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スペイン・アンダルシア州で味わう大西洋の恵みと贅沢なチル・タイム。秘められた都市カディスの名所3選を訪ねて

地球の歩き方永倉

更新日
2023年2月24日
公開日
2023年2月21日
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大西洋に囲まれた港湾都市、カディス。街自体の美しさはさることながら、「光の海岸」と呼ばれるビーチを有し、新鮮な魚介類も楽しめるこの街の魅力はまだまだ知られていないように思います。アンダルシア州の中でも特に古い街のひとつでもあるカディスは、海に囲まれている開放さと長い歴史を感じさせる街並みが共存する都市。今回は、実際に見て感じてきたカディスの魅力を、おすすめのスポットとともに紹介します。

カディスとは

カディスは大西洋に突き出た半島に位置している港湾都市で、セビージャ(セビーリャ)から列車やバスで約1時間45分、マラガやグラナダからはバスで約2~3時間で訪れることができます。

紀元前10世紀頃にフェニキア人によって築かれた、ヨーロッパの中で最も古い都市のひとつであるカディスは、昔から海上貿易の拠点として栄えてきました。特に、新大陸との貿易を統括する機関である通商院が移された1717年以降には、さらに商業が発展しスペイン屈指の国際都市へと成長。最盛期には、度重なる海賊からの襲撃を受けたことで、街には要塞や城、見張り台が建造されました。それらが、今のカディスを象徴する特徴のひとつともなっています。

海岸線とカディス大聖堂のドーム(写真真ん中)

また、カディスは自然に恵まれた都市でもあります。カディスと隣の県ウエルバにまたがる海岸はコスタ・デ・ラ・ルス(光の海岸)と呼ばれ、砂浜が黄金のように輝くことで有名です。ほかにも、ユネスコ世界遺産にも登録されているドニャーナ国立公園はカディス、ウエルバ、セビージャにまたがっており、カディスを拠点に日帰りで美しい湿地帯、砂丘、ラグーンでさまざまな動植物に出合うこともできます。

街並みと人々の様子

街の北にある海沿いには要塞があり、18世紀に貿易都市として最盛期を迎えた様子がわかる

カディスは海に囲まれた都市であるため、海沿いを歩くと多くの船が停泊していたり、ヤシの並木があったりと、まさに港町といった開放的な雰囲気。しかし、一歩市街に入ると海沿いの通りとはまた違う、歴史ある美しい街並みが迎えてくれます。

石造りの建物が広場を取り囲み、落ち着いた雰囲気

街の中心部にはいくつか広場があり、その広場から小さな路地が分岐しているようなつくりとなっています。特にサン・フアン・デ・ディオス広場からカディス大聖堂へと通じる道や、カディス大聖堂からカレータ・ビーチへと向かう道にはレストランやバル、屋台が並びにぎやかな雰囲気。

屋外席で食事を楽しむ人々

休日ともなれば、昼過ぎから夕方にかけて屋外でビールやワインとともに料理を楽しむ地元の人々でいっぱいに。食事とその時間を大切にするアンダルシアの文化を感じます。

フローレス広場にある雑貨の屋台

広場や市場では雑貨や生花、食品が売られており、活気があります。屋台ではサッカーやフラメンコ、闘牛モチーフなどのスペインらしい雑貨も。店主と値段交渉しながらおみやげを購入してもよさそうです。

おすすめスポット

街自体が美しく、歩いているだけで楽しい気持ちになれるカディスですが、そのなかでもぜひ訪れたいスポットを3つ紹介します。

歴史ある建築様式を楽しめる「カディス大聖堂」

真っ青な空に石壁が映えるカディス大聖堂

19世紀に完成した、白を基調とした石造りのカディス大聖堂。完成までに116年もの年月がかかったため、バロックやロココなど、さまざまな様式が混ざり合っています。外観だけでなく、内部にも建築家たちがさまざまな様式で設計・装飾を行ってきた形跡が残っており、建築に詳しくなくても見ただけで歴史を感じることができる貴重な建築物となっています。

建物はチャペルや時計塔、礼拝堂、聖具保管室等で構成されており、礼拝堂にはカディス生まれの作曲家、マヌエル・デ・ファリャが眠っています。

時計塔には登ることができ、街並みや海を見渡すことが可能です。建物正面からはわかりづらいですが、建物中央にあるチャペルの屋根は金色のドーム状になっており、太陽の光できらきらと輝く青い海と荘厳な金のドームのコントラストは圧巻の美しさ。天気のよい日にはぜひ見ておきたいポイントです。

チケットは当日購入、オンラインでの事前購入どちらも可能。大人は7ユーロ、25歳までの学生は5ユーロ、12歳以下は無料です。

カディス大聖堂前の広場でのんびり過ごす人々

カディス大聖堂前は建物に囲まれた広場となっており、近くにはいくつかレストランもあります。地元の人々に交じって、屋外席でのんびりとスペイン料理を楽しみながらカディス大聖堂を眺めるのもおすすめです。

