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ロマネスクの香りが漂う歴史あるソリアの町を訪れて

田川 敬子

田川 敬子

スペイン特派員

更新日
2022年6月6日
公開日
2022年6月6日
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ロマネスク様式のサント・ドミンゴ教会

世界3大珍味のひとつ、トリュフの生産に力を入れているスペインのソリア県。先日開催された「国際トリュフ料理コンテスト」では世界中から多くのシェフが参加し、トリュフの魅力を引き出す料理を披露しました。初めてソリア県を訪れた筆者が県都ソリアで感じた町の魅力を紹介します。

小さいながら魅力ある町ソリア

ソリア市内で見つけた壁一面の大きな地図

カスティーヤ・イ・レオン州の東端に位置するソリア県は、スペインに50ある県の中で一番人口が少なく、9万人弱。県都のソリアも人口4万人の小さな都市です。世界史で有名な紀元前2世紀にケルティベリア人が共和制ローマと戦ったヌマンシアの戦いは、このソリア県での出来事です。また、イベリア半島の主要河川のひとつであるドゥエロ川は、ソリア県にある山を水源として西へと流れ、ポルトガルのオポルトで大西洋に注いでいます。

ロマネスク様式の建築物が見どころ

歴史を感じる町の散策が楽しい

イベリア半島は北部の一部を除き、711年にイスラム勢力の支配下になり、その後800年近くかけて北から順にレコンキスタ(国土回復運動)が進んでいきました。北にあるソリアがキリスト教徒に奪回された時期は早く、そのためロマネスク様式の建築物が残っています。ロマネスクは10世紀末から12世紀の時代の様式なので、それ以降にレコンキスタされた南部では目にすることはありません。ロマネスク様式の建物や重厚な昔の建物が残る町は、私が住むバレンシアがある東海岸とは異なる空気をただよわせていて、“旅に来ている感”が盛り上がりました。

2日の短いソリア市内滞在中はトリュフ農園見学に行ったり、国際トリュフ料理コンテストを見に行ったため、名所巡りに割く時間はあまりなかったのですが、いくつか目にしたところを紹介します。

郊外には日本の平安時代に建てられた聖堂も

山の中腹にぽつんと佇むサン・バウデリオ聖堂

山の中腹に突如現れたこの建物は、サン・バウデリオ聖堂です。なんと、この聖堂はロマネスク様式より前のモサラベ様式(イスラム支配下でのキリスト教の芸術)で、11世紀の建築! 日本では平安時代です。中の装飾画は12世紀のものだそうで、まだ保存されていることに驚きました。

聖堂内には12世紀の彩色が今も残っている

ソリアの市街から少々離れたドゥエロ川沿いには、6世紀の聖人でソリア市の守護聖人であるサトゥリオが住んでいたという伝説を持つ洞窟があります。16世紀にそのすぐ上にサン・サトゥリオ聖堂が建てられました(現在の建物は17世紀の建造)。聖堂内の聖人の生涯が描かれたフレスコ画が見ものです。見学する際は、ぜひ洞窟も訪れてみてくださいね。
https://www.turismosoria.es/que-ver/monumentos/ermita-de-san-saturio/

こんな場所に建てるのはさぞ大変だったことでしょう

サント・ドミンゴ教会のファザードは必見

回廊のアーケードが神秘的なサン・フアン・デ・ドゥエロ修道院

サン・サトゥリオ聖堂から川沿いを歩いて20分あまりのところには、ロマネスコ様式のサン・フアン・デ・ドゥエロ修道院があります。18世紀以降放置されていたそうで、現在は12世紀に建てられた聖堂と13世紀の回廊跡のアーケードが残っています。アーケードにはゴシック様式とムデハル様式の要素も見られることが特徴です。日本で人気のTV番組でも取り上げられたことがあるそうなので、ご覧になった方もいらっしゃるのでは?
https://www.turismosoria.es/que-ver/monumentos/claustro-de-san-juan-de-duero/

市内の歴史的建造物でもっとも印象に残ったのは、サント・ドミンゴ教会です。後世にも手が加えられてはいるものの、12世紀の建造です。ここのファザードには圧倒されました。正面入り口の上にとても手の込んだ半円状のレリーフが4層に重なっていて、中央には、神に抱かれた幼子イエスに4人福音史家そして両脇に聖ヨセフと聖マリアが彫られています。ここはソリアを訪れたら必見です。
https://www.turismosoria.es/que-ver/monumentos/iglesia-de-santo-domingo/

外側の半円のほぼ真ん中には十字架に張り付けられたキリストが見える

マドリードからは2時間半の距離

マヨール広場の一角

旧カスティーヤ王国の町にはたいていマヨール広場とよばれる町の中心的広場があるものですが、ここにもあります。市庁舎や劇場、教会、バルやカフェがあるので、散策中にはここでお茶休憩しました。

ほかにもソリア市内中心部を散歩していると、歴史を感じる重厚な建物や教会がいくつもありました。時間がなくて全部ゆっくり見てまわる時間がなかったため、「また来たい!」と強く思いました。

観光での公開はしていないミロン聖堂は、ソリアでは新しい18世紀の建造物

ソリアまでは、マドリードからバスで約2時間半。ソリアの郊外にはベルンガ・デ・ドゥエロやエル・ブルゴ・デ・オスナといった町や、山の中にぽつんと建つロマネスクの聖堂など魅力的な場所が点在しているので、レンタカーでまわると一層楽しめると思います。

普段住んでいるバレンシアとは雰囲気の異なる土地を訪ね、スペインの多様性のすばらしさを改めて実感したソリア旅行でした。

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※当記事は、2022年6月1日現在のものです

スペイン・バレンシア特派員 田川 敬子/地球の歩き方編集部

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2022年6月1日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

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