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世界にはたくさんの島があります。日本だけでも6848もの島からなり、無人島もあれば、人より猫や牛のほうが多い島も。独特の自然や文化を育むものも多く、これが最近話題の島旅の魅力になっているよう。そこで世界中の島のなかから、すごい!と感嘆すること間違いなしの自然、文化をもつ島を厳選してみました。
最初に紹介するのは、南米のエクアドル沖に浮かぶガラパゴス諸島。太平洋に散らばる島々は、1978年に世界で最初に世界遺産となった12スポットのひとつです。
日本では国内規準の製品やサービスを「ガラパゴス化」なんて呼びますが、それはこの島の特異な環境になぞらえたもの。大陸から1000km離れた海洋島では動植物が独自の進化を遂げており、かのチャールズ・ダーウィンが進化論の着想を得たことでも有名です。
環境に合わせて姿形や食性を変えて生き抜いてきた動植物は、隣あった島でも少しずつ異なります。例えば有名なガラパゴスゾウガメは絶滅した4種を含めて15種類。島ごとに異なる環境に合わせた生態を見せています。そんな神秘の生態系がガラパゴス諸島の魅力であり、すごさでもあります。
アフリカ大陸の東に浮かぶマダガスカル島も、ゴンドワナ大陸から分裂して以来、一度も大陸と地続きになったことがない海洋島。日本の1.6倍という広大な陸地を「島」と言ってしまってよいのか迷いますが、その巨大な陸地も動植物の独自の進化を助けました。マダガスカル島に生息する動物の80%、そして植物の90%が固有種というから驚きです。
白黒縞の長い尾が特徴的なワオキツネザルや2足歩行で横っ飛びするベローシファカなど人気のキツネザルもマダガスカルの固有種です。
大陸と地続きになったことがない海洋島は、日本にもいくつかあります。最も有名なのは本州から南へ1000kmに浮かぶ小笠原諸島でしょう。アクセス方法は船だけ、しかも24時間かかるという島好き憧れの地です。
絶海の島々で暮らす動植物は独自に進化し、その自然環境と稀有な生態系は2011年に世界遺産に登録されました。小笠原諸島で見られる植物の36%、昆虫類の28%が固有種。カタツムリなど陸産貝類にいたっては94%が固有種といわれています。
もうひとつ、日本の島のなかから2021年7月に世界遺産に登録される見込みの奄美大島を紹介します。奄美群島最大の島は、亜熱帯の森に覆われた豊かな自然が魅力。深い森は天然記念物のアマミノクロウサギをはじめとした希少な動植物の宝庫です。
今回の世界遺産の登録勧告も、雄大な森にある多様な生物相が評価されたもの。同じ奄美群島の徳之島や沖縄本島の北部、西表島とともに世界自然遺産に登録される予定です。
日本の世界遺産は23ありますが、ほとんどが文化遺産で自然遺産は屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島の4つのみ。今回の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は、ようやく認められた5つめの自然遺産。これだけ見ても、いかに貴重な自然が残っているのかがわかります。
北極海に浮かぶデヴォン島は、5万5000㎢という世界最大の無人島。四国と九州を足したのと同じくらいといえば、その広大さが分かっていただけるでしょうか。
島は北緯78度から87度の高緯度にあるため年間を通して気温が低く、雨もとても少ない気候です。厳しい環境下では限られた生き物しか生息できず荒涼とした大地が広がるのみ。この無機質な大地、なんだか宇宙のようではないですか?実際に寒暖差が激しい気候や乾燥してゴツゴツとした大地は、火星の環境に近いのだとか。
NASAではデヴォン島を火星になぞらえて探査機の走行実験が行われているという話も。ついにはNASAが発表している火星の写真はデヴォン島で撮られている、なんて噂が流れるほど……。
