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スペインが誇る偉大な建築家、ガウディの設計による教会「サグラダファミリア」は、1882年に着工していまなお建築途中という、あまりにも有名な世界遺産。ガウディ生誕100周年にあたる2026年に完成予定とされてきましたが、コロナ禍の影響で工事に遅れが生じ、一転、完成予定のめどが立てられなくなったようです。2020年11月現在では、一般入場のチケット販売も一時停止中、、、。いつスペインに旅行できるようになるのか、いつ念願のサグラダファミリアを見ることができるか、残念ながら見通しはたちませんが、おうちに居ながらまるでリアルにサグラダファミリアを見て回っているかのような気分になれますよう、見学ルートを詳しくレポートします!
入場チケットチェックを通過して聖堂の内部へと進むと、神々しく優美な空間に包まれ、一瞬で心が清められていくような気持ちに。樹木のように並んだいくつもの柱が、シュロの葉をモチーフにした天井へと伸び、その隙間から柔らかな陽の光が差し込むさまは、まるで木漏れ日きらめく森の中。しばらく我を忘れて、うっとりしてしまいます。そして、ここは現役の教会であり、十字架磔刑のキリスト像を頂く祭壇もあって、一心に祈りをささげる人の姿も。そんな信徒の邪魔をしないよう、そおっと歩いて、見事なステンドグラスを眺めて回ります。
聖堂を出て尖塔を昇るエレベーターへ向かう前に、「生誕のファサード」を愛でることにします。巨大な石の門に、キリストの生誕から幼少期の出来事が彫刻で表現されており、よくもこんなに精巧に彫り込んだなぁ、と感心するばかり。なかでも特に注目したいのは、日本人彫刻家の外尾悦郎さんが制作した、15体の天使像。それから足元にも目を落としてみてください。太い柱を、大きなカメがしっかり支えています。このカメさんは、装飾としてだけではなく、雨どいとしての役割も果たしているそうです。こんなところからも、機能性とデザイン性を融合させる名建築家ガウディの才能を実感できます。
いよいよ、塔(鐘楼)の上へ昇るエレベーターに乗り込みます! 数人しか乗れない狭いエレベーターから降りると外気にさらされ、つづけて最上部へ向かう狭い階段へ。螺旋状に上がっていくため、バルセロナの街をぐるりと眺められます。いちばん気持ちのよい眺めは、バルセロネータ海岸が遠くに見える南東方向だと思います!
また、景色以外にも大きなお楽しみが。地上からではよく見えなかった聖堂高層部の装飾を、すぐ目の前でじっくり観察できるのです。シンボリックな大型装飾部はもちろん、手のひらサイズの鳥のモチーフなどビックリするほど繊細な彫刻までも間近に見てとれ、その手の込みように「なるほどこれは、なかなか完成しないわけだ」と合点がいくはずです。
階段が頂点にいたると、それは下りの始まり。狭い石の階段を、今度は地上まで、ずっと降り続けます。エレベーターを降りて階段を上っている間はとにかく感動が押し寄せて、ハイテンションできょろきょろしてしまいますが、下りの階段では少し気持ちも落ち着いてくるので、撮影チャンスをこまめにうかがいましょう。後続の人に配慮が要りますが、タイミングが良ければセルフィー撮影も。晴れた日の午前中の時間帯なら、昇る太陽が地中海をキラキラと照らす絶景が見られるでしょう。
下り階段の終盤は、巻き貝をイメージした、完璧なフォルムの螺旋階段。ここへ差し掛かると間もなく下界(地上)に戻ります。感動の余韻に浸りながら一歩一歩ていねいに降りて、つきあたった出口の扉は・・・こんなに小さくあっさり、でした。
塔の階段の出口を抜けると、再び聖堂の内部へ戻ることができます。ここでまた改めて、落ち着いて聖堂内の美しさを目に焼き付けましょう。祭壇を囲む4つの柱の上部をよく見てみると、新約聖書の福音書を書いた4人の使徒、ルカ、ヨハネ、マルコ、マタイのシンボルが描かれています。 そして最後は、ミニチュア模型を交えたサグラダファミリアの建築解説コーナーでちょっぴりお勉強して、聖堂見学を締めくくりましょう。ガウディが生命や動物、植物をシンボルやアイデアにふんだんに取り入れていることがわかるでしょう。
以上、サグラダファミリア聖堂の見学レポートをお届けしました。実際に見て歩いた気分になっていただけましたでしょうか!? それから、もし夜に時間がとれましたら、ぜひライトアップされたサグラダファミリアも鑑賞してみてくださいね。昼間と違って、とてもロマンティックな姿を愛でることができますよ。
aruco編集部 坂内麻美
画像一部 ©iStock(最上部&最下部の画像 計2点)