
【2021年8月 タイ・バンコク 旅の最新事情】スクンビット地区にある“駅近”の公園とその魅力
2021.8.23
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新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じているタイでは、10月1日から国内の規制が大幅に緩和されました。ワクチン接種済みのタイ入国者に対しては隔離日数が短縮されるなど、タイ政府は本格的な国境開放に向けて、動き出しています。ドーン・ムアン空港に直結する「SRTレッドライン」の開通や、人気観光地「チャトゥチャック・ウイークエンド・マーケット」の営業再開など明るいニュースをふくめ、活気を取り戻しつつある10月現在のバンコクの状況を在住者がリポートします。
2021年8月2日、バンコクの新ターミナル「バンスー中央駅」が開業し、この新駅を起点としたバンコク都市鉄道の新線「SRTレッドライン」が開通しました。これによりバンコクの都心部・北郊外・南郊外が結ばれ、移動がより便利になるだろうと期待されています。
特筆すべきは、バンコク北部にあるドーン・ムアン空港と都心のアクセスがしやすくなったことでしょう。ドーン・ムアン空港には多くのLCCが発着しており、利用したことがある方も多いのではないでしょうか。これまでドーン・ムアン空港から都心までの移動手段はバスやタクシーがメインでしたが、今後は電車の利用者が増えることが予想されます。
一体どんな様子なのか気になり、筆者も先日、開通したての「SRTレッドライン」に乗ってドーン・ムアン空港まで行ってみました。
まず到着した「バンスー中央駅」は、東南アジア最大規模のターミナル。まるで空港のように広々としています。そして、これから乗る「SRTレッドライン」は11月末まで試験運行ということで、その期間中は無料開放されています。
「SRTレッドライン」には「ダークレッドライン(南北)」と「ライトレッドライン(東西)」の2系統があり、今回はドーン・ムアン空港に向かう「ダークレッドライン」の「バンスー中央駅」⇔「ランシット駅」間の路線に乗ります。
ホームに到着するとピカピカの真新しい車両が出現! 実は「ダークレッドライン」の車両は日本の円借款で、車両の製造やシステム設計には三菱重工や日立製作所、住友商事が関わっているんです。
それではいざ、ドーン・ムアン空港までレッツゴー。バンスー駅からドーン・ムアン駅までは6駅で、所要時間はおよそ18分。なかは大きな窓が開放的で、 走行音はとても静かで快適です。そして速い!
車窓を楽しんでいると、あっという間に「ドーン・ムアン駅」に到着しました。ホームからはドーン・ムアン空港が一望できます。
ドーン・ムアン駅6番出口を出て、空港直結のスカイウォークを歩きます。1ヵ所階段があることや、国際ターミナルまで歩いて15分ほどかかることが若干気になりましたが、空港までのアクセスが電車で簡単になったのは大きな変化だと感じました。
現時点では「都心への乗り継ぎ回数が多い」など不便さもありますが、今後さらに路線が拡張されて便利になることが期待されます。「新バンスー中央駅」は今後、スワンナプーム、ドーン・ムアン、ウタパオの3空港を結ぶ拠点としても計画されているので、東南アジアの旅の拠点として活躍していくことは間違いないでしょう。
バンコクの交通事情は近年大きく変化しているので、久々にタイに来られると驚くかもしれませんね。今後どうなっていくか楽しみです。
バンコク最大かつ最古の鉄道ターミナル「フアラムポーン駅(正式名称はバンコク駅)」。竣工は1916年、バンコクの中央駅として長年活躍してきました。しかし紹介した「新バンスー中央駅」の開業にともない、「フアラムポーン駅」はその役目を終え、年内にも閉鎖予定とされています。タイ鉄道の歴史と旅のロマンが詰まった駅舎が、100年以上もの歴史に幕をおろします。
「フアラムポーン駅」はタイ国鉄の終着駅。チェンマイまでの北本線をはじめ、東北線、東線、南線、さらにマレーシアに続く国際鉄道の路線まで、数多くの電車が発着していました。旅情をかきたてる独特な趣があり、このターミナルに思い入れがある旅人も多いでしょう。
待合ロビーのステンドグラス窓からは光が漏れ、吸い込まれるような美しさ。情緒あふれる雰囲気で満ちています。
減便されたもののまだ列車は動いているとのことで、国鉄に乗ってみようと9月25日に「フアラムポーン駅」を訪問しました。チケット売り場で「新バンスー駅」行きのチケット(片道2バーツ)を購入し、駅のホームへ。
19世紀末にタイで活躍したイタリア人建築家がドイツの「フランクフルト中央駅」をモデルに設計したという駅舎。筆者は数年前に「フランクフルト中央駅」を利用したことがありますが、アーチ型の天井など確かによく似ています。