カディス大聖堂

詳細をみる
電話番号
956 286 154

地元の海の幸を味わえる老舗レストラン「エル・ファロ・デ・カディス」

多くの人でにぎわう店内

カディスは海に囲まれた街であるため、新鮮な魚介類を堪能できるのもうれしいところ。旧市街の西にあるカレータ・ビーチから徒歩3分ほどの場所にある「エル・ファロ・デ・カディス(El Faro de Cadiz)」は、創業59年の老舗。3代に渡り、地域に根差した料理を提供し続けています。

壁には著名人の写真や家族の歴史を示す写真がたくさん

地元の人々のみならず多くの著名人からも愛されてきた店で、店内の壁には結婚式や会談の様子など、たくさんの写真が飾られています。

こちらの店が有名なのは、もちろん老舗だからという理由だけではありません。半世紀以上に渡り受け継がれてきたレシピと、長年の創意工夫によって作られる料理で、今も多くの人々を魅了し続けているのです。

白身魚の塩釜焼。焼き上がり後すぐに目の前で取り分けてくれる
取り分けられた白身魚とポテトの煮込み。塩とオリーブオイルのシンプルな味付けで、素材のうま味を感じられる

カディスの海の幸や野菜をふんだんに使い、シンプルに味付けされた料理の数々は、ひと口食べれば食材のうま味をダイレクトに感じられます。特に、メインの白身魚の塩釜焼は絶品。魚の身はほくほくでうま味が濃く、何皿も食べられそうな気がしてしまうほど。

  • 具だくさんのかき揚げ
  • カサゴを使ったパテ
  • シーフードミートボール
  • ポテトと肉の煮込み
  • さまざまな種類のチーズ
  • ブルーチーズケーキとストロベリーアイス

メニューはアラカルト、コースどちらも用意があります。店は常時混雑しているため、特に複数名で訪れる場合はコースを事前に予約するのがおすすめです。コースメニューは通常3種類あり、1名49ユーロ(6900円)から。

エル・ファロ・デ・カディス(ElFarodeCadiz)

住所
C.SanFélix,15,11002Cádiz
電話番号
956-211-068
営業時間
13:00–16:30,20:30–23:00
URL
https://www.elfarodecadiz.com/index.php

散歩にぴったり、地元の人々の憩いの場でもある「ヘノベス公園」

公園の中には小さな滝が。座れる場所も多いのでひと休みするのもおすすめ

旧市街の北西、海のすぐそばにある「ヘノベス公園(Parque Genoves)」は、台形のかたちをした約3万平方メートルの公園。公園という名前ではありますが、園内には65種類以上もの樹木が植えられており、植物園といったほうがイメージに近いかもしれません。

地元の人々もよく散歩に使うそう。犬と一緒に過ごす人も

この公園は18世紀には原型ができていましたが、現在のような姿に生まれ変わったのは1892年。当時の市長により、ロマン主義様式の植物園のようなレイアウトにすべく大規模な改修が行われました。

園内にはさまざまな種類の木々が植えられていますが、そのほとんどがほかの大陸から持ち込まれたもの。リュウケツジュ(ドラゴンツリー)やアラウカリア、トックリキワタ、ナツメヤシなど、なかなか日本では見ることができないものも多くあります。原産ではない植物でも育まれるのは、カディスがほかの都市に比べ例外的に穏やかな気候だからこそ。

樹木には一つひとつに説明が付いているので、植物に詳しくなくても楽しみながらゆっくり散策することができます。注目したいのはカナリア諸島から持ち込まれた、竜の血液からできたという伝説が残るリュウケツジュ。公園の100周年記念に植樹されたもので、カディスを象徴する木ともなっています。公園を訪れたら、ぜひ自分の目で見て力強さを感じてみるのをおすすめします。

広場で遊ぶ子供たち

園内は多くのベンチがあり、子供たちが走り回れる広場や遊具のあるスペースも。街歩きに疲れたら、ひと休みしながら植物鑑賞を楽しんでもよいでしょう。

ヘノベス公園(ParqueGenoves)

住所
Avda.DoctorGómezUlla,s/n
電話番号
956-241-001
営業時間
8:00-日没まで(夏季は8:00–22:30)
URL
https://turismo.cadiz.es/es/rutas-y-visitas-en-cadiz

まとめ

ヤシの木が立ち並ぶ路地

港湾都市ならではの陽気さと、落ち着いた雰囲気を併せもつカディス。アンダルシア州のほかの都市と比べるとまだあまりその魅力は知られていませんが、歴史ある街並み、美しい自然、新鮮な魚介類、荘厳な建築物など、語りきれない魅力が詰まった街です。セビージャやマラガなど、ほかの主要都市からのアクセスもよいため、アンダルシア州への旅行の際には、ぜひカディスに訪れて現地の雰囲気を体感してみてください。

取材協力・監修

協力:現代ギター社編集部

『現代ギター』2023年3月号

『現代ギター』3月号の特集では、カディスをはじめ、アンダルシア州が誇るフラメンコやスパニッシュギターについて詳しく紹介しています。ぜひ、合わせてご覧ください!

現代ギター社オンラインショップ(現代ギター2023年3月号)

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