ばれるサマルカンドのなかでも、特に青が美しい場所がいくつかあって、この「グル・アミール廟」はそのひとつ。
少し話が逸れますが、ウズベキスタンを旅するとどこに行っても「ティムール」という名前を見聞きすることになります。彼は1300年代後半に一代で大帝国を築いた支配者であり、ティムール朝の建国者。ウズベキスタンでその名を知らない人はいない歴史的な有名人です。そのティムールが眠っているのが、このグル・アミール廟なのです。
細かい装飾の施されたきれいな水色のドームがフォトジェニックなグル・アミール廟ですが、内部もまたブルーとゴールドでまとめられ、思わずため息がもれるほどの美しさ。黒い墓石がティムールのもので、棺は地下に埋葬されています。しかしこの廟の美しさとはうらはらに、実はティムールのお墓には恐ろしい逸話が残っています。
ティムールが亡くなったのは1405年。彼の棺には「墓を暴いた者は、私より恐ろしい侵略者を解き放つ」といった文言が書かれてあるそうで、もともとティムールは一代で大帝国を築き上げた支配者ですから、その彼の言葉に背いて棺を開けることなど誰もしなかったわけですが、長い時を経て、1941年6月、当時のソ連の学術組織が調査のために棺を開けました。すると、なんとその2日後、ナチスドイツがソ連を攻撃し、独ソ戦へと突入していったといわれています。なんとも恐ろしすぎるティムールパワー。もちろんそれ以来誰も再び墓を開けることはしていないそうです(絶対開けてほしくないですよね……)。
もうひとつ、ティムールゆかりの人々が眠るお墓「シャーヒズィンダ廟群」もぜひ訪れてほしい名所です。ここはサマルカンドでも有数の聖地といわれていて、今も巡礼に訪れる人々が絶えません。入口の門をくぐると階段があるのですが、上りながら段数を数え、その数が下りでも同じだったなら、天国へ行けると言い伝えられています。
階段を上った先には、「死者の通り」と呼ばれる道があり、道の左右には鮮やかなブルーの霊廟が連なっています。ブルーにも細かい濃淡があり、さらに一つひとつ異なる、繊細で美しい模様が描かれていて、写真を撮る手が止まりません。各霊廟の内部にも入れますので、じっくり青の世界に浸ってみてください。
サマルカンドのほかに、タイムトリップ気分を味わえるヒヴァやブハラなどの古都もおすすめです。ちなみに食事は、ナンを中心としたパンが主食で、プロフと呼ばれるピラフに似たお米料理もあるので、日本人の私たちにとってもなじみやすい味です。食事がおいしい、というのも旅するうえで大事な要素ですよね!
ウズベキスタンについてはarucoシリーズでは未刊ですが、旅好き女子にぴったりのぼうけんディスティネーション。観光情報については地球の歩き方D15『中央アジア サマルカンドとシルクロードの国々』でたっぷり紹介していますので、ぜひ今年の旅先候補にしてみてください。
aruco編集部 上田暁世