キーワードで検索
グリム童話『ブレーメンの音楽隊』でその名が知られるブレーメンは、北ドイツのハンザ同盟都市として長らく繁栄し、旧市街には歴史的な建築物が建ち並んでいます。重厚なブレーメン市庁舎と、その前に立つローラント像は世界遺産に登録されています。観光スポットは、旧市街に集まっているので、美しい町並みを徒歩でゆっくり楽しむことができます。
人口約55万人のブレーメンは、北ドイツではハンブルクに次いで2番目に大きい都市。ヴェーザー川沿いの港町で、1358年にハンザ同盟に加盟後、交易都市として繁栄しました。
現在の港湾施設は中心部よりも下ったところにあり、旧市街近くの川岸に浮かんでいる船の多くは遊覧船やレストラン船になっています。川沿いにはヴェーザープロメナーデという散歩道が整備され、レストランやビアガーデンなども並び、夏は地元の人たちで夜遅くまでにぎわいます。
メルヘン街道の北の終点となっているこの町のシンボルは、ブレーメンの音楽隊の像です。ブレーメンへ行って音楽隊になろうとしたロバ、犬、猫、ニワトリが活躍する物語。彼らは結局ブレーメンに行くことはなかったのですが、彼らが夢見たとおり、魅力に満ちている町です。ブロンズ製の音楽隊の像は、市庁舎の西面の壁際にさりげなく立っているので、お見逃しなく。
ブレーメンはサッカーのブンデスリーガの強豪チームで、日本人選手も活躍してきたヴェルダー・ブレーメンを抱えていることでも知られています。本拠地のスタジアム、ヴェーザーシュタディオンへは、中央駅またはマルクト広場近くの停留所から、路面電車に乗って簡単に行けます。
●フランクフルトからの行き方
日本からの直行便が一番多いフランクフルト空港からブレーメンへ鉄道で行く場合は、フランクフルト空港駅から特急ICEに乗り、途中ハノーファー(Hannover)で乗り換えて所要約4時間5分。途中ケルン(Köln)で乗り換えるルートもあり、ほぼ同じ所要時間で行けます。駅構内には観光案内所もあります。
飛行機の場合は、フランクフルト空港からブレーメン空港まで所要約55分。空港から駅までは6番の路面電車で約15分。
●デュッセルドルフからの行き方
デュッセルドルフへも日本からの直行便があります。デュッセルドルフ空港駅から快速列車REでデュイスブルク(Duisburg)まで行き、特急IC乗り換えて所要約2時間50分で到着。途中ドルトムント(Dortmund)で乗り換えるルートもあり、同じ所要時間で行けます。
夏は30度を超える猛暑が続いたり、冷夏の年もあったりと、年により差があります。日差しが強いので、帽子やサングラスなどで日よけ対策は必要。夜も出歩く予定の人はパーカーなどの上着も用意しておいた方が安心です。冬は、厚手のコートに加えて手袋やマフラー、ニットの帽子も用意しましょう。雪はあまり降りませんが、路面が凍結することもあるので滑りにくい靴底の靴がおすすめです。
■ブレーメンの天気&服装ナビ
・URL: https://www.arukikata.co.jp/weather/DE/BRE/
ブレーメンの観光スポットが集まるマルクト広場へは、中央駅から徒歩約20分。途中は、ショッピングストリートやアーケードになっているので、買い物気分で楽しく歩けます。
●マルクト広場
マルクト広場(Marktplatz)はブレーメンの中心で、最も古い公共の広場でもあります。目に飛び込んでくるのは市庁舎とローラント像。州議会やかつてのギルドハウスだった建物も広場を囲んでいます。11月下旬からはクリスマスマーケットが開催され、メルヘンの国に足を踏み入れたかのような気分に浸れます。
●ブレーメン市庁舎
市庁舎(Rathaus)は1405年から1410年の間にゴシック様式で建てられ、17世紀初頭にはファサード部分が華やかな装飾のルネッサンス様式で増改築されました。内部はガイド付きのツアーで見学できます。
・住所: Am Markt 21
・URL: https://www.rathaus.bremen.de/fuehrungen-5259
*ガイドツアーの出発時刻を確認できる。
●ローラント像
市庁舎の前に騎士のような姿で立つローラント(Roland)は、都市の自由と権利を保護するシンボルです。1404年に立てられ、多くの戦火から逃れてきたオリジナル。たとえこの像が破壊されたとしても、もう一体、ストックが用意されているそうなのでブレーメンは安心ですね。
●ブレーメンの穴
ぜひ動画に収めたいブレーメンならではの面白ポイントです。市庁舎に向かって右側、近代的なブレーメン市議会の建物近くの地面にある、マンホールのような穴。これはブレーメンの穴(Bremer Loch)と呼ばれ、中央の穴にコインを入れるとロバ、犬、猫、ニワトリのいずれかの鳴き声が聞こえてくるのです。集まったコインはブレーメンの市民保護団体に寄付されます。
・URL: https://www.bremen.de/tourismus/bremer-loch
