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ベルギー、フランス、ドイツに囲まれたルクセンブルクは、神奈川県ほどの小さな国ですが、ヨーロッパ鉄道旅行初心者向けの国です。ルクセンブルクだけの鉄道旅行はなかなかする機会は少ないですが、近隣のベルギー、フランス、ドイツとの鉄道アクセスは便利な国です。今回は首都ルクセンブルク市をはじめとして、鉄道を使って日帰り旅ができる町などルクセンブルクの鉄道旅行のヒントを紹介します。
目次
初めてヨーロッパを鉄道で巡る旅を計画するのなら、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクのベネルクス3国が候補のひとつとして挙げられます。理由としては以下3点です。
今回は、ルクセンブルクの鉄道旅を紹介します。
2024年現在、残念ながら日本からルクセンブルク行きの直行便は飛んでいません。ルクセンブルクへは、おもに隣接するベルギー、フランス、ドイツからの直通列車が運行されています。まずはこれらの国へ向かい、そこからルクセンブルクへアクセスするとよいでしょう。
列車は、TGVを除き座席指定をしなくても利用できますので、ユーレイルパスなどの乗車区間をカバーしている鉄道パスであれば、追加料金なしで利用できます。
それでは、ここからルクセンブルク大公国の魅力をご紹介していきます。
首都ルクセンブルクは堅固な城砦都市です。ルクセンブルク市は、10世紀にルクセンブルクを治めたジークフリート(922~998年)によって、アルゼット川沿いの岩だらけのがけ地に城を築いたのが始まりです。城を築いた場所は、「ボックの砲台」あたりとなります。ルクセンブルクは地理的にも重要な戦略拠点として城砦を拡張していきました。18世紀後半から19世紀初頭にかけてのフランス革命戦争時では、フランス軍の包囲を7ヵ月間耐え、「北のジブラルタル」と呼ばれるようになりました。
城壁に囲まれた旧市街は「ルクセンブルク市 その古い街並みと要塞群」として世界文化遺産に登録されています。
旧市街はギューム2世広場を中心に見どころがあります。ギューム2世広場周辺は、観光案内所、ホテル、レストランがあり、ルクセンブルク観光の拠点。広場では毎週水曜日と土曜日にはマーケットが開かれます。
ルクセンブルクの玄関口となるルクセンブルク中央駅は、旧市街より南に約1.5kmの位置にあります。中央駅から旧市街へは、徒歩もしくはバスでアクセスできます。
旧市街の見どころとして、大公宮殿、ノートルダム大聖堂、ルクセンブルク市歴史博物館、ボックの砲台があります。
大公宮殿は、アダム・ロベルティによって1572~1574年に建てられました。現在は、ルクセンブルク大公の迎賓館として使われており、夏季の期間では内部を巡るツアーも実施されます。また近衛兵による衛兵交替式もみることもできます。
ノートルダム寺院は17世紀に建設されたイエスズ会の教会で、現在の建物は1935~1938年に再建されたものです。ルネサンス様式とバロック様式からなる複数の様式が併存しています。3つの尖塔を持つ教会はルクセンブルクのシンボルのひとつです。
「ルクセンブルク市博物館」は、ルクセンブルク市の約1000年の歴史、政治、経済の変遷を独特の地形モデルやマルチメディアを駆使した展示を使って紹介をしています。ルクセンブルクを知りたい方にはおすすめです。
「ボックの砲台」は、ルクセンブルクの発祥の地。アルゼット川沿いの断崖を駆使して建設された要塞には強大な地下要塞があり、砲台用の開口部からは、旧市街の街並を一望することができます。
徒歩の場合、駅前広場より右斜めに延びるリベルテ通り(Av.de la Liberte)を進む。しばらく歩くとペトリュッス川に架かるアドルフ橋に着きます。この橋を渡り最初の交差点(ブリュッセル広場)を右折し、フランクリン大通り(Boulevard Franklin)沿いを歩きます。しばらく歩くと憲法広場(Constitution Square)に着きますので、そこから北側に延びるシメ通り(Rue Chimay)を1ブロック歩き、ノートルダム通りを右折すると市庁舎があります。この裏側がギョーム2世広場となります。
バスの場合は、駅前のバスターミナルより旧市街向かうバス(1.2.4.7.9.10.11番など)で
ロワイヤル通り沿いにあるバス停Hamiliusで下車。19番のバスの場合は、ノートルダム大聖堂近くのバス停Centre, Cathédraleで下車。
