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地球の歩き方が新たにお届けする『旅の図鑑シリーズ』は、「奇岩」「指導者」「聖地」など、テーマを絞って世界の情報をお届けするシリーズです。シリーズ8冊目となる『世界のすごい巨像』は、タイトル通り、世界各地に立てられている巨大な像を網羅した一冊。今回はその中から、よりすぐりの巨像をご紹介します!
世界の中でもアジアは巨像の多い地域。本体の高さが100mを超える巨像は、アジアにしかありません。
東京都庁とほぼ同じ高さ240mの巨像があるのはインド。野生動物保護区にも指定された緑豊かな公園内、ゆったり流れる広い川のほとりに、周囲とのサイズ的な調和を完全に無視して屹立しています。高さ135mの展望台までエレベーターで上がると、目の荒い格子がはまった窓から周囲の景色も堪能できます。像のモデルは、日本人には馴染みの薄いサルダール・ヴァッラブバーイー・パテール。(誰?)インドがイギリスから独立する際に、562もの藩王国をパキスタンではなくインドへ帰属させた英雄として、人気が高い政治家です。
中国は、インドと並ぶ世界の巨像大国。100mを超える像だけでも3ヵ所、「統一の像」が完成するまで高さ世界一だった巨像もあり、物量でインドをしのぎます。
世界第二位の高さがある巨像は、古都洛陽近くの山中に立つ「魯山大仏」。全体の高さは208m、本体だけでも128mあります。もともとは高さ153mだったのを、台座下の丘を造成して新たな台座を下に追加、ややチートとも思える手法で現在の高さになりました。小高い丘の上に立てられており、アプローチは階段。ふもとから巨大な姿が見えているのに、階段を上がれども上がれどもなかなかたどり着けないという、遠近法が当てはまらない巨像です。
東南アジアの仏教大国ミャンマー。敬虔な仏教徒が多く、国内各地にせっせと巨大な仏像を建立して徳を積んでいます。そんなミャンマーには、横に長い巨像があるのです。
『ビルマの竪琴』で寝釈迦仏(涅槃仏)の存在を知った日本人も多いのではないでしょうか。そんなミャンマー(ビルマ)には、20年以上前からずっと建設が続いている巨大な寝釈迦仏があります。ミャンマー南部の町モウラミャインから車で約30分の山中にある寝釈迦仏の「ウインセントーヤ」は、高さは28mですが全長はなんと183m! 像内は3層構造になっていて、人形などで仏教説話を表現したジオラマがあり、未完成ながら見学できます。ただし、像がデカいぶん胎内も広いため、年中蒸し暑いミャンマーでエアコンもない胎内を延々と巡ると疲労困憊です。しかしその苦労が、ミャンマーの人々に「徳を積んだ!」と感じさせるのかもしれません。
「みんなニューヨークに行きたいかあ!」と問われれば、「行きたい行きたい」と思いながらも頭に浮かぶのはこの「自由の女神像」でしょう。台座も含めた高さは93m、本体だけでも46mあるこの女神像は、右手に高々と松明をかかげた凛々しい姿で、マンハッタン島の南にあるリバティ島にそびえています。
アメリカ人だけでなく世界中から旅行者が集まる観光名所でもあるので、像の見学コースは常に混雑気味。像を外から眺めるだけで構わないのなら、マンハッタン島とリバティ島の更に南にあるスタテン島を結ぶ、24時間運行で運賃無料のフェリーに乗るのがおすすめです。のんびり進む船の上から、自由の女神像の全景をじっくり堪能できます。
南米で巨像といえば、ブラジルにある「コルコバードのキリスト像」でしょう。細く高くそびえる岩山の上に立てられた、両手を左右に広げたキリスト像は高さ39.6m。数字だけだとそれほどの高さでもないように感じます。しかしその立地からか、見るものに数字よりもはるかに強い印象を与えるのです。
カーニバルで有名なリオ・デ・ジャネイロの象徴とも言えるこのキリスト像。近代的なビル群と美しいビーチや港に浮かぶ多数のヨットから、ファベーラと呼ばれる貧民街まで、貧富を問わず人々の営みのなにもかもを包み込むかのように、リオ・デ・ジャネイロの街を見下ろしています。
旧ソビエト連邦諸国には、ソ連時代に立てられた、第二次世界大戦における戦死者を悼む巨像や碑が多数あります。中でも最も高いのが、ウクライナの首都キーウにある、高さ102mの「祖国記念碑」です。
この巨像は1981年、ドイツ軍との戦いで命を落としたソ連軍兵士慰霊のために、第二次世界大戦に関する博物館とあわせて立てられました。当時ウクライナはソビエト連邦の構成国だったため、像が左手で捧げている盾にはソビエト連邦のエンブレムが。これは現在でも残ったままになっています。キーウ・ジュリャーニュイ国際空港に発着する便の機窓からも、緑の多いキーウ市内にそびえる銀色の巨体がよく見え、際立った存在感を見せています。
