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パリの中心部にあるマレ地区はアート、グルメ、ファッションが交差する場所です。フランスの多様性が重なり合って文化を形成しています。マレでチェックしたいポイントをまとめました。
マレ地区は狭い地域にじつに多様な美術館、博物館が集積しています。まず西側には国立現代美術館が入るポンピドゥー・センターが。ルーヴル美術館、オルセー美術館に続く時代区分の収蔵品があり、それら2大美術館と併せて訪れたい場所です。
東側へ歩いて行くと、次にユダヤ芸術歴史博物館、国立古文書博物館、狩猟博物館があります。ユダヤ芸術博物館では、ユダヤ人や彼らの歴史、芸術について展示されています。マレ地区は19世紀末以降、迫害から逃れ東ヨーロッパからやってきたユダヤ人が住み着いた歴史を持ち、それは今でも地域に色濃く残っています。国立古文書博物館にはジャンヌ・ダルクの手紙やマリー・アントワネットの遺書などフランスの歴史に関わる古文書を見ることができます。狩猟自然史美術館は、狩猟に関する絵画や道具、剥製などを収蔵します。
さらに東へ行くと、ピカソ美術館、カルナヴァレ博物館、パリ市史料館が。ピカソ美術館は、ピカソが亡くなった後に相続税と引き換えに遺族からフランスに寄贈された約5000点の作品を擁しています。カルナヴァレ博物館は、ガロ・ローマ時代から20世紀までのパリの歴史を展示。パリ市史料館はフランス国王アンリ2世の王女ディアヌ・ド・フランスによって建てられたルネッサンス様式の館です。
マレ地区の東端にはヴァージュ広場があり、広場を囲む建物にヴィクトル・ユゴー記念館が入っています。かつてユゴーが家族と暮らした場所であり、書斎などを見学することができます。
マレ地区は17世紀に貴族の館が次々と建てられ、また19世紀末以降はユダヤ人街としての文化が加わりました。さらにマレ地区はパリのLGBTQ文化を牽引する地域でもあり、その多様性が常に新しいアートやファッションを生み出し、時代の感度が高い人を集めています。
このマレ地区でまずチェックすべきは、カルナヴァレ博物館もあるフラン・ブルジョワ通りです。多くの有名フレンチブランド、雑貨店がこのフラン・ブルジョワ通り周辺に店舗を構えています。マレ地区の東端にあるボーマルシェ通りには、セレクトショップのメルシーがあり、マレをショッピングクルーズする人々の中継点になっています。赤いフィアットが停められた外観はあまりにも有名です。
マレ地区の南端には百貨店「BHV」があります。通常の服飾ブランドのほかに、インテリア、キッチン、ライフスタイルグッズなどではパリの百貨店の中で随一の品揃えです。同店の屋上にはルーフトップバー「ペルショワール・マレ」も入っています。
またBHVからリヴォリ通りを挟んだ南側に建つパリ市庁舎の中には、パリ市のショップ「パリ・ランデヴー」があります。ここではパリ市のオフィシャルグッズなどが売られていますので、エッフェル塔などパリ市に関連したデザインの土産物を探すのに最適な場所です。
マレ地区はグルメも充実しています。西端にあるポンピドゥー・センターから東へ伸びるランビュトー通りには、パン屋、パティスリー、ショコラトリーが並び、どれもチェックしておきたいものばかりです。
パティスリーならパン・ド・シュクル。ショコラトリーなら老舗の「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」やフランスを代表するチョコレート職人である「パトリック・ロジェ」は外せません。パン屋なら「シェ・ムニエ」、そして日本の食パン専門店「キャレ・パン・ド・ミ」もあります。コーヒーの専門店であるテール・ド・カフェやレバノンアイスクリームの「グラス・バシール」もおすすめです。
一方で、ロジエ通りはユダヤ人街であるマレ地区を体現するかのように、ファラフェル(ひよこ豆をつぶして揚げたコロッケのような食べ物)のサンドイッチを売る店や、ユダヤ教徒のためのコーシャフード(ユダヤ教徒の食事規定)の食品店が軒を連ねています。ファラフェルのサンドイッチは「ラス・デュ・ファラフェル」がいつも行列を作っていますが、ほかにも「シェ・マリアンヌ」などいくつかあり、そちらでも同じくファラフェルのサンドイッチを楽しめます。
ロジエ通りでもうひとつ忘れてはいけないのが、パティスリーのヤン・クヴルール。イートインスペースもあり、その場で食べることも可能です。もし訪れてみたらイートインでしか食べられない(テイクアウト不可)ヤン・クヴルールのスペシャリテ、ミルフイユをぜひ食べてみてください。
監修:地球の歩き方