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手つかずの大自然が多く残る、絶景の宝庫・花蓮(ホアリエン)。太魯閣溪谷(タイルウグーシーグー)や人気が出てきた台湾東部への足がかりにもなる場所で、旅行者が先住民の文化にふれられる貴重な都市でもあります! 数年前には大きな地震が発生したけれど幸い景勝地には被害は少なく、復興を後押しするためにも花蓮へ来てほしいと、現地の人々も熱望しています。台北から鉄道の本数が増え、ぐっとアクセスしやすくなった花蓮へ。今こそ行かなくちゃ!!
台北の南東に位置する花蓮は、人口約11万人、台湾東部最大の都市。
台北からのおもなアクセスには、①電車、②飛行機があります。価格がリーズナブルで本数も多く使いやすいアクセスは、鉄道利用。
①鉄道の場合は、台鐵(台湾鉄道)「台北」站(駅)から「花蓮」站まで太魯閣號・普悠瑪號で約2時間。毎日多くの電車が出ています。また、もう少し時間のかかる自強號なら約3時間。
②飛行機の場合、台北の街中にある台北松山空港から立榮航空で約40分。毎日2便運航。
ただし台北からの鉄道利用は人気が高いためチケットが取りにくく、バスを利用する人も多いのですが、花蓮までの直通バスはありません。バス利用の場合は、台北から一度羅東まで高速バスで移動し、そこからさらに鉄道に乗り換えます。葛瑪蘭客運、首都客運など複数のバス会社がバスと區間車(各駅停車)の列車がセットになったチケットを発売しているので、これを利用するとよいでしょう。なお鉄道部分は追加料金を支払えば、太魯閣號、普悠瑪號、自強號への乗車も可能となります。
なお、花蓮の街の中心部は鉄道駅から約1.5㎞、空港から約5㎞離れているため、移動が必要です。
①鉄道利用の場合、「花蓮」站から街の中心部までは「花蓮」站前の花蓮客運バスターミナルから北線、南支線、機場線、七星潭線などを利用し、「東大門夜市」「中華路」などで下車。タクシー利用の場合、約15分。
②飛行機利用の場合、空港から「花蓮」站まで1123路バスを利用、約30分。「花蓮」站からさらに上記のバスやタクシーを利用します。
東海岸の大都市・花蓮は、大海原の太平洋に面し、背後には“台湾の背骨”ともいわれる3000m級の中央山脈が迫る自然豊かな絶景の街。阿美族を筆頭とする先住民が住む地で、19世紀半ばに訪れた漢人が渦巻く激しい波の海を見て「洄瀾」と名づけたといわれています。その発音に近い名に改められたのが、現在の名「花蓮」。
日本統治時代には、日本人が港を築き商業港として発展。日本人移民の玄関口となったため、今でも日本文化の痕跡がそこここに感じられる身近な都市でもあります。
観光としては、先住民の舞踊を観賞できる「花蓮阿美文化村」や日本統治時代の遺構「松園別館」など、花蓮の特徴となる先住民や統治時代の日本のカルチャーにふれられる場所。また世界遺産級の「太魯閣溪谷」への玄関口となっているほか、台湾リピーターが増えた現在では、絶景を求めて近郊のビーチ「七星潭」や金針花という花の名所「六十石山」、エメラルドグリーンの湖「鯉魚潭」など穴場のフォトジェニックスポットを訪れる旅行者も増えています。
グルメの面では、「扁食」と台湾で呼ばれるワンタンが名物で、専門店も複数あり。先住民族料理が味わえる東台湾最大級の夜市「東大門國際觀光夜市」なども楽しめます。花蓮ならではの名物料理を味わってみましょう!
花蓮周辺の自然が織りなす、4ヵ所の絶景ポイントをご紹介!
