海外レストランでのマナーで大事なこと
2022.12.28
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チップは日本にはない習慣なので戸惑うことが多いと思います。だが、外国ではチップは従業員の報酬の一部となるもの。大人のマナーとしてチップの基礎知識を知っておきたいですね。
目次
金額は国によって異なりますが、欧米では料理や飲み物の合計額の10〜15%が相場とされています。耐え難いような最低のサービスをされた場合はチップを置く必要はないかもしれませんが、通常のサービスを受けたら置くのは常識。イギリスのレストランを例にあげると、サービス料がある場合は一般的に不要。サービス料が入っていない場合は店の格にもよるが12~15%金額を支払い時にまとめておいておくといいでしょう。また、香港などでは、おつりの小銭をそのまま置いてくるのがスタンダードになっているなど国によって様相は異なります。アジアではチップを必要としない国も多いです。
簡単にシチュエーション別の目安をハワイを例に説明します。
●ポーター
荷物1個につき$1〜2が相場(1回の運搬で最低でも$1)。大きさ、重さにより多少変わる。
●ベルマン
ホテル、レストランなどにごく普通に出入りする場合は必要なし。タクシーを呼んでもらったときは$1程度、駐車場から車を運んでもらった場合も$1~3程度。
●ルームキーパー
ベッド1台につき最低$1。ホテルの格によって$2〜3。毎朝、もしくは、チェックアウトする朝に滞在日数分をまとめて、客室を出るとき、枕の上などわかりやすい場所に置く(ピローチップという)。部屋が散らかっているときは少し多めに。
●タクシー
メーターの15%前後。少額のときも、最低$1を。
●レストラン
勘定書の約15%。すでにサービス料が加算してあれば、チップを払う必要なし。小銭がないときは、支払いを済ませてからチップを払ってもよい。ホテルのレストランなら勘定書に金額を書いてサインすれば、チェックアウト時に精算できる。
●バー
キャッシュ・オン・デリバリー(飲み物が運ばれるたびに支払う方式)でカウンターに座って飲むな
ら、基本的にチップは不要。テーブルに座ったときは、スタッフにそのつど渡す。ビールやウイスキ
ー、カクテル類はいずれも$1ぐらい。最後にまとめて払う場合は、合計金額の15%程度を。
●その他
ルームキーパーやボーイに何かを頼んだとき、1回につき最低$1ぐらいは。またルームサービスの場合も料金の15%を。
チップで1・5・10・25¢の硬貨はなるべく使わないようにしましょう。特にレストランでは、お札だけにするほうがスマート。計算したらチップの額が$4.20とか$5.80になる場合、それぞれ$4、$6とドル札をチップにします。位を切り上げるか、切り捨てるかはその店のサービスの満足度で決めればいいでしょう。
チップはクレジットカードでも支払えます。伝票の合計金額(TOTAL)とその上の欄がブランクになっているので、上の欄にチップ代を書き込み、料理の金額と合わせた数字をTOTAL欄に記入します。客用控えのコピーを確保すればその場に伝票を置いて店を出てもよいでしょう。
項目名 | 金額 |
Services(飲食代) | 39.50 |
Taxes(税金) | 1.65 |
Tips (チップ) | 6.00 |
Total(合計金額) | 47.15 |
飲食代の15%が目安なので、40ドル×0.15=6ドルをチップとして書き込んだり、お店が予め項目として設けています。「Tips」の他に「Gratuity」(チップ)、「Service Charge」(手数料)などと記載されているときも。
「日本語のメニューがあるなんて良心的だなぁ」などと思っていると、チップを上乗せした日本人専用の日本語メニューだったということも。もちろん、サービスで日本語メニューを用意している店が多いですが、念のため英語のメニューも見せてもらいましょう。
皆さんは、チップに関してひととおりの予備知識はおもちのことと思う。だが、年間約150万人以上もハワイを訪れる日本人観光客のなかには、この日本にはない習慣にうとく、チップを置いていかない人がまだまだいるようだ。
レストランで働くウエーター、ウエイトレスにとって、チップの収入はサラリーより重要なもの。少しでも多くのチップを稼ぐために、一生懸命サービスに励むわけだ。ところが、チップを置いていかないとなると、彼らのサービスに対する評価はゼロということになってしまう。そうなってくるとサービスする側も自衛手段を取らざるをえない。
「日本のお客さまのなかにはチップの習慣を知らない方がいらっしゃいますから、当店では伝票を渡す際、『15%のサービスチャージを頂戴してもよろしいですか?』と、スタッフにおうかがいを立てさせるようにしています」(ワイキキの某日本レストランのマネジャー氏)というレストランもあるが、これはまだ良心的なほう。一般的には伝票の裏やメニューに『料金の15%程度のチップをお願いします』といった日本語の注意書きがあったりする。
ひどいのはなんの断りもなしに、あらかじめ15%程度のサービスチャージを上乗せした伝票を出すレストラン。数年前は、日本人の多いワイキキ周辺のごく一部に限られていたのが、昨今ではネイバーアイランドの小さなレストランまでが、こうしたやり方で「チップのもらいはぐれ」を防ぐようになった。
確かに料金の15%を計算するという煩わしさから解放されるから、レストランのほうであらかじめ上乗せしてくれてもいい、という意見もあることはある。また、すでにワイキキをはじめとして多くのレストランがこうした手段を取っており、そのなかには味も雰囲気も「一流」といわれるお店も少なくない。その原因は、15%のチップを上乗せしても、日本人は黙って払っていってくれるというレストランサイドの認識があるからだろう。だが、チップとは本来客が決めるべきもの。満足できるサービスを受けたら20%払ってもいいのだし、ひどいサービスなら一銭も渡す必要はないのだ。
「15%のチップ? まあ、いいだろう」というごく一部の日本人観光客の態度が原因で、いちばん被害を被っているのはハワイに住む日本人、日系人たちだろう。
「せっかくおいしい食事と楽しいひとときを楽しんだのに、伝票を見るとサービス料が上乗せされている。これは興ざめです。そのお店に対する評価もガタ落ち。こんなときは、マネジャーを呼んで当然クレームをつけます。よくよく話を聞くと、やはり日本人観光客は黙って伝票どおりに払っていくのだというのです。英語が話せないということもあるのでしょうが……」(ハワイの人材派遣会社経営・ロイ吉本さん)
アメリカ人の客にはチップ上乗せ伝票など出さないが、日本人には平気という最近のレストランの風潮はどうにかならないものだろうか。われわれがまいたタネとはいえ、自らが評価をしてチップの額を決める、という毅然とした態度が、これからの観光客には必要だと考える。