かつて多くの人でごった返し、列車の発着音が鳴り響いていたであろうホームも、今はシーンと静まり返っています。ここから生まれた数々の旅のストーリーに思いを馳せ、同時に哀愁を感じて胸がきゅーっとしました。
列車は定刻通りに出発。ガタンゴトンと走り出し、心地よい風を感じながら車窓を眺めます。車両は日本で製造されたもの。
駅員さんがカチッと切符を切ってくれ、なんともいえない懐かしい気持ちで胸がいっぱいになりました。25分ほどのローカル感あふれる列車旅を満喫しました。
「フアラムポーン駅」廃止後は、商業施設を併設した「鉄道博物館」として保存する計画とのこと。閉鎖は悲しいですが、バンコクの新たな名所として生まれ変わった姿を見るのも楽しみです。
ちなみに「フアラムポーン駅」は11月に閉鎖と公表されていますが、インフォメーションの女性に「フアラムポーン駅」の閉鎖時期をたずねたところ、「今年12月か来年1月頃だと思う」とのことでした。タイあるあるでさらに時期がずれるかもしれませんが……(笑)。
バンコクで大人気の観光スポット「チャトゥチャック・ウイークエンド・マーケット」。新型コロナウイルス感染拡大により一時は閉鎖となっていましたが、規制緩和にともない9月4日に営業が再開されました。
チャトゥチャック・ウイークエンド・マーケットは1982年にはじまったバンコク最大級の定期市。週末になると広大な敷地に無数の店がひしめきあい、雑多な雰囲気とムンムンとした熱気のなか、いつも観光客や地元民でごったがえしていました。
ところがコロナ禍で観光客は激減。さらに感染拡大防止対策による一時閉鎖など、大打撃をうけていました。苦しい時期が続いていたチャトチャックマーケットの営業がようやく再開されたということで、9月25日と10月2日に訪問しました。
マーケットの入り口には検温所が設置されているので、入場者はそこでチェックを受けます。
マーケットを見渡すと、通りに面している店はほぼ営業を再開している様子。なかの通路に入ると、シャッターを下ろしたままの店もかなり見うけられます。
筆者が訪れたときは、全体的に6~7割ほどの店がオープンしている印象を受けました。むしろエリアによってはかなり混雑しており、密になりがちなのが気になるほど。
コロナ禍前に比べるとまだまだ客足は少ないですが、確実ににぎわいを取り戻しつつあります。筆者も久々に雑貨や服、食器、民芸品などかわいいいものをたくさん見て、心が浮き立ち、購買欲が刺激されました。
チャトゥチャック・ウイークエンド・マーケットに隣接するモール「MIXT CHATUCHAK(ミックス・チャトゥチャック)」も営業を再開しているので、そちらのフードコートでランチするのもおすすめですよ♪
バンコク有数のナイトマーケット「ラチャダー鉄道市場(正式名称:タラ―ト・ロットファイ・ラチャダー)」。2015年にチャトゥチャック・ウイークエンド・マーケットから移転してきた市場で、かつてはタイ国鉄の倉庫で開かれていたために「鉄道市場」という愛称で呼ばれ親しまれてきました。
およそ1,000軒もの露店が密集し、日が暮れると縁日のような活気に満ちあふれ、ローカル価格で屋台料理やショッピングを楽しめるということで地元民にも観光客にも大人気。宝石をちりばめたかのような美しい絶景も撮影スポットとして有名でした。
しかしコロナ禍で観光客は激減。厳しい経営に追い打ちをかけるように、次々と店舗が撤退し、2021年5月には休業、現在は無期限の一時閉鎖となっています。9月30日に訪問してみると、その変わり果てた光景に驚きました。
人気観光地がこのような姿になってしまうのはとても悲しいです。またいつか再開し、かつてのにぎわいを取り戻してくれる日を心から願っています。
もともとバンコクは新陳代謝が活発な街ですが、コロナ禍がより加速させている印象です。とはいえ、状況は少しずつよくなっているので、このまま事態が収束してバンコクが以前のようなエネルギッシュな姿を取り戻し、日本とタイが自由に行き来できるようになることを願っています。
やっぱりタイはおもしろい! バンコクで絶対やりたい15のことをピックアップ。必食グルメに買い物、インスタ画像もゲットできる最旬プランから、大ブームのナイトマーケットにパワースポット、人気エリアのディープな町歩きまで、いまのタイを体感できる最強ガイドです。スパ&マッサージ、おみやげの最新情報も満載!
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TEXT・PHOTO:バンコク特派員 日向みく
※当記事は、2021年10月10日現在のものです。