ルクセンブルクは、神奈川県とほぼ同じ面積の小さな国です。鉄道網も首都ルクセンブルクを中心に南北と東西の十字路で幹線が敷かれています。ルクセンブルク国内で鉄道を使って日帰り旅をするのにおすすめの町がヴィアンデンViandenです。ここにはルクセンブルク国内で代表的な古城のひとつであるヴィアンデン城があります。
ヴィアンデン城は11世紀から14世紀の間に建設されました。ヨーロッパではロマネスク様式とゴシック様式の時期に建設された最大かつ最も美しい古城のひとつです。 15世紀の初めまでは、ヴィアンデンの領主はフランス王国と神聖ローマ帝国との緊密な関係を誇っていました。1417年、ヴィアンデン支配権はナッサウの家に継承され、1820年には、オランダ公国の支配下に入り、ヴィアンデン城も売却されてしまいました。
売却後は荒廃が進み、瓦礫の山となってしまいます。1977年に国有化され、復元作業が行われました。現在は往時の姿がされ、博物館となっています。日本語のオーディオガイドもあり、じっくり聞きながら見学すると2~3時間程度は必要となります。
1. ヴィアンデンの最寄り駅はエテルブリックEttelbruckもしくはディーキルヒDiekirch
エテルブリックまでは、ルクセンブルク中央駅からリェージュ行きのインターシティもしくはトロワヴィエルジュTroisvierges行きのレギオナルエキスプレスで27分~35分。1時間に1便運行【Table.446】。ディーキルヒ行きのレジオナルバーン利用の場合は、所要時間45分。
2. エテルブリックからヴィアンデンまではバスで移動
エテルブリック駅からはRGTR社(Regime General des Transports Routiers)の570番Stolzembourg行きでVianden Bréck で下車。所要時間は約25分。ディーキルヒ駅からも同じく570番のバスでアクセスする。平日は1時間に1便程度の運行。バス停からヴィアンデン城までは坂道を約800m登る。徒歩15分。
もうひとつの行き方として、Vianden Bréckのひとつ先のバス停Vianden Aale Moartで下車をして、5分ほど歩いた先にリフト「Der Sessellift」があり、リフトを使って、ヴィアンデン城の裏側に向かい。そこから約1km程度の山道を下り、ヴィアンデン城に行くことができます。この行き方の場合だと、上からヴィアンデン城を眺めることができます。
ヴィアンデンはウール川(下流ではモーゼル川)沿いにあるドイツとの国境の町です。亡命中のヴィクトル・ユーゴーが1871年に滞在しており、ユーゴーの像と博物館があります。
観光案内所は、Vianden Bréckの前にあります。ホテルはもちろんカフェやレストランもあり、ヴィアンデン城観光の後で、ゆっくりと休憩することもできます。ウール川沿いにも散策路もあります。
ルクセンブルク国内の主要鉄道会社はルクセンブルク国鉄Société Nationale des Chemins de Fer Luxembourgeois (CFL)です。CFLの列車は主要都市間で運行しており、国内都市間では1時間に1本程度の頻度で運行しているので、使い勝手は良いです。種別としましては、以下のとおりです。ドイツのフランス方面のTGVを除き、座席予約が必要な列車がほとんどないので、ユーレイルベネルクスパスなどの鉄道パスであれば、好きな時に好きな列車を利用することができます。
■レジオナルバーンRegionalbunn (RB)
日本でいえば普通列車に該当します。2等のみの編成が多いです。
■インターシティ Intercity(IC)
ルクセンブルクのインターシティは、ベルギー方面との国際列車となります。1等と2等の2クラス編成。おもに下記の2つのルートで運行しています。ルクセンブルク国内区間の停車駅はレジオナルエクスプレス(RE)と変わりません。
・ルクセンブルクLuxembourg-エテルブリックEttelbruck-クレルボーClervaux-リェージュLiège
・ルクセンブルク-アルロンArlon-ナミュールNamur-ブリュッセルBruxelles
■ティージーヴィ TGV
フランス国鉄(SNCF)の高速列車。ルクセンブルクとパリを結んでいます。全席指定制。
■テーウーエル TER
フランス国鉄(SNCF)の普通列車。ルクセンブルク~メスMets間などで運行しています。
●取材:鹿野博規(地球の歩き方 編集室)
●取材協力:Eurail B.V. ルクセンブルク政府観光局
記事中のアクセス方法に記載の【Table.000】は、「ヨーロッパ鉄道時刻表・日本語解説版」(定価2300円+税)に記載の時刻表番号となります。時刻表を使ってプランニングする際の参考として、ご利用ください。