イギリス中部に広がるのどかな田園地帯を貫く高速道路の脇、小高い丘の上に立てられた、鳥にも飛行機にも見えるモニュメント。「北の天使」と呼ばれる、高さ20m、幅50mの巨像です。
アニメに登場するロボット兵士のような色合いと外観。翼のようなものを左右に広げた天使は、イギリス現代芸術界の大家アントニー・マーク・デヴィッド・ゴームリーの作品。1998年に立てられた当初は賛否両論巻き起こったこの不思議な巨像も、時を経て現在ではすっかり観光名所に。ドライブの途中で立ち寄り、記念撮影をする旅行者がひきもきらないそうです。芸術とはなにか、という深遠なテーマも考えさせられる巨像です。
19世紀のオーストラリアで活躍(?)し、いまだ人気が高い義賊の巨像が「ネッド・ケリー像」。高さは6mですが、巨像の少ないオセアニアでは貴重な存在です。
父はもと囚人、母は流刑者の家系、家族や親戚にも犯罪者がいるという19世紀のオーストラリアらしい家庭で、順調に盗賊に育ったネッド・ケリー。貧しいものからは奪わず、強盗を行う際も紳士的に振る舞い、民衆からの人気は高かったそうです。仕事中は手作りの甲冑を着用し、視界を確保するため目の位置に細長いスリットを入れたブリキのバケツのようなヘルメットは、ネッド・ケリーの象徴となりました。もちろんこの巨像も、ヘルメットをかぶった姿です。
1960年代から1980年代にかけて、オーストラリアでは各地で地元特産の農産物や工業製品の巨像を立てるのが流行し、「ビッグ・シングス」と呼ばれました。国内各地にマンゴー、カシューナッツ、ボルト&ナット、ガマグチ(財布)、ジャンプするワニ、温度計、蛇口、ボーイスカウト帽子、人間の手などの巨像が立てられたのです。
中でも巨大なのが、高さ17mの「ビッグ・ロブスター」。ロブスター漁がさかんな小さな町キングストン・サウスイーストの中心に立てられています。よーく見てみると異様な造形の甲殻類、それを忠実に巨大化してあるので、なかなかに不気味。生き物を可愛らしくデフォルメする日本的な感覚とは異なり、このロブスターをはじめビッグ・シングスのシリーズにあるメリノ羊やコアラなどは、どれもリアル路線。見た目は可愛くなく、どちらかというと怖いです。
アフリカ大陸のほぼ最西端、セネガルの首都ダカールにある「アフリカ・ルネサンス像」は、高さ50m。アフリカ最大の巨像です。標高100mの丘の上に立てられているので、50mという数字よりもはるかに高く見える、大迫力の巨像です。
たくましい男性が左腕で子供を高く掲げ、右腕は寄り添う女性の背中に回す、希望や家族愛などさまざまなテーマが思い浮かぶポーズは、アフリカの未来を希望で照らすかのような力強さが感じられます。しかしながら、建設を主導した当時の大統領に入場料収益の35%が支払われる契約になっていたり、建設を北朝鮮の業者が担当したりと、ダークな小ネタに事欠かない巨像となっています。
いくつもの巨大なピラミッドを建設した古代エジプト文明が作った、「ギザの大スフィンクス」。王の顔とライオンの体を持つとされる高さ20mのキメラは、おそらく世界最古級の巨像でしょう。
ひとつの巨大な岩から掘り出されたこの巨像は、圧倒的な存在感で、ピラミッドのそばにその姿を横たえています。当時の道具を使い100人の石工が従事するとして、完成までに3年の工事期間が必要となるとか。古代エジプト王の権力と財力がどれほどのものだったのか、想像もつきません。まさに歴史のロマンを感じさせてくれる巨像と言えるでしょう。
死ぬまでに一度は訪れたい場所、は多くあるかもしれませんが、もしかして訪れたら(ショックで)死ぬかもしれない衝撃を受ける建造物が巨像です。『世界のすごい巨像』は8月12日発売。隠れた巨像大国・日本の像も多数収録しています!
W08 世界のすごい巨像
巨仏・巨神・巨人。一度は訪れたい愛すべき巨大造形を解説
旅の図鑑
2021/08/12発売「地球の歩き方」図鑑シリーズ第8弾は、でっかい像・巨像です。世界のあちこちでさまざまな人々が色々な意図を持って立ち上げてきた魅力的な巨像たち。
「地球の歩き方」図鑑シリーズ第8弾は、でっかい像・巨像です。世界のあちこちでさまざまな人々が色々な意図を持って立ち上げてきた魅力的な巨像たち。
※当記事は、2021年8月3日現在のものです
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