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モロッコは現在、9つの世界文化遺産を擁しています。旧市街や古都、考古遺跡など、いずれもこの国の歴史と文化を象徴する貴重なスポットであり、多くの観光客が目指す憧れの地でもあります。しかし、位置するのはアフリカ大陸。夏は猛烈に暑く、冬は指先まで凍るほどの寒さで観光するには気合いが必要(!?)。世界遺産をじっくり見るなら、ちょうど今の時期、10~11月くらいがおすすめなのです。ここでは、9つの遺産のうち、特におすすめの3スポットをご紹介します。
モロッコ北部の街フェズには、旧市街(9世紀にできたフェズ・エル・バリ、13世紀にできたフェズ・エル・ジュディドをあわせてこう呼ぶ)と、フランス保護領時代にできた新市街とがあります。このうち、世界文化遺産に登録されているフェズ・エル・バリは最も歴史の深い地区で、城壁門をくぐって入るとまるでタイムスリップしたかのような錯覚に陥るほど。細い路地が縦横無尽に張り巡らされ、飛び交う店の呼び込み、色とりどりの布やバブーシュ、立ち込めるスパイスの匂いが五感に突き刺さります。
こちらもモロッコ北部、見渡すかぎりの草原地帯のなかに佇む遺跡です。この場所は、紀元前1世紀頃にローマ帝国属州の州都が置かれたところ。全盛期には2万人もの人々が生活していたといわれています。当時の人々の暮らしを物語る家々や浴場のほか、全属州の自由民にローマ市民権を発布してくれたカラカラ帝への感謝をこめて建造されたといわれる凱旋門なども残っています。
ヴォルビリス遺跡への公共交通機関はないため、メクネスからグランタクシーをチャーターするのが一般的。アクセス詳細やおすすめの回り方は、aruco14『モロッコ』、地球の歩き方ガイドブックE07『モロッコ』に掲載されています。
数々の映画のロケ地にも採用されている、モロッコで最も美しいといわれる村のひとつ。丘の斜面に沿って、日干しレンガ造りの要塞が並んでいます。色は一面赤茶色、ほかには何もない風景なのに、見る者をはっとさせる圧倒的な迫力をもつ世界遺産。アクセスのよい場所ではないにもかかわらず、「ここを見たくてモロッコを訪れた」という人が後を絶ちません。完全な観光地ではなく、今でもベルベル人の5~6家族が生活している暮らしの場でもあります。