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世界100ヵ国以上の国が完全開国になり、海外旅行が本格的に回復しつつあります。これからの旅行者は、以前にも増して旅先選びに慎重になることでしょう。そんな旅行者に向けて、旅の図鑑シリーズの新刊『世界のすごいホテル』では、そこに泊まること自体が目的になる、世界中の特別なホテルを紹介しています。その中から5つの「すごいホテル」を紹介します。
日本の4.6倍もの面積をもつアメリカ最大の州アラスカは、たくさんのリモートロッジ(人里離れたところにあるロッジ)がある場所としても有名です。大自然の真っただ中にあるそれらのロッジは、自家発電機を備え、衛星回線を通じてインターネットにつながり、小型飛行機で運ばれる食材のおかげで、都市の高級ホテル並みの食事が毎回楽しめるという、究極の贅沢が楽しめる宿。シェルドン・シャレーはその代表です。ロケーションは北米最高峰デナリの麓を流れる氷河を見下ろす稜線の上。ロッジの周囲360度、氷河とアラスカ山脈に囲まれた紛うことなき大自然。昼間の周囲は白銀の世界で、夜になれば人工の光に一切遮られることなく満天の星が輝きます。
アクセスは雪上に着陸できるセスナまたはヘリコプターのみ。こんな場所にありながら2階建てのロッジ内には広々としたリビングとダイニング、そして5つの客室があり、シャレ―(山小屋)とは思えない豪華で充実した設備を備えています。温かい暖房に利いた室内からダイナミックな氷河を眺めながら、オバマ元大統領に食事を供したことがあるというシェフが作る料理を味わう……。まさに究極の贅沢が体験できる宿。
ジェフリー・バワといえばスリランカ出身の建築家で「トロピカル・モダニズム」の巨匠として母国スリランカを中心に、数々の名建築を残しました。スリランカを代表する世界遺産「シーギリヤ・ロック」の近くに建つヘリタンス・カンダマラは、バワの最高傑作といわれるホテル。岩山の中腹に建つ建物は近くから見ても、それと分からないほど自然と一体化しています。1994年に建設された際、将来建物が覆われることを予想して植栽されたツタ、エントランスやロビーに残されたむき出しの岩、自然の要素がそのままスタイリッシュなデザインに取り込まれた建物に、訪れるすべてのゲストは驚かされます。
SDGsという言葉が登場し、それがだいぶ一般的になってきた昨今ですが、ジェフリー・バワは半世紀も前から、その概念を理解・実践し、そのうえで多くの人々に愛される建物を造ってきました。バワのホテルに宿泊した人の中には、その表面的なデザインだけでなく、設計思想に共感する人が多く、バワ建築を泊まり歩くような「バワ・マニア」と言ってもいい人もいるようです。
著名な探検家ボルゲ・オウスラントが購入したノルウェーの小島に建てたリゾート。海に突き出したキャビンは、床から天井まで一面ガラス張り。シンプル・モダンの北欧デザインの王道をいく建物では、部屋にいながら夜空を舞うオーロラを眺めることができます。客室は不要なものを排除されており(キッチンはあるがテレビはない)、また棚とテーブルが共用になっていたり、引き出しがベンチの代わりになったりと、北欧デザインの重要な概念である「ミニマリズム」の思想が反映されています。実際のところ、ノルウェーの厳しくも美しい海と自然を昼夜となく眺めるなら、ただ大きな窓があればいいので、室内に余計な装飾は不要です。
リゾート内には独立した7つのキャビンがあり、食事はメインハウスにあるレストランで。地元産の新鮮な海産物を使ったノルウェー料理をワインやビールとともに楽しめます。メインハウスの2階にはラウンジやライブラリーがあります。部屋では静かに自然と向き合い、ラウンジでは宿泊者同士交流を深めるのもいいでしょう。
アフリカ南部、カラハリ砂漠にあるオカバンゴ・デルタは世界最大の内陸デルタ。ここはさまざまな野生動物が見られる、アフリカでも有数の動物ウォッチングスポット。このデルタの北東部にあたるクワイ私有保護区にロッジがあります。名前の通り、簡素な木造のロッジの屋上に空にむき出しのベッドが置かれています。蚊帳に覆われただけの野外ベッド。なかなか経験することがない非日常が味わえる機会であり、夜間に活動することが多い野生動物をベッドの上から観察できる貴重な体験にもなるでしょう。宿泊できるのは雨が降らない乾季の4~10月で、宿泊のみは不可。動物観察を行うサファリなどとパッケージになったツアーに参加することで貴重な滞在が経験できます。
屋上の高さは約5m。この高さなら安心して動物の観察が可能です。壁も柱もないので360度視界が開けており眺望は抜群。夜は地上の動物だけでなく、見上げれば満天の星空が。ベッドに寝転んで飽きるまで星を眺めるのもよさそうです。
オーストラリアのタスマニア島は、貴重な固有種の動物と豊かな自然で知られ、自然を愛する人にはあこがれの島。しかし1世紀前の島は鉱物資源を採掘するために開発がすすめられ、当時盛んだった捕鯨のための基地が作られた、いわば消費されるだけの島でした。その後鉱業は下火となり、捕鯨もストップ。島には放棄された荒地があちこちで見られるようになりました。このホテルがあるフレシネ半島もそのひとつで、ホテルの建設にあたって、まず植林から始めました。ここではゆっくりと再生されつつある自然を楽しむプログラムが盛りだくさん。オールインクルーシブなのでシーカヤックやマウンテンバイクなど、たくさんのアクティビティもすべて無料で楽しめます。
島固有の動物であるタスマニアンデビルをガイド付きで観察したり、近くの養蜂場でハチの世話をしたり、ホテルのすぐ近くの入り江にあるカキの養殖場を訪ね、その場でカキを味わったり……、ユニークなプログラムがすべて料金に含まれています。
ご紹介した5軒のほか、泊まることが旅の目的になる全126軒のすごいホテルを世界中から集めて解説した『世界のすごいホテル』が、地球の歩き方【旅の図鑑シリーズ】から新登場! ロケーション、絶景、自然、歴史、デザイン、エコがすごい至極の宿を、美しい写真や旅の雑学とともに徹底紹介。超豪華なホテルから庶民的なロッジやキャンプまで、特別な時間を体験できる宿のみ厳選しました。SFの世界が現実となる「宇宙ホテル」とは?! ホテルにまつわるコラムやトリビアも満載です。
日本にいながら海外旅行気分を味わったり、次に泊まってみたいホテルを探したり、旅先を選んだりするのにぴったりの1冊です!
W23 世界のすごいホテル
いつか泊まりたい至極の宿を旅の雑学とともに解説
旅の図鑑
2022/10/14発売いつか泊まってみたい、究極の非日常に身をゆだねて特別な時間を過ごせるホテル。世界のすごいホテルをテーマ×エリア別に紹介!
いつか泊まってみたい、究極の非日常に身をゆだねて特別な時間を過ごせるホテル。世界のすごいホテルをテーマ×エリア別に紹介!
※当記事は、2022年10月11日現在のものです
TEXT: オフィスポスト・イット 永岡邦彦
PHOTO: マゼラン・リゾーツ・アンド・トラスト/(C)Sheldon Chalet_BURKARD/
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