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平和や繁栄、幸福などをもたらすとされる旧正月。新年の幸運を引き寄せるためにビクトリア公園で開催されるにぎやかな旧正月フェアに参加したり、車公廟(Che Kung Temple)や黄大仙祠(Wong Tai Sin Temple)でカラフルな風車を購入し、1年の繁栄を祈ったりと、さまざまな過ごし方があります。料理や風習、服装など、香港政府観光局が推薦する香港に住む7人の伝統的な旧正月の過ごし方を紹介します。
最初に旧正月の過ごし方を紹介してくれるのは、香港の現地ツアー会社Humid With A Chance Of Fishballs Toursの創設者のVirginia Chanさんです。
カナダ生まれのVirginia Chanさんが子供の頃は、毎年必ず家族全員で特別な夕食を食べて旧正月を過ごしていました。その夕食に必ず海老が含まれていたのですが、海老は広東語で“ha”と発音します。その音が笑い声に似ているので、幸福を呼ぶという由来があることから、旧正月の夕食ではいつも海老を食べるということを、香港に移住してから知りました。
香港に来てから始めた習慣は、旧正月の初日に新しい赤い服と赤い下着を購入すること。さらに、祖母や叔母と出かけたときに満開の梅があると必ず時計回りに3回走らされるのですが、これは1年の恋愛運が高まると言われているからだそうです。
児童医療財団Children’s Medical FoundationのCEOであるEstella Huang Lungさん。Estella Huang Lungさん一家は毎年、モンコックの花市を訪れ、健康や富、家族の団結を意味する竹や水仙の花を購入します。
また、幸運のエネルギーを呼び込むために、赤い提灯を家に飾るのも伝統的な習慣です。中国の占いが身近にある家庭で育った彼女は、その年の干支がどのような影響をもたらすか、常に気を配っています。
家族経営のデザイン雑貨ブランドThe Lion Rock Pressの創設者であるClaire Yatesさん。Claire Yatesさんにとって旧正月は一年のなかで最も好きな時期であり、大切にしている期間です。祖母の教えで、木から落ちた花を掃除用具で掃かないなどの旧正月の過ごし方を受け継いでいます。
絹のようなネコヤナギと黄金色のレンギョウの大きな花瓶は彼女のお気に入り。その花瓶に飾りつけをして、いつも華やかに飾っています。玄関先にはかわいらしいみかんの木があります。みかんと金柑の木は、富と繁栄をもたらすと言われています。
変化の激しい時代のなかでも、これらの習慣は脈々と受け継がれ、伝統というものの確固たる力を感じます。
マンダリン オリエンタル 香港の “Man Wah(文華)”でエグゼクティブチャイニーズシェフをするWong Wing-keungさん。Wong Wing-keungさんは、旧正月を迎える前にキッチン用品だけでなく、家の隅々まで掃除をします。
清潔な空間で、新鮮な気持ちで新年を迎えることが大切だからです。また、髪を切ったり、靴を買ったりするのは、その年の運気を下げると言われているので旧正月には避けています。
旧正月の初日に彼がチームに作らせる定番の旧正月の「幸運」レシピは、縁起がいいとされている蟹と蟹みその卵麺です。そのほかのおすすめは、野菜と豆腐乳の煮込み。この料理は、野菜が心身を浄化すると伝えられる仏教の教えに由来しています。
子供用の靴ブランドPepper & Mintの創設者であり、Publisher Of Mini Love Talesで子供向けの本も作るConny Wongさん。Conny Wongさんにとって旧正月は、大切な人たちと一緒にいることがどれだけ幸運であるかを深く考え、感謝する機会でもあります。
また、旧正月前には、銀行に行って新札を手に入れ、日本のお年玉にあたる“利是(ライシー)”を用意します。自分より年下や後輩に幸運を授けるために、一般的には、家族や友人、子供、従業員などに利是を配ります。
そして旧正月の初日には、ラッキーカラーである赤を基調とした服を着ます。赤には悪い運気を追い払う効果があると昔から言われているためです。旧正月の香港は赤く染まり、町なかがいきいきとしているのが感じられます。
美しい装飾、活気に満ちたライオンダンス、美しい花市、皆がお互いの幸せを願っている姿を見ていると、幸せとポジティブさを感じることができます。
ヒーリング系のアカシック・ガイドやメンター、ソウルコーチを行うCoco Chanさん。旧正月を迎える前に、Coco Chanさんは家の大掃除を行い、もう使わない家のアイテムを清め、慈善団体に寄付します。
家を物理的にも精神的にも一掃し、前の年の古いエネルギーを変換させます。ただ、新年の掃除は縁起が悪いと言われているので、旧正月の元旦を迎える前にすべてを終わらせることが肝心です。この大掃除により、豊かで清らかな新年のエネルギーを迎え入れる準備が整います。
玩具デザイナーのWong Yin Foonさん。本場中国の獅子舞はライオンダンスとも呼ばれ、“年獸(Nin)”と称される旧正月の大みそかに現れる邪悪な獣を追い払うためにライオンダンスを舞わせたのが始まりとされており、旧正月の伝統としていまも受け継がれています。ライオンダンスには南方獅子と北方獅子の2種類があり、香港では南方獅子が一般的です。
Wong Yin Foonさんは、ライオンダンスに魅了され、独自のデザインのロボット玩具シリーズ「Invincible Mascots(無敵マスコット)」を制作しました。
デザインには、子供の頃に見ていた『ガンダム』や『トランスフォーマー』といったロボットシリーズ、それに南方獅子の起源のひとつとされる、広東省の佛山獅子の特徴である傾いた鼻ととがった角を取り入れています。メインカラーは、ライオンダンスのお祭りの雰囲気を出ために赤と金にしています。
作品は、2020年に香港で開催された「ACGHK 2020(香港動漫電玩節)」に出品され、国内外から高い評価を得ています。
■香港政府観光局
・URL: https://www.discoverhongkong.com/jp/index.html
※当記事は、2021年2月12日現在のものです