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タイのB級グルメといえば、何を思い浮かべるでしょうか? タイヌードル(クィッティアオ)やガパオライス、パッタイなどがすぐに思い浮かぶかもしれません。タイにはさまざまなB級グルメがありますが、その中でも最近特に注目を浴びていて、どんどん新しいお店がオープンしているのが、カオマンガイ(カーオマンカイ)です。カオマンガイは、タイの屋台やフードコート、ローカルの飲食店などで、お手頃価格で食べることのできるタイのソウルフードです。今回はカオマンガイの基本情報や海外でもお店をオープンした大人気のカオマンガイ店など、おすすめのお店も合わせて紹介します!
目次
カオマンガイ(タイ語:ข้าวมันไก่)は、タイのチキンライスです。蒸し鶏ご飯と訳されることもあります。英語では“Thai boiled chicken rice”や“Thai Hainanese chicken rice”と表記されることが多く、中国やシンガポール、マレーシアなど、アジアで食べられる「海南鶏飯(ハイナンジーファン)」によく似た料理です。
国によってお米やソース、食べ方に少しずつ違いがあり、それぞれの国で独自に発展している料理といえるでしょう。タイのカオマンガイの最大の特徴は、ショウガ、ニンニク、生唐辛子、醤油、酢、砂糖、タオチオという味噌などを混ぜて作ったピリ辛のソースをかけて食べるところです。
カオマンガイの「カオ」はお米、「マン」は油、「ガイ」は鶏肉という意味です。作り方は調理人によって多少異なりますが、鶏肉の油とチキンスープで調理したタイ米の上に、ゆでた(お店によっては蒸した)鶏肉をのせて、前述したピリ辛のこげ茶色のソースをかけて食べるタイ料理です。通常、カオマンガイを注文すると付け合わせにタイのキュウリ(少し水っぽい)がのっています。チキンスープも一緒についてくることが多く、鶏肉を一からゆでて作っているので、うま味がたっぷり染み出ています。
また、カオマンガイを取り扱うお店には、たいてい「カオマンガイトート(ข้าวมันไก่ทอด)」というメニューもあります。「トート」は「揚げる」という意味で、揚げた鶏肉をのせて、甘辛いスイートチリソースをかけて食べる料理になります。このカオマンガイトートはタイならではで、ほかの国の似た料理と違うポイントかもしれません。カオマンガイトートだけで注文することもできますが、タイではカオマンガイとカオマンガイトートのミックスを注文する人も多いです。
皆さんは「ピンクのカオマンガイ(ไก่สีชมพู)」の呼び名で親しまれる人気のカオマンガイ店「コーアーン・カーオマンカイ・プラトゥーナーム」をご存知でしょうか? カオマンガイがピンク色なのかと思いきや、従業員がピンクのポロシャツを着用していることからそう呼ばれています。店名の「コーアーン」は創業者のアーン(อ่าง)氏の名前に由来します。
「コーアーン・カーオマンカイ・プラトゥーナーム」は、2018年から5年連続、グルメガイドブック「ミシュランガイド(MICHELIN GUIDE)」のビブグルマン(BIB GOURMAND)部門※に選ばれているお店です。
※ビブグルマン(BIB GOURMAND)はお手頃価格でおすすめできるお店に与えられる評価指標です
1960年に屋台から始まったこのお店は、現在ではローカルの食堂のみならず、何店舗かレストラン形態の店もオープンしています。また、その人気ゆえにシンガポールにも支店をオープンするに至っています。タイ国内でどれぐらい人気かというと、タイの正月期間中、あまりの繁盛ぶりに鶏肉が足りなくなり、本店が一時的に休業になったほどです。
ピンクのカオマンガイは本店以外に10店舗程度ありますが、おすすめは、セントラルワールド向かい(ラチャダムリ通り沿い)にある新店舗「プラトゥーナム2号店」です。
店内は清潔で開放的なので、屋台や大衆食堂に入りにくいと感じる方や、おしゃれな店内でご飯をゆっくり食べたいという方にも安心できる店舗でしょう。ローカル感あふれるプラトゥーナム本店より少しだけ割高ですが、冷房が効いており、快適です。
なお、2019年に「The MARKET」という商業施設のG階(日本における1階)にもお店をオープンしましたが、現在お店はありませんのでご注意ください。
プラトゥーナム2号店の店内に入ったら、自分で空いている席を見つけて着席し、メニューを紙に書いて注文します。英語表記もあるのでわかりやすいと思います。料理のほかにもタイティーやココナッツジュースなど、タイらしいドリンクも。「タイのお茶は甘い」と聞くことがあるかもしれませんが、甘くないお茶もあります。例えば、「House tea」というお茶は甘くありません。また、甘くしたくない場合は、「マイ・ワーン」と言えば大丈夫です。
普通サイズのカオマンガイは65バーツ(約250円)で、あとで紹介する本店より15バーツ(約60円)高いです。カオマンガイ、カオマンガイトート以外のメニューもあります。