北極圏に連なるスヴァーバル諸島はノルウェー領の地方自治体。中心となるロングイェールビーンは、人口1000人を超す町では世界最北となる北緯78度にあります。
この島はいろいろとすごいのですが、何より特筆すべきは厳しい自然。4月下旬~8月下旬は太陽が沈まない白夜、10月下旬~2月中旬は太陽が昇らない極夜となり、日照時間ゼロの極夜の期間は平均気温が-7℃以下という寒さ。
この環境を利用して、植物の種子を保存する世界種子貯蔵庫なるものが開設されました。貯蔵庫では気候変動や病気の蔓延などで農作物が絶滅しないよう、100万種以上の種子が保存されています。
文化的な面からすごい島を探すとなると、外せないのがギリシャの島々。エーゲ海に浮かぶクレタ島は、紀元前7000年頃には人が住み始め、紀元前1700年代にはクレタ(ミノス)文明が栄えたギリシャ文明の中心となった島です。紀元前1700年代というと日本はまだ縄文時代ですから、文明と呼ばれるものが育まれていたギリシャはさすが。
世界史専攻の皆さんにはおなじみ、ギリシャ神話のモチーフとなった1200以上の客室をもつ巨大な城、クノッソス宮殿はクレタ島から発掘されました。
太平洋に浮かぶ島々でも遺跡は見られますが、なかでも最大規模を誇る遺跡がポンペイ島にあります。ポンペイ島はミクロネシア連邦の首都バリキールがある島。南東部にナンマドールと呼ばれる遺跡がたたずんでいます。
ナンマドールは500~1500年頃に造られた人工の島で、そこに玄武岩と珊瑚、砂で築かれた巨大な建築物がそびえ立ちます。人工島の間は水路が張り巡らされ「太平洋のベニス」との異名も。水上遺跡の巨石がどのように運ばれてきたのか、またどのように建造物が造られたのかは謎に包まれています。
インカ帝国の初代皇帝が降臨したと伝わるチチカカ湖は、ペルーとボリビアにまたがる巨大な湖。標高3800mという富士山より高い場所にある湖に、ウロス島と呼ばれる島々が浮かびます。ウロス島は人の手で造られた人工の島。なんとトトラと呼ばれる葦でできているんです。葦をブロック状の束にして湖に積み上げたものが土台となり、その上にも葦を敷いた100%葦製。島だけじゃなく、家もベッドも椅子も船も、何でも葦で造られています。
周辺には45ほどの葦の島が点在していますが、簡単にくっつけたり離したりできるので、正確な数はわからないそうです。
タイの島々はマレー半島を挟んで東と西に点在しています。パンガン島があるのは東側。リゾート島で知られるサムイ島と、ダイビングが盛んなタオ島の間に浮かんでいます。
この島はパーティピープルには広く知られた存在。それもそのはず、パンガン島はスペインのイビサ島と並ぶパーティアイランドなんです。満月の夜にはフルムーンパーティが開催され、1万人以上がビーチで朝まで踊り明かします。この時期、会場となるリンビーチは轟音が鳴り響くクラブに早変わり!
満月の日は多くの観光客でにぎわうパンガン島ですが、実は半月の日はハーフムーンパーティ、新月の日はブラックムーンパーティと、毎週のようにパーティが開催されます。
世界にあまたある島のなかから、10島を厳選して紹介しましたがいかがでしたか?自然も文化も、島だからこその魅力があり、だから島旅っていいんだよな~と再認識。この10島以外にも個性的な島がたくさんあり、そんな世界中の「すごい島」を300島集めた図鑑シリーズ『世界のすごい島300』が新登場。
読んでいるだけでも知られざる島の魅力を堪能でき、いつか行けるようになったときのための旅先選び事典としても最適です!
W05 世界のすごい島300
多彩な魅力あふれる世界と日本の島々を旅の雑学とともに解説
旅の図鑑
2021/05/25発売「地球の歩き方」図鑑シリーズ第5弾は世界の「島」!
「地球の歩き方」図鑑シリーズ第5弾は世界の「島」!
TEXT:アトール 高井章太郎