スペイン・アンダルシアで本場のフラメンコを楽しもう。事前に知りたい歴史や鑑賞マナー、おすすめのライブハウス
2023.2.24
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「食を知れば、その国のことがわかる」とよく言われます。スペイン料理といえば日本人にもなじみがありますが、本場の食文化はなかなか知る機会が少ないもの。今回は、スペイン料理の特色や食習慣をおさらいしつつ、はしご酒「タペオ」の文化を体感できるスポットや、スペインワイン・シェリー酒について学べる酒蔵を紹介します。
目次
スペイン料理は、イベリア半島の山の幸、地中海の海の幸を生かした料理として広く知られています。オリーブオイルや塩、ニンニクをベースに食材のうま味を引き出す料理が多く、アヒージョやパエリャ(パエリア)、トルティージャなどは日本でもよく知られる料理です。
スペイン料理とひと口にいっても、地方によって気候や風土が異なるため、内陸部では肉や豆を生かした料理、地中海や北部沿岸部では魚介料理など、バラエティに富んだ料理に出合えます。アンダルシア州では特に魚介や揚げ物が有名で、多くの店で趣向を凝らした料理を堪能することができます。
スペインの飲食店といえば、バーカウンターのある飲食店バル(bar)が有名です。お酒を飲むだけでなく、カフェや食堂、人々の社交場とさまざまな役割を持っているので、旅行中にバルへ訪れる機会も多いと思います。バル以外にも、レストランにはいくつか種類がありますので利用シーンに合わせて使い分けましょう。
また、確認しておきたいのは食事時間や食事回数などの食習慣。日本とはやや異なるので、事前におさらいしておきましょう。
・朝食(7:00~10:30)
カフェやバルは、出勤前に軽い朝食を取る地元民が多く、だいたい 7:00-8:00頃から開店します。定番のメニューはクロワッサンやトースト、ボカディージョ(スペイン風サンドイッチ)、チュロス。飲み物はコーヒー、オレンジジュース、ホットチョコレートなど。
スペインを訪れたら一度は食べておきたいのがチュロス。だいたいのカフェやバルで1日を通して提供しているため、地元の人々は朝食や昼・夕食前のおやつとして食べます。そのままかじってもよいですが、ホットチョコレートに浸して食べるのがスペイン流。
・軽食(10:30~13:00)
朝食後、11:00頃に食べるおやつを「コミダ・デ・メディア・マニャーナ」、昼食に近ければ「アペリティボ」といいます。
スペインでは昼食が遅めなので、小腹を満たすために軽食を取る人が多いです。タパスがよく食べられることから、タパスの時間と呼ばれることも。日本では昼食の時間にあたりますが、せっかくなので旅行中はこの食習慣に合わせて軽食を楽しみたいところ。
基本的に、どのバルでも数種類のタパスやボカディージョが用意されています。
定番ではありませんが、いち押しなのはレッドバターパン(Molletes con manteca colorá)。牛や豚肉のパテと脂、またはベーコンオイルで作られたレッドバターを平たいパンに塗ったもので、スペインの家庭では週末に食べられるちょっと特別なメニューです。どの店にも置いてあるわけではないので、見つけたら注文してみるのをおすすめします。
・昼食(13:00~16:00)
昼食は1日の中で最も大事な食事。14:00頃から、平日で1時間程度、週末であれば2~3時間かけて食事とその時間を家族や友人たちと語らいながら楽しみます。店にもよりますが、前菜、メイン、デザートを頼むのが一般的。
・夕食(16:00~24:00)
16:00~18:00頃になると、カフェでゆっくりしたり軽食を取ったりします。18:00頃になると「メリエンダ」とよばれるおやつ時間になり、店先でホットチョコレートとチュロスを食べる人をよく見かけます。
20:00以降になると、仕事終わりの人々でバルが埋まり始めます。夕食は軽めに済ませる文化なので、タパスやプレート料理をつまんで軽い夕食とする人が多いです。
週末になると、何軒かのバルを渡り歩いてはしご酒をする人々で街がにぎわいます。このはしご酒は「タペオ」とよばれる習慣。家族や友人とバルに集まり、おしゃべりを楽しみながら地元のワインや食前酒のシェリー酒を片手に郷土料理を楽しみます。
また、サッカーの試合がある日はいたるところでテレビ観戦をする人々でいっぱいに。サッカー観戦が好きであれば、地元の人たちに交じってみるのもおすすめです。