上の写真は大盛りサイズで、カオマンガイとカオマンガイトートのミックス(95バーツ、約360円)とHouse tea(15バーツ、約60円)を注文したときのものです。プラトゥーナム2号店では、サービス料の7%が追加となり、これで合計110バーツ(約420円)です。大盛りには、レバーのような見た目の鶏肉の血塊“ルアット”をゆでた料理もついてきます。ここのカオマンガイをひと口食べれば、ほかとはひと味違うつやつやとしたタイ米と、しっとりとした柔らかい鶏肉のおいしさに驚くでしょう。
テーブルの上には黒い色の甘いソースとカオマンガイトート用のオレンジ色のスイートチリソースが置かれています。ゆで鶏には、料理と一緒に運ばれてくる、上の写真の一番左にあるトロッとしたピリ辛ソース、揚げ鶏にはスイートチリソースをかけるのが一般的ですが、お好みのソースをかけてお召し上がりください。
サーカーは支店という意味
タイの食堂や屋台慣れした方、できるだけ食費を抑えたい方、オープンエアーのローカルな雰囲気を感じたい方は、本店をおすすめします。
普通盛りのカオマンガイは50バーツ(約190円)で、2号店より15バーツ(約60円)安いですが、味は同様においしいです。両店舗とも徒歩ですぐの距離にありますので、実際に店舗前まで行ってみて決めてもよいと思います。テイクアウトしたい方は、店舗右側にあるブースで注文します。
タイでは特に先に紹介したコーアーン・カーオマンカイ・プラトゥーナームが有名ですが、実はプラトゥーナム本店のすぐ近くには、緑のカオマンガイ「クワンヘン・ガイトーン・プラトゥナーム」というお店もあります。こちらは1932年創業で、ピンクのカオマンガイよりも老舗です。こちらの緑のカオマンガイという名前も、ピンクのカオマンガイと同様、従業員が緑色の制服を着ていることに由来します。しかし、最近筆者が訪問したときは、なんと緑の制服は着ていませんでした。こちらのお店へ行く際は、写真の緑の看板を目印にするとよいかもしれません。
こちらも、ピンクのカオマンガイと同様、カオマンガイ普通盛りは50バーツ(約190円)です。ピンクのカオマンガイと比べると、ソースの辛さは同じくらいで、さらっとしている印象を受けます。鶏肉は弾力があり、とてもしっとりしています。チキンスープも鶏の出汁が濃く、さすが人気店だという味わいです。お店のレビューを見てみると、中にはピンクのカオマンガイと比べソースが少しピリ辛、ご飯がオイリーだという意見もありそれぞれおいしさが異なるため、食べ比べしてみるのも楽しいと思います。
ピンクのカオマンガイや緑のカオマンガイ以外にも、タイ国内にはカオマンガイ店が多数あります。
最近では、アレンジしたカオマンガイのお店も出てきました。鶏肉の低温調理が売りで、スープをかけて食べるタイプのカオマンガイを提供するお店「煮(読み方:フン/หุง)、Hoong」。アーリー駅から徒歩1分ほどの立地で、日本語が堪能な美人店主ジュブさんが営む、カオマンガイを含む4種の鶏肉料理を提供するお店「ジュブジュブ・カオマンガイ(จุ๊บ จุ๊บ ข้าวมันไก่)」など、一風変わったカオマンガイ店が話題になっています。
ほかに、タイで最も高級だと言われているカオマンガイ店もあります。18ヵ月かけてリノベーションし、2020年末に再オープンしたバンコクのモンティエンホテル(Montien Hotel Surawong Bangkok)内のレストラン「ルエントンレストラン(ห้องอาหารเรือนต้น/Ruenton Restaurant)」)です。
こちらのお店では、カオマンガイの値段がなんと377バーツ(約1430円)します。それでも、毎日10時30分から毎日300食以上販売され、売り切れることもあるとか。ボリューム満点のカオマンガイがホテル内で食べられるので、それほど高く感じないのも人が集まる理由のひとつなのでしょう。こちらでカオマンガイを注文すると4種類のソースがついてくるため、味変しながら食べることができます。
そのほか、バンコク都内の百貨店やショッピングモール内にあるフードコートでは、たいてい50バーツ(約190円)前後でカオマンガイが食べられます。また、お店によって5バーツ(約20円)ほどの追加料金がかかる場合もありますが、テイクアウトも可能です。テイクアウトの際は「アオ ガッバーン(タイ語表記:เอากลับบ้าน)」と伝えましょう。
タイで普及しているデリバリーサービス「foodpanda」や「LINE MAN」、「GrabFood」などを利用して、ホテルなどの滞在先から出ることなくカオマンガイを購入することもできます。
カオマンガイ専門の大衆食堂やレストランは、Google map検索やインスタグラムのタグ検索で、「カオマンガイ」と入力すると、たくさんの情報が得られますし、町を歩いていて、店頭に鶏が丸ごとぶら下がっているショーケースがあれば、たいていカオマンガイが食べられるお店です。
在住者でも、すべてのカオマンガイを制覇するのは大変だなと思うくらい、探せば探すほど、カオマンガイは至る所にあります。
以上、いかがでしたか。タイで多くの人に親しまれている人気のタイ料理「カオマンガイ」とバンコクにあるおいしいお店を紹介しました。タイ旅行、バンコク観光の参考になればうれしいです。
監修:地球の歩き方
※こちらの記事は、2022年10月時点のレート(1バーツ:3.8円)を参考にしています。