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香港のホテル事情は群雄割拠。世界の名だたるホテルブランドが次から次へと上陸する一方、そこで競争に敗れたホテルは即座にクローズに追いやられる厳しい世界。我々旅行者もそこは眼識をもって「当たり」ホテルを引き当てたいところ。今回紹介するケリーホテル香港は2017年開業とまだ新しく、お値打ち感もあるおすすめホテル! なんと言っても香港では珍しい「リゾート気分」を存分に味わえるのが魅力です。
4年ぶりの香港旅。久々なのでアップデートも兼ね、どこに泊まろうかホテル予約サイトで調べに調べまくりまくった今回。おそらく50軒以上は比較したと思います(笑)。そんな中、最終的に泊まることにしたのは、九龍半島の尖沙咀(Tsim Sha Tsui)のやや東、紅磡(Hung Hom)にある「ケリーホテル香港」。こちらが期待以上の満足度だったのでぜひシェアしたいと思います。
ケリーホテルという名前は日本人にはあまり馴染みがありませんが、実は「シャングリラ・ホテルズ&リゾーツ」のラグジュアリーブランドです。上海、北京に続き、世界で3番目となるケリーホテルが香港にオープンしたのは2017年のこと。ただ、ここ数年はコロナ禍とその直前にも民主化デモがあった影響でしばらく日本人渡航者は少なく、ケリーホテル香港はまだまだ知られていない穴場ホテルと言っていいかと思います。
デザインを手掛けたのは、ホテル好きであれば知らない人はいない著名デザイナーのアンドレ・フー。香港島にある「ジ・アッパーハウス」、バンコクの「ウォルドーフ・アストリア・バンコク」、シンガポールの「アンダーズ」、また京都の「HOTEL THE MITSUI KYOTO」など、世界の名だたるホテルを担当してきた彼のデザインは、モダンで洗練されていながら、しっかりとそれぞれのブランドコンセプトに寄り添っているのが特徴です。
ケリーホテルのテーマは、すばり「アーバンリゾート」。香港でもインフィニティエッジのプールやデイベッドが並ぶデッキテラスなど、いたるところでリゾートを感じられるようデザインされています。香港のホテルステイといえば夜景は綺麗だけど、どこか無機質な都会の中に閉じ込められたような、冷たい印象がありました。ただ、こちらのケリーホテルの滞在は水辺を存分に感じられるせいか、どこか南の島にいるようなリラックス気分を味わえるのが魅力です。
香港は亜熱帯性気候に属し沖縄よりも暑いので、特に5〜10月頃に滞在する場合、プールがあるのも大きなメリット。わざわざ尖沙咀プロムナードまで出かけなくても、このハーバービューをホテルから、しかもプールに入りながら堪能できるというのは大きな魅力です。
客室も全546室のうち、実に6割以上がビクトリア・ハーバービュー。標準となるデラックスルームのカテゴリーは42㎡以上、その上のプレミアルームだとさらに広く52㎡以上。香港の平均的サイズを大きく超えだいぶ広々した造りになっていて、荷物が多かったり子連れ旅だったりしても十分なゆとりを感じることができます。バスルームもシャワーブースとバスタブがちゃんと分かれており、これは香港では珍しいので思わずおお〜と驚いてしまいました。
お部屋が広い分、繁華街や地下鉄駅からは少し離れた位置にあり、上記のエリアと比較すると紅磡が利便性に劣るのは事実です。ただ、九龍駅からケリーホテル香港まではシャトルバスも運行していますし、ホテルから最寄りの駅や繁華街まで出かけるときも、タクシー移動を前提に計画すればそのデメリットは解消します。実際、香港のタクシーは安いので、抑えた宿泊費の差額で十分カバーできる範囲でした。午前中はタクシー待機列が混むことがあるので、その際はタクシー配車アプリを事前にダウンロードしておくとよいでしょう。
ちなみに紅磡は日本人の駐在員が多く暮らすエリアで、ホテルから歩いて4-5分のところにスーパーマーケットのAeon、そして多くの日本食レストランがあり、日本人にとって安心できるエリアだと思います。ただ、詳しくは次の項目で紹介しますが、ケリーホテル香港の中にも魅力的なレストランがたくさん揃っているので、そこまで出かける機会も実はあまりありませんでした。
さらにケリーホテル香港に泊まってよかった点として、ホテル内にレストランの選択肢が豊富にあったことが挙げられます。家族連れにおすすめなのはホテル3階に位置するビュッフェスタイルダイニング「Big Bay Café」。焼売や小籠包、包子、餃子といった点心料理から麺類、粥など香港でのグルメを楽しみにしている方が大満足のラインナップで、さらに肉グリル、パスタ、カレー、そしてサラダバー、チーズバー、デザートバーも充実。ディナー(月〜木曜708香港ドル、金土曜・祝日808香港ドル)だけでなく、多少品数は変わりますが平日ランチ(418香港ドル)、週末ブランチ(598香港ドル)、朝食(348香港ドル)も営業しているオールデイダイニングなので使い勝手も抜群です。
さらにホテルの7階にはコンテンポラリー広東料理の「紅糖」、そこに連結するラウンジ&バー「RED SUGAR」があり、屋外テラスからはクラフトビールやワイン、オリジナルカクテルを飲みながらビクトリアハーバーの夜景が楽しめます。RED SUGARでは平日の16〜19時がハッピーアワーに設定されているのでこの時間から飲み始めるのもお得。また金土曜の20:30以降はDJによるライブパフォーマンスも入り、おしゃれな香港の方たちもビジターで着飾って遊びに来るそうです。
さらにグルメフードコート「ドックヤード」が1階ロビーと直結しており、うどんやラーメン、牛丼などの日本食、インディアンカレー、タイ料理などのアジアンフードを中心に、ハンバーガーやパスタ、ステーキなどもお手頃価格で注文可能。円安とインフレのこのご時世、妥協はしたくないけれどメリハリをつけた食事をしたい方に大変心強い存在。日本食が恋しい時に駆け込んだり、子どもが小さいうちはテイクアウトして部屋で食べたりと、役立つシーンも色々です。
以上、まだまだ穴場のケリーホテル香港ですが、実際に泊まってみてその魅力を挙げたらキリがないほど。とても満足度の高いホテルだったので、ぜひ香港での宿泊先探しの際には参考にしてみてください!
Text and Photo by Keiichi Izawa
※本記事は初回入稿2023年6月21日のものです。