食事時間や回数など日本とは食文化が異なりますが、おやつの時間を楽しんだり、バルではしご酒をしたりすると、きっとスペインならではの空気に触れられるはず。
それでは、アンダルシア州の食を楽しめる市場と、はしご酒におすすめのエリアを紹介します。
アタラサナス中央市場は、マラガ空港から車で約10分、マラガ-マリア・サンブラーノ駅から徒歩約15分の場所にあるマラガ市民の台所です。
ナスル王朝風建築が特徴のこの建物は、14世紀から19世紀までに倉庫、武器庫、軍の病院、兵舎として使用されてきた歴史があります。2008年から2010年にかけて改築されたため、市場内は美しく清潔。特に入口側の壁にあるステンドグラスは必見です。
市場にはたくさんの店舗が並び、肉、魚、野菜、果物など新鮮な食材がところ狭しと売られています。
バルも何店かあり、タパスをつまみながらワインやビールと一緒に食べ歩きをすることも可能です。ほかにも生ハムやチーズ、食材を串に刺して盛り付けたピンチョス、アンダルシア州名物シーフードのフリットなど、選びきれないほどたくさんの惣菜が売られています。朝食・昼食用に、気になるものを購入してホテルに持ち帰ってもよさそうです。
アンダルシア州を旅行するならはしご酒(タペオ)を楽しみたいところ。バルは各街に必ずといっていいほどありますので、街歩きをしながら行ってみたいバルをピックアップしておくとよいでしょう。今回はセビージャ(セビーリャ)、サンタ・クルス街のバルと、タペオの雰囲気を紹介します。
1軒目は、サンタ・クルス街中心部からほど近い「カサ・ロマン」。イスラム風の王宮「アルカサル」にも近く、観光のあとに寄るのにぴったり。
だいたいのバルでは店内・屋外どちらにも席がありますが、天気がよければ屋外席でタペオを楽しむのもおすすめ。道行く人々の会話や、まわりのバルの活況がよい雰囲気を演出してくれます。
どんぐりを食べて育った黒豚から作られる、最高級品のハモン・イベリコ・ベジョータも取り扱っており、スペイン産ビールやワインとのマリアージュを楽しめます。
「ラ・ゴレータ」は、故フラメンコ歌手のペペ・ペレヒル氏の家族が運営するバル。店内に座席は無く立ち飲み形式ですが、多くの地元民がこのバルのタパスとビール、シェリー酒を楽しみにやって来ます。週末の夜ともなれば、店内は満員電車のように人でいっぱいになります。
また、このバルではセビージャ名物のオレンジワインが飲めることで有名。口に入れてみると、オレンジの風味と熟成されたコクを感じます。ついジュース感覚でたくさん飲んでしまいそうになりますが、通常のワインと同じくらいのアルコール度数があるので飲みすぎには要注意。ハモン・セラーノと合わせると、塩気とオレンジワインの甘味が絶妙にマッチします。どのバルにもあるわけではないため、メニューにあればぜひ注文したい1杯です。
ヒラルダの塔から徒歩約1分の場所にある「セルベセリア・ヒラルダ」は、12世紀に作られたハマム(アラブ式大浴場)を活用したバルです。丸い天井や天窓、絵画はほぼ当時の状態で残っており、歴史的価値の高い遺跡でもあります。このようなユニークな空間で食事を楽しめるのはセビージャでもここだけ。
地元民だけでなく観光客にも人気で、店内はタペオを楽しむ人や写真を撮る人で混みあっています。メニューも豊富で、豚頬肉や牛テールなどの食材を使ったセビージャ伝統のタパスを堪能することができます。スペイン各地で生産されたワインやビールも取り揃えているので、食べたいメニューを選んだら店員におすすめを聞いてもよさそうです。
サンタ・クルス街周辺にはいくつかアイスクリーム屋がありますが、多くが深夜まで営業しています。タペオを楽しんだあと、食後のデザートや酔い覚ましにアイスクリームを買ってホテルに戻るのもおすすめです。
種類も多く、クレマカタラーナ(カスタードを使った焼き菓子)味やナティージャス(カスティーリャ地方のカスタードクリーム)味など、スペインらしいアイスも取り揃えています。
サンタ・クルス街はアメリカのテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の舞台となったエリアでもあり、夜景に映えるアルカサルやヒラルダの塔、石畳の小径など、どこを切り取っても絵になる美しさ。街を練り歩くだけでも随所でスペインらしさを感じられます。