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コロナ禍で日韓航路が運航休止となり、ようやく2022年11月に就航した新造船クイーン・ビートル。福岡と韓国の釜山を3時間40分で結ぶ国際航路だ。今回は釜山で乗船、博多港までの船旅を体験してみた。釜山港に現れたのは真紅のトリマラン(三胴船)。乗船が待ち遠しい!(写真上:JR九州高速船株式会社)
港って、意外に近い。釜山港はKTX(新幹線)が発着する釜山駅から1kmほど。1〜2泊の身軽な旅なら歩いても10分少々といったところ。もちろんタクシーも利用できるし、釜山着便なら到着に合わせてシャトルバスも運行されている。
到着フロアにある釜山の観光案内所、出発フロアの免税店、軽食屋さんは開いていた。コロナ禍の前に比べると、まだまだ日本便の運航本数は少ないので、新しくてきれいなターミナルもがらんとしている。今後のにぎわいに期待したい
いよいよチェックイン。クイーン・ビートルの場合は、日本入国時に検疫をスキップできる「Visit Japan Web」の青色表示を取得しておくことが必須。チェックイン時に確認し、青でないと乗船できない。この点は飛行機とは違うので留意したい。
なお、船旅では飛行機のようにチェックインカウンターで荷物を預ける必要がない。自分で持ち歩き船内のロッカーに預けるか、座席近くで管理することもできる。ということは飛行機のように預けた荷物をターンテーブルなどで待つ必要がないので、到着時のストレスが少ないのかも。
飛行機と違ってスーツケースも「手荷物」。ハサミなどの文房具や果物ナイフなど、ふだんスーツケースに入れれば問題ないものも、危険物としてスタッフに預けなければならない。あらかじめ別にしておいたほうがスムーズだ。
船のいいところは、自転車をそのまま積めること。解体して輪行袋に入れ・・という手間がなく、到着ターミナルに着いたらすぐに町へ出ることも可能だ。なお、荷物を置くロッカーは運行中鍵がかかるので、盗難の心配はない。
船の旅のメリットは、自由に歩き回れること。後方デッキで海風に当たりながらグイっと飲む生ビール。つまみは去りゆく町並み、とくれば思わず感傷的になってしまうではないか。売店で軽食を買って、仲間とオープンテーブルで楽しむことも可能。席についてひと眠りするとしても、シートベルトがないので窮屈感がない。
あれ? 旅ってホントは自由だったよね。そんなことを思い起こさせてくれるのが船旅かもしれない。
ビビットで明るい船内のデザインは、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」などを手掛けた水戸岡鋭治氏によるもの。「ななつ星」がシックなら、クイーン・ビートルはポップで楽しい旅がイメージできるテイストだ。
クイーン・ビートルの定員は502名。すべて椅子席で普通席とビジネスクラス席がある。普通席でも飛行機の座席よりもゆったりとしている。テーブルの大きな対面座席は、家族やグループの旅行にちょうどいい。
普通席エリアにはカフェ&バーがあり、近くには誰でも利用できる丸テーブルもある。メニューはプルコギ飯やヤンニョムチキンなどの韓国料理、キッシュやピザ、もちろんスイーツもある。
子どもを自由に遊ばせられるキッズコーナーも船だからこその設備。まわりに気兼ねすることなく家族旅行が楽しめますね。見て触って選べる免税店もポイント。オリジナルグッズを探してみてはいかが?
ビジネスクラスは2階にあり、先頭部分の展望スペースからは、窓越しに大海原を進む様子が見られる。ぬくぬくと暖かい部屋から楽しむ青い海。なかなか贅沢な体験かも。
ビジネスクラスの座席のシートピッチは140cm。座席は2種類あり、開放的な座席とプライバシー重視の座席が選べる。ゆっくり休みたい人ならシートを倒すと顔が隠れる仕様の座席がおすすめだ。
ビジネスクラスでは、スリッパやアイマスク、ハンドクリームなどのアメニティがあり、お菓子の詰め合わせのプレゼントもあった。女性用のレストルームには椅子に座って化粧直しができるパウダーコーナーがあったので、下船時に便利かも。
ビジネスクラスにあるソフトドリンクの自動販売機が無料なのも地味に嬉しい。
ビジネスクラスのカフェコーナーは、クイーン・ラウンジとちょっと上質感のある名前。メニューは普通席のカフェと変わらないが、飲み物やスイーツから2つ無料になるサービスも。生ビールやハイボールも無料でチョイスできるのは、ここだけの秘密にしておこうかな!
15時に出港した船は、ほどなくして対馬海峡を渡る。右に見える島影は、思いの外大きく、堂々と横たわっていた。12月のこの日は、ちょうど海峡で日没を迎え、美しい風景を見せてくれた。
いよいよ到着。船は揺れることもなく接岸した。検疫官が乗り込み、発熱など健康状態をチェックする。このときばかりは指定座席に座っていることが必要。チェックが終われば下船の許可が降り、順次下船していく。
船を後にし、博多港ターミナルへ。入国審査で帰国のスタンプを押してもらう。自動ゲートの空港ではスタンプがないので、ちょっとうれしい。それにしても船旅では、外国から帰ったという気がしないのはどうしたことか。まるで国内旅行のような気分。
さて、博多港から市内へはバスがあるものの、本数も少なくあまり便利とはいえない。タクシーは待機していないので、電話で呼ぶこと。博多港ターミナルのインフォメーションのところにタクシー会社の電話番号が書いてある。
なお、飛行機や列車の乗り継ぎをする人は相応の時間をみておこう。クイーン・ビートルの場合は下船に最大90分かかると案内している。
クイーン・ビートルの運賃は大人片道1万6000円。しか〜し! JR九州高速船のウェブでは、8000円の料金が出ている!
曜日によっては6500円という日も(諸費用は別途必要)。航空券が高止まりしている現在、このプライスは魅力的。九州一円の人はもちろん、国内線航空券をマイルやバーゲンプライスで手配できるなら、飛行機で福岡空港に行って博多港から乗船しても、まだ安い! 料金は変更になるのでちょくちょくチェックするのがおすすめ。
博多港 9:00発 → 釜山港12:40着
釜山港 15:00発 → 博多港18:40着
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写真:豊島正直(船影JR九州高速船) 記事:どんぐり・はうす