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世界中に店舗を拡大し、日本国内でも20店舗を展開する言わずと知れた小籠包の名店、鼎泰豐。その第1号店となる台北の信義店では、多い日で1日1万個を売り上げるとのこと。数ある小籠包店のなかで、なぜ鼎泰豐が選ばれるのか? その理由を深掘りしました。おいしいだけじゃない、とことん追求した食へのこだわりと接客に脱帽です!
1958年、中国山西省出身の楊秉彝(ヤンビンイー)氏よって食用油の問屋として創業しました。その後、食用油の売上低迷により、1972年に点心の販売をスタート。瞬く間に地元で評判となり、点心専門店として本格的に力を入れていきます。
その後、1993年にニューヨーク・タイムズ紙で「世界のおいしいレストランBEST10」に選ばれたことにより一気に知名度を上げ、2010年に香港の鼎泰豐がミシュラン一つ星を獲得。2013年にはアジアベストレストラン101で1位に輝きました。鼎泰豐の第1号店は、観光客に人気の永康街(ヨンカンジエ)にあり、地元住民や観光客をはじめ、政財界の著名人や国際派映画スターなどに愛される店に。2019年9月現在、台湾に10店舗、海外に151店舗を展開しています。
①看板メニューの小籠包
「天然食材を使う、生地は必ず手作り、豊かな具材」をモットーにしており、皮作りから具作り、蒸し時間に至るまで細かくマニュアル化されているため、いつ行ってもおいしい小籠包が食べられます。クオリティが安定しているので、大切な人を案内するときにも安心です。
②サイドメニュー
12種類90品目の豊富な料理メニューの中から、特におすすめのメニューを紹介します。「えびチャーハン」はプリプリ食感の新鮮なエビに、ネギ、卵を入れたシンプルな味付け。米は台湾産の台粳九号米を使用しており、白米か玄米かを選べます。「鶏肉の紹興酒漬け」は、厳選した鶏モモ肉をオリジナルのたれに漬け込み、紹興酒を加えた人気メニュー。しっとりとした鶏肉は一度食べたらやみつきになります。
あっさり食べるなら「野菜と豚肉入り蒸し餃子」。極細に刻んだチンゲン菜と脂身、赤身が均一な豚肉餡を薄くコシのある皮で包んでいます。スープなら「鶏肉蒸しスープ(塩味)」。黒羽地鶏を弱火で100分間煮込んでおり、鶏肉は口に入れるととろけます。2019年7月より、特製の塩漬け卵黄が入った「カスタード饅頭」と秘伝の味付けをしたエビ餡入りの「揚げエビパイ」が新登場しました。
③高い接客力
鼎泰豐を不動の人気店にした理由のひとつに、接客力の高さがあります。温かさと柔軟性に富んだ接客を大切にしており、痒いところに手が届くサービスを徹底。笑顔でスマートな接客はもちろん、各テーブルに荷物入れがあり、トイレにはウォッシュトイレを設置するなどローカルの小籠包店との違いは歴然としています。また、語学堪能なスタッフが多く、胸に着けている国旗のバッジの種類で話せる言語が見分けられるのも嬉しいポイント。接客に優れたスタッフにはベストマナー賞を授与しており、受賞者は店内に顔写真が張り出されるシステムです。
④技術の高い点心師の存在
鼎泰豐では美しく整った小籠包を作るため、後述する社内テストなど厳しい規定が点心師に求められます。高い技術を保ち続ける点心師たちが多く在籍し、伝統の鼎泰豐の小籠包を守っています。ちなみに「京鼎樓(ジンディンロウ)」や「京鼎小館(ジンディンシャオグワン)」を営む陳3兄弟などもこの店の出身。確かな技術を鼎泰豐で培い、多くの一流の点心師が巣立って世界に誇る台湾の小籠包文化を支えていることが、鼎泰豐の技術の高さを物語っています。
①皮の美しさ
皮は薄く均一にして、18絞りのひだを作ります。その美しさは「黄金18摺(ホアンジンシーバーヂョー)」と呼ばれており、重さも皮5g、餡16gと社内規定があります。行列ができる人気店にも関わらず、作り置きはせず、必ず注文を受けてから作り始めます。職人は、定期的に社内研修や社内テストを受ける決まりになっており、店には高い技術力を保てる環境が整っています。
② 味わい深い肉汁
看板メニューの小籠包は、脂のりがよい甘味がある台湾産の豚肉を使用しています。スープはコクのあるややこってり系で、鶏ガラでじっくり炊き出した透明のスープに、秘伝の調味料をプラス。できたてのスープは大変熱いので、火傷には注意しましょう。
③種類が豊富
鼎泰豐の小籠包は変わり種が多く、濃厚なカニみそがたっぷり入った「蟹みそ小籠包」、地鶏とタマネギの相性がよい「鶏肉小籠包」、台湾産のツノニガウリとヘチマに新鮮なエビを入れた「ヘチマとえび入り小籠包」、黒トリュフを丸々1枚包んだ贅沢な「トリュフ入り小籠包」などがメニューに並びます。スイーツ系では、手間暇かけて作られる餡子を用いた「あん入り小籠包」、素朴な味わいの「タロイモ小籠包」、芳醇なブラックチョコレートを包んだ「チョコレート小籠包」があります。また、台湾限定メニューとして、週末の午前中のみ提供する「ミニ小籠包とスープ」も絶品です。小籠包はハーフサイズ(5個入り)から注文できるので、ひとり旅の場合やさまざまなメニューを楽しみたいときにもおすすめです。
④ 食材の安全性
厳選食材にこだわり、鶏肉は台湾東部の養鶏場にて放し飼いで育った黒羽地鶏、豚肉は台湾政府が原材料は国産品であり健康や安全の基準を満たしていると認めたCAS認定した業者から購入しています。エビは品質を維持するため低温の専用作業室で下処理を行い、鮮魚は台湾政府認証のCASとHACCP(食品衛生管理システム)を有する工場で養殖された魚を取り寄せています。大豆製品は遺伝子組み換えでないもの、ラードはセントラルキッチンの自家製など徹底したこだわりが特徴です。