市内から約7㎞北にあり、美しい弧をなす絶景ビーチ。「花蓮」站からタクシーで約20分のロケーションで、若者のデートスポットとしても知られています。断層で形成された海峡と優美な弦状の湾が特徴で、ビーチからは遠くに緑深い中央山脈も眺められます。波が高く潮の流れも速いため泳ぐことはできませんが、晴れた日には海の色がコバルトブルーに染まります。
おすすめは海の色がきれいに見える朝。透明度がとても高い。また素晴らしい夕景も楽しめます。周辺にはサイクリングロードも整備されており、レンタサイクルも可能。さらに花蓮市内の南浜公園から、花蓮港や四八高地を通り、七星潭までサイクリングもできます。約21キロの距離なので、体力のある人はチャレンジしてみて! 近くには、日本統治時代に建てられた鰹節工場を改装した「七星潭柴魚博物館(チーシンタンチャイユーボーウーグワン)」もあり、鰹節に関するさまざまな展示が行われています。
世界遺産級とも噂される、台湾有数の景勝地。花蓮の北約30㎞の場所に広がり、立霧溪が長年にわたり大理石の岩盤を侵食し形作った大溪谷となっています。その名の由来はいくつか説がありますが、ひとつはかつて先住民の德魯古(タルク)族が、この溪谷を気に入って暮らしており、日本統治時代に日本人がタルクの音を発音出来なかったことから大魯閣(タロコ)という名を当てたといいます。その後、国民党により漢字が変更され、「太魯閣」の名に改められました。入山制限のある聖域には今も太魯閣族が生活しています。
溪谷は真っ赤な中華風の門の「太魯閣牌樓(タイルウグーパイロウ)」から、「天祥(ティエンシャン)」までの約18㎞がおもな観光ルート。「太魯閣牌樓」を入ると、ビジターセンターがあるので地図などを入手しましょう。出発点となる「砂卡礑歩道(シャーカーダンブウダオ)」は、日本統治時代に発電所建設のために作られたもので、崖を削り遊歩道が続いています。大理石の岸壁と澄んだブルーの川のコントラストが美しく、神秘的な雰囲気です。
「長春祠(チャンチュンツー)」は断崖沿いに続く東西横貫公路の、難航した工事中に殉職した200名以上の霊を祀っています。またここは湧き水が白糸のような滝となっており、風景画のような趣きの場所です。「布洛湾台地(ブウルオワンタイディー)」は、海抜370mと400mの環流丘陵。太魯閣族の展示館もあります。
「燕子口(ヤンズーコウ)」はイワツバメが多くやってくるためこの名がつけられ、絶壁が間近に迫り圧巻の断層を見ることができます。奇岩怪岩もこのあたりに点在しています。「九曲洞(ジウチュウドン)」はクネクネと曲がりくねった場所で、溪谷の中で一番狭く迫力のある風景が眺められます。「慈母橋(ツームウチャオ)」まで行くと一気に視界が開け、山脈と空が見えてきます。赤い橋と記念撮影もおすすめ。「天祥」はバスで行く場合の終着点。西側からの玄関口にもなっており、尼寺や食事処もあり、12月になると梅がきれいに開花します。
なお、太魯閣渓谷は花蓮客運「新站バスターミナル」から花蓮客運バス、もしくは台湾好行バス「天祥」行きで所要約1時間30分~2時間で行くことができますが、バスの本数は1時間1本程度と少なく、落石によるケガ防止のヘルメット着用がベターな場所もあるので、ツアー利用も便利です。タクシーチャーターなら1日2500元程度となります。
花蓮の海沿いに広がる公園。サイクリングロードが整備してあり、街中から自転車で訪れる人も多い場所です。園内には3Dアートのオブジェも点在。また日本統治時代に鉄道橋だった橋もあります。
・住所: 花蓮市南濱公園
花蓮市内から南に約17㎞のロケーションにある、天然湖。エメラルドグリーンの湖が水鏡となって、鯉魚山の山容が映る絶景スポット。湖畔のサイクリングロードは1周5㎞、約20分で回ることができる。
・住所: 花蓮県寿豊郷池南村環潭北路100號
日本統治時代に関わる建物や、先住民に関連した花蓮ならではのスポットを巡ってみましょう!
