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ロッテルダムの魅力Part3:デザイン国のグルメはイノベーション&プレゼンテーション

地球の歩き方編集室

地球の歩き方編集室

更新日
2019年11月27日
公開日
2019年11月27日
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レストラン「Héroine」

グルメは旅行のお楽しみ。オランダはどんなおいしいものがあるの? イメージが浮かばないという人も多いのではないでしょうか。あるいはチーズだけとか、パンだけとか……。そんなぼんやりしたイメージが変わりつつあるかもしれません。トレンドを追うなら、いつも新しい何かが生まれるロッテルダムへ。というわけで、ロッテルダムの魅力の最終章Part3は、ロッテルダムの個性が光るダイニングを紹介します。

緑広がる屋上のカフェ――OPHETDAK

ビルの屋上カフェの「OPHETDAK」

ロッテルダムの北エリアは、中心にありながら幹線道路の寸断により長く忘れ去れていたエリアでした。4年前の2015年、インスタ映えする黄色い空中歩道がかけられ、車道に遮られることなく行き来ができるようになり、元オフィルビルの昭和な雰囲気を好んでアーティストがオフィスを開き、バーができ…と、徐々に変わり始め、今は、ヒップだけど知る人ぞ知るエリアになっています。

約400mの長さの空中歩道「Luchtsingel」

そんなビルのひとつの屋上にあるOP HET DAK(屋上という意味)は、オランダ最大の屋上農場が広がり、目線の先にはビル群があり、眼下にシティの街並みをのぞむという、“大都市の田園”カフェ・レストランです。

エレベータで6階まで上がって、最後の1階は階段で。カフェの外では、ヨーロッパ最大として脚光を浴びた屋上農園が広がり、そこでは野菜、食用花やハーブなどが栽培されています。だからか、巨大ビルながら、緑に囲まれた郊外のこぢんまりとしたカフェにいるかのよう。地元のクラフトビールや農家から仕入れたチーズのほか、野菜をふんだんに使った色鮮やかなベジタリアンメニューも豊富です。友人とおしゃべりをしながらランチをしたい時にぴったり。帰り際、階段を降りながら、「楽しかったねー」と言い合える居心地のよさが魅力です。

■ OP HET DAK
・住所: Schiekade 189, 3013 BR, Rotterdam
・営業時間: 8:30~17:00
・定休日: 月曜
・URL: https://ophetdak.com

お楽しみはサブライズで。デルフトブルーが映えるレストラン――DeMatroosenhetMeisje

海兵さんと少女という意味の「DeMatroosenhetMeisje」

ロッテルダム中央駅からメトロで約25分。かつては物騒な売春街として悪名高く、今はPart2でお伝えしたFenix Food Factoryなどで若者に人気が高いKatendrechtというエリアがあり、そこに今回紹介するDe Matroos en het Meisje があります。店内に入って目を奪われるのは、赤と青のギンガムチェックで統一されたテーブルクロスに白いテーブル、そして壁いっぱいに広がる今風のデルフトブルー。よく見ると北斎からヒントを得たと思われる波しぶきや、第二次大戦で受けた爆弾の代わりに空から降ってくるスプーンやフォーク、中華街として発展したKatengrachtの歴史のモチーフなど、ユーモアとストーリーがある壁画になっています。センスと遊び心が同居する、さすがオランダ。

このレストランはアラカルトメニューが選べません。問答無用の3品、4品、5品、6品コースのみ(アレルギーなどがあれば予約時に伝えることができます)。シェフが旬のお野菜や食材を使って、華やかなサプライズを届けくれます。旅行先では、これが食べたい!というはっきりした目的がない限り、メニューを見てもたいがいイメージできないものです。なら、シェフにすっかり任せてみませんか? その時期の食材を主役にピュレや野菜で見目麗しく盛り付けています。訪れた時はちょうどアスパラが旬でした。緑、白ともどもにピュレやソース、魚などにあわせてたっぷり楽しみました。任せて正解!

■ De Matroos en het Meisje
・住所: Delistraat 52, 3072 ZL, Rotterdam
・営業時間: 18:00~23:00
・URL: https://www.dematroosenhetmeisje.nl

オランダのクリエイティビティが光る――Héroine

レストランとバーコーナーがある「Héroine」

オランダ料理のイメージが浮かばないのはオランダ人も同様です。「あなたのお国の料理って?」と質問を投げかけると、たいがい考えこんでしまいます。「マッシュしたイモ料理?」「……もしかして、インドネシア料理かもしれない(かつての植民地)。旅行先で恋しくなるし」。自国民が考えあぐねるのだから、私にわかるわけがない。そう思っていましたが、もしかして、これがひとつのオランダ料理ではないか?と思わせるレストランがありました。名前はフランス語でヒロインという意味のHéroineです。

チョコレートとダークレバーのマカロン

Héroineはロッテルダム中心街から少し歩いたインダストリアルエリアにあります。2017年にオープン、無機質で洗練されたインテリア、フレンチをベースにした創造性のある料理、ソムリエを控えるワインリストで、オープンからわずか6か月でオランダの新聞で賞をとるほどの評判になりました。

卵の黄身がとろっととけだし、パリパリのヌードルと下のビーンズとからまる

Héroineも4品、5品、7品のコース料理のみ(ランチは3、4、5品のコース)です。一皿一皿が創意工夫に満ちていて、一見、何の料理だかわかりません。わからないのがかえって想像をかきたて、口に入れたときの意外性、食材との絶妙なコンビネーションなど、途方もない楽しみを味わわせてくれます。ワインとお料理のマリアージュもお任せにすることができます。一緒にお食事をしたワイン通の人は、「この組み合わせできたか!」と料理とのかけあいを楽しんでいました。白いお皿の上で次々に繰り出されるHéroineの世界を堪能しながら、自由に斬新に発想し、グラフィックデザインで培ったセンスで美しくプレゼンテーションするこの国の心意気が、新しいオランダ料理を築き上げていくのかもしれないと思いました。

イベリコラムと独特な味とリンゴの酸味がソースで絶妙なハーモニーに
ヤギのミルクのクレームブリュレ

■ Héroine Restaurant & Bar
・住所: Kipstraat 12, 3011 RT, Rotterdam
・営業時間: 火曜~土曜18:00~24:00、ランチ木曜~土曜12:00~15:30
・定休日: 日曜、月曜
・URL: https://restaurantheroine.nl

協力: オランダ政府観光局

TEXT・PHOTO: 水迫尚子(オランダ在住ライター)

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