たれの黄金比率は、黒酢3に対し、醤油1がおすすめです。2回目からは比率をいろいろ変えて、オリジナル配合のたれを作ってみましょう。おいしい食べ方は、小籠包をレンゲにのせ、箸で少しだけ皮を破り、まずスープそのものの味を楽しみましょう。その後、たれに漬けた針ショウガを小籠包にのせてひと口でいただきます。鼎泰豐のショウガは細切りなので、小籠包の味を邪魔せず食感も抜群です。
セイロから小籠包を持ち上げるときは、小籠包の先端をつかむと破れにくいのでお試しを。時間が経つとセイロにくっつきやすくなるので早めにいただきましょう。少しスープが冷めてきたら、少々マナー違反ではありますが、皮を破らずにかぶりつくのもおすすめ。口のなかで皮が弾け、スープが口いっぱいに充満して満足感を味わえます。なお、黒酢や醤油は化学調味料や防腐剤無添加のオリジナル製品で、業者に対して定期的に審査を行うなど品質・衛生管理も徹底しているので安心。お土産として購入することも可能です。
やはり一度は足を運びたい信義店。鼎泰豊はここでの実績があったからこそ、世界へと店舗を拡大していくことができました。店内には創業者のコレクションである水墨画などが飾られ、カジュアルながらも落ち着いた雰囲気が漂っています。信義店は日本人の利用が多いため、他店舗に比べ日本語ができるスタッフが揃っています。ただし、この店舗のみクレジットカードが使えないので注意しましょう。
座席は300席を完備していますが、常に行列ができるため、比較的空いている平日の開店直後を狙って行くのがおすすめです。永康街に店を構えているので、行列ができていたとしても先に整理券を取っておき、周辺のショップやカフェを散策すれば時間を無駄にすることはありません。すぐ近くに、マンゴーカキ氷で人気のアイスモンスターの新店がオープンしたので、食後のデザートで立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
台北のランドマーク、高さ508mのビルで有名な台北101の地下1階にある店舗。台北メトロ(MRT)の「台北101/世貿」駅4番出口を出てすぐ、台北101の建物に入ると右手にあります。他店舗同様、整理券を受け取り、番号が呼ばれるのを待ちましょう。建物内にはフードコートやショップ、カフェ、スーパーマーケットなどが揃っているので、時間を上手に使えるロケーションです。
他店舗に比べて席数が多く回転が速いのがメリットですが、台北101のお膝元ということもあり団体客の利用も多い店舗なので、ゆっくり静かに食事を楽しみたい人は他店舗をおすすめします。なお、台北101店と信義店では、オプショナルツアー販売サイト「kkday」や「VELTRA」では小籠包セットお食事チケットの予約が可能(席の予約は不可)。小籠包を満喫した後は、台北ビューを見に展望台へ。89階は屋内展望台。91階の屋外展望フロアでは、風を感じながら大迫力の眺望を楽しめます。88階にある世界最大級のウインドダンパーも必見です!
鼎泰豐のホームページでは、現在の待ち時間と呼び出し番号をリアルタイムで確認することができます。信義店と復興店が混雑する傾向にあり、平日の昼時であれば、信義店と復興店は約1時間。101店、南西店、天母店は約30分程度の待ち時間となることが多いです。
・URL: http://www.dintaifung.tw/Queue/?type=3
待ち時間が比較的少ない店舗は下記です。
■A4店(エースーディエン)
・住所: 台北市信義區松高路19號 新光三越信義新天地A4館B2F
・営業時間: 11:00~21:30
・休日: 無休
■天母店(ティエンムーディエン)
・住所: 台北市中山區中山北路六段77號 SOGO天母店 B1F
・営業時間: 10:30~21:30(土・日・祝10:00~)
・休日: 無休
※台北中心地からは少し離れています。
■信義店(シンイーディエン)
・住所: 台北市大安區信義路二194號
・営業時間: 10:00~21:00(土・日・祝9:00~)
・休日: 無休
■101店(イーリンイーディエン)
・住所: 台北市信義區市府路45號 台北101購物中心B1F
・営業時間: 11:00~21:30(金・土・祝前日~22:00)
・休日: 無休
■復興店(フーシンディエン)
・住所: 台北市大安區忠孝東路三段300 號 SOGO復興館B2F
・営業時間: 10:00~21:30(金・土・祝前日~22:00)
・休日: 無休
■南西店(ナンシーディエン)
・住所: 台北市大同區南京西路12號 新光三越南西店1館B2F
・営業時間: 11:00~21:30
・休日: 無休
台湾リピーターに「人に紹介したいおすすめの小籠包店は?」と聞くと、多くの人が鼎泰豐と答えます。有名店チェーンながら、その安定したサービスとこだわりで唯一無二の存在になりました。豊富なメニュー展開のうえ、台湾の食材を用いた日本では味わえないメニューや新メニューも登場するので、何度訪れても飽きることがありません。ぜひ一度足を運んでみてください。
TEXT:トラベル・キッチン 大西 稚恵
PHOTO:iStock、内藤 健志
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