1940年代初頭に建てられた日本統治時代の軍事建築物。「花蓮港兵事部」と称し、日本軍の花蓮最高軍事司令部や高級将校・士官の休憩サロンとしても使用されていました。また日本の神風特攻隊が出征前に、天皇からの恩賞である御神酒をここで受けたともいわれています。
建物はレンガを使用した洋風建築や日本の瓦を載せた折衷スタイルなど。そのまま残った防空壕には現在特攻隊の資料が展示され、軍人が自害した日本式の小屋も修復されています。施設は一望する高台にあり、松の大木が茂る敷地も特徴的です。「花蓮」站前のバス停から1133番のバスに乗車しバス停「松園別館」下車、またはタクシーで約15分です。
約900年前から台湾東部に住み、台湾先住民のなかで一番人口が多い先住民族といわれる阿美族。歌と踊りが得意で、花蓮に多く住む阿美族は、祭りや儀式の際、民族衣装に身を包み、歌い踊り明かすのが常といわれています。
こちらのスポットでは広々とした円形の屋内会場で、伝統の歌や踊りのショーを毎日開催。約1時間の上演で、最後には観客も一緒に踊りに参加可能です。ただし撮影は厳禁なので要注意。衣装は各民族によって配色や装飾物などが異なり、阿美族の女性は貝やトンボ玉の飾りをつけ、エプロンのようなスカートを身にまとっています。迫力ある豊年の舞いや、狩りの舞いなどの伝統舞踊を堪能しましょう。
日本統治時代に台湾で初めての官製移民村・吉野村に設けられたのが、1917年創建の真言宗「吉野布教所」。江戸風の建物で、弘法大師と不動明王を祀り、現地の人々への日本語教育なども行われていました。その後、日本人移民が帰国し、吉野村が吉安郷となり、この布教所も「吉安慶修院」と改名。1997年に花蓮県の古跡に指定され、現在では吉野村の歴史写真等が展示されています。また隣の駐車場では、8月に先住民族の豊年祭が開催されます。
花蓮の中心部にある旧花蓮站の附属施設をリノベ―ションした施設。かつてここは、花蓮と台東を結んだ鉄道の終着地でした。建物は二館に分かれており、鉄道の歴史資料やかつての鉄道ジオラマを展示している一館と、昔の線路に蒸気機関車を保存した二館とも公開されています。
看板や列車のパーツなどかなりレアな資料も多く、昔の花蓮の様子もわかることから鉄道ファンならずとも楽しめます。土曜には地元農家によるファーマーズマーケット「花蓮好事集」も開催。「東大門國際觀光夜市」も近いので、見学の帰りに夜市に立ち寄ってみては?
東台湾最大級の夜市には先住民族料理やワンタンに加え、黄金シジミなど名物が目白押し! また、酒工場をリノベーションしたおしゃれな複合施設にも立ち寄ってみよう♪
2015年7月にオープンした台湾東部最大級の夜市。趣向の異なる4つの夜市が集結し、歩道には花蓮産の大理石を使用。先住民族のショーやミュージシャンのライブなども行われています。この夜市では、先住民風味の料理に加え、広東・広西・河北・河南・湖南・江西などの中国大陸の郷土料理が食べられる屋台が大陸各省一條街に軒を連ねているのも特徴。竹筒に餅米を入れた「竹筒飯」(ヂュウトンファン)などにもチャレンジしてみて!
花蓮名物・ワンタン(=扁食)の専門店。創業70年以上を経ており、メニューはワンタンスープ1本で一日1000杯以上を売り上げることも。花蓮産の新鮮な豚肉の後ろモモ肉を用い、揚げタマネギが味のアクセント。売り切れ御免の店なので、早めの利用がおすすめ。
・住所: 花蓮市信義路42號
・営業時間: 10:00~13:30、16:00~20:30頃(売り切れ次第終了)
・定休日: 日
花蓮ワンタンスープの創始店。こちらもメニューはワンタンのみ。新鮮な豚肉を薄皮で包み、スープのセロリと焦がしネギが味の決め手!
・住所: 花蓮市中華路120號
・営業時間: 10:00~20:30
・定休日: 水
自社養殖場でシジミや鯛を養殖し、施設内にあるレストランで提供。このエリアのシジミは「黄金シジミ」の名を持ち、大粒で肉厚、プリプリの食感で知られている極上品。「シジミの醤油炒め」などがおすすめです。また施設内ではシジミ取り体験も可能です。
・住所: 花蓮県寿豊郷共和村漁池45號
・営業時間: 9:30~14:30、15:00~19:30
・定休日: 無休
日本統治時代は日本酒製造工場、戦後は砂糖製造工場として使用されていた建物。現在はレストランや雑貨店などが入り、フリーマーケットや音楽イベントなども開催される複合施設になり、花蓮の先端観光スポットに!