●聖ペトリ大聖堂
マルクト広場の東側に面して建つ双塔が印象的な聖ペトリ大聖堂(St. Petri-Dom)。11世紀に基礎が築かれ、13世紀に後期ゴシック様式に改築されました。高さ約98.5mの塔には階段で登れますので、塔の上からブレーメンの町を一望してみましょう。
・住所: Sandstr. 10-12
・URL: http://www.stpetridom.de
●ベットヒャー通り
市庁舎からマルクト広場を縦断して南へ歩いて行くと、入口に黄金に輝く大きなレリーフを掲げたベットヒャー通り(Böttcherstr.)があります。レンガ造りの建物が並ぶ100mほどの路地で、20世紀初頭にコーヒー商人ロゼリウスによって作られました。美術館や手作りのアクセサリーショップ、ビストロなどが並んでいます。注目したいのはロゼリウスの家の屋根に取り付けてあるグロッケンシュピール(仕掛け時計)。マイセン磁器製の鐘が、時間が来ると音楽を奏でます。
●シュノーア地区
ベットヒャー通りを抜けて南東に向かうと、旧市街で最も古いエリアのシュノーア地区(Schnoorviertel)に出ます。入り組んだ石畳の路地に、SNS映えするカラフルで小さな家々がひしめき合う、人気エリアです。ギャラリー、アンティークショップ、個性的なカフェやおみやげ店など、ショーウインドーをのぞくだけでも、時間が過ぎるのを忘れます。
●ラプスカウス Labskaus
ブレーメンやハンブルクなど港町の名物料理。マッシュポテトとコンビーフを混ぜ、ビーツで赤い色を着けてあります。必ず目玉焼きが添えてあり、一緒に食べると美味。
●ピンケルヴルスト Pinkelwurst
ブレーメン名物で、ブレーマー・ピンケルBremer Pinkelとも呼ばれます。おもに冬に食べる燻製したソーセージで、冬野菜のグリューンコールという苦みのある青菜の煮込みと一緒に食べます。
●ベックス(ビール) BECK’S BIER
1873年創業。ブレーメンに工場があり、今では世界約120ヵ国に輸出されている有名なビール。クセのないすっきりとした味わいで、どんな料理にも合います。醸造所見学ツアーもあり、ブレーメン観光局のサイトから予約して参加できます。
●ブレーマー・ラーツケラー Bremer Ratskeller
市庁舎の地下にあるレストランで、ブレーメンの音楽隊像の近くに入口があります。広いホールの壁面にはワインの大樽が並び、ワイン貯蔵庫だった歴史を物語ります。港町ならではの魚料理が味わえるのもうれしい。おすすめはブレーマー・パンフィッシュという、魚のフィレのグリルと野菜の盛り合わせ。ブレーメン名物のラプスカウスや、ピンケルヴルスト(冬季のみ)も食べられます。
・住所: Am Markt
・URL: https://www.ratskeller-bremen.de/
●カフェ・クニッゲ Café Konditorei Knigge
旧市街の北の入口、ゼーゲ通りにある老舗のカフェ。1階には、お土産にぴったりのブレーマー・クラーベンという、日持ちのするレーズンケーキなどが並びます。カフェは2階席が広く、ゆったりとコーヒータイムを楽しめます。朝食メニューも充実しています。
■カフェ・クニッゲ
・住所: Sögestr. 42-44
・URL: http://www.knigge-shop.de/
●インターシティホテルInterCityHotel Bremen
ドイツ各地にあるビジネスホテルチェーン。中央駅に隣接しているので、重い荷物からいち早く解放されて、観光に飛び出せます。チェックイン時に希望者には市内の公共交通機関が乗り放題になるカードを作ってくれます。
・住所: Bahnhofsplatz 17-18
・URL: https://www.intercityhotel.com/hotels/allehotels/deutschland/bremen/intercityhotel-bremen
●ラディソン・ブルー・ホテル・ブレーメンRadisson Blu Hotel Bremen
ブレーメンの見どころのひとつであるベットヒャー通りに面しています(正面入口はWachtstr.側)。マルクト広場も近く、観光にとても便利な立地。部屋の設備も充実しており、ゆったりと過ごせます。
・住所: Böttcherstr 2
・URL: https://www.radissonhotels.com/en-us/hotels/radisson-blu-bremen
交易都市として繁栄した歴史を物語る建築物と、メルヘンの世界の魅力が重なり合った町ブレーメン。おいしい地ビールや名物料理を味わう時間もたっぷりとって、音楽隊が憧れたブレーメンを堪能してください。
TEXT: 鈴木眞弓(アルニカ)
PHOTO: 鈴木眞弓(アルニカ)、iStock
※当記事は、20年3月12日現在のものです。