先住民のバッグや花蓮産のアイテムなどモダンデザインのショップ「事事創藝空間(シーシーチュアンイーコンジエン)」は、花蓮ならではのおみやげを買いたい人には最適。店舗は入れ替わりが激しいので、歩き回ってお気に入りを見つけましょう。
・住所: 花蓮市中華路120號
・営業時間: 10:00~20:30
・定休日: 水
「花蓮」站から歩いて約7分と徒歩圏内にあるロケーション抜群のホテル。全62室、明るい雰囲気のロビーでフレンドリーなスタッフが迎えてくれます。客室の壁には花蓮の街の絵が掛けられており、すっきりとしたモダンなインテリア。アメニティや無料ドリンクなど、設備以外の付帯サービスも充実。また、ホテルにはレンタサイクルもあるので、街や少し離れた近郊の絶景スポットまでサイクリングで出掛けるのもいい!
・住所:花蓮市國聯一路201號
花蓮からは少し距離があるけれど、太魯閣に出かけるなら泊まりたいホテル。敷地には、太魯閣族の伝統的な家屋や猟場が再現され、先住民の集落をイメージした宿となっています。民族の伝統を若者に伝えていくために作られた宿といい、スタッフは全員太魯閣族の人々。夜には日本統治時代を舞台にしたショーも行われ、レストランでは小米酒やイノシシ肉などを使用した先住民の料理が堪能できます。清潔感のある客室も好印象。奥深い渓谷にあり、神秘的な雰囲気すら漂っています。花蓮站からは花蓮空港を経由する送迎バスもあり(所要約1時間、要予約)。
・住所:花蓮県秀林郷富世村231-1號
台湾東部に位置しており、夏は高温多湿(8月の平均最高気温は32度)、冬は乾燥し温暖なサバナ気候となります(1月の平均気温は18度)。一年が雨季と乾季に分かれ夏は雨季、冬は乾季となり、その間に日本よりも短い春と秋があります。
春から秋にかけては半袖などでOK。暑さは南部よりも過ごしやすいですが、冷房が効いているため屋内と屋外の気温差が激しいので春から秋にかけても羽織るものを持っているとベター。また夏場はスコールのように急な雨も多いので、雨具の準備をしておくと安心です。ただし、長くは降り続かないのでその間どこかの店で雨宿りをするなど、臨機応変に対応しましょう。なお6月~10月頃までは台風シーズンにあたりますので要注意。特に太魯閣溪谷へ足を延ばす人は、落石に気をつけてください。
①六十石山(リウシーシーシャン)
ここ数年、台湾リピーターの間で夏場になると話題になる絶景スポット。夏場の8~9月がシーズンで、標高964mの海岸山脈上を、色鮮やかな金針花(ワスレナグサ)が覆います。300ヘクタールにもおよぶ金針花畑や田園風景が広がる六十石山には、10 軒の涼み台があり、リトルスイスという名の展望台も。山頂付近では、カフェが夏季限定でオープン。絶景を眺めながらサイフォンで淹れたコーヒーをいただきましょう♡ アクセスは台鐵「池上」站からタクシーで約40分。
・住所: 花蓮県富里郷竹田村雲閩
・URL: https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003016&id=R39
②赤柯山(チークーシャン)
もう1つの金針花スポットがこちら。海抜900mの土地に咲く金針花を求め、毎年多くの人々が訪れています。8~9月の収穫時期には、農夫による作業風景の写真が撮れる場合も。高さ26mの滝「鐵份瀑布」など、周辺には観光スポットも多数あり。台鐵「瑞穂」站からタクシーで約20分。
・住所: 花蓮県玉里鎮觀音里高寮村
・URL: https://www.erv-nsa.gov.tw/zh-tw/attractions/detail/53
③石梯坪(シーティーピン)
花蓮近郊の岩礁が数キロ続く、もうひとつの絶景スポット。海岸では潮間帯や壺穴地形がみられるほか、星空や月明かりが幻想的な夜もおすすめ。花蓮客運「新站バスターミナル」から花蓮客運バス「台東駅」もしくは「靜浦」行きで約1時間30分。
・住所: 花蓮県寿豊濱郷港口村石梯坪
・URL: https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003124&id=R68
台湾リピーターに最近注目されている台湾東部。台北に比べまだまだ情報は少ないけれど、その代表格である花蓮は、少し足を延ばすだけで息をのむような絶景に出合える都市。またフォトジェニックな写真が撮れるだけでなく、阿美族が多く暮らし、先住民のカルチャーに気軽にふれて学ぶことができる場所でもあります。もちろん台湾有数の景勝地・太魯閣溪谷もここからスタート! さまざまな角度から台湾を味わってみたいなら、ぜひ花蓮へ♪
TEXT: トラベル・キッチン ぬくい ゆかり
PHOTO: iStock、上原浩作
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