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海外旅行に行きたいシニア層にとって、遠いヨーロッパは時差も大きく、特にスイスのような自然に触れる旅先だと体力に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、スイスは交通網がよく整っており、絶景展望台へもロープウェーなどで楽にアクセスできるなど、旅がしやすいエリアなのです。70代でも無理なく旅ができるスイスの旅行事情をご案内します。
スイスは旅のストレスが少ない国です。日本人旅行者にとって安心なことに、スイスでは鉄道を中心とした公共交通機関を使って、国の隅々まで行くことが可能です。しかもスイストラベルパスを使えば主要路線は切符をいちいち購入することなく、乗り放題の旅を楽しむことができます。また運行時間も正確で、山間を走るバスですら鉄道同様の正確さで運行しています。日本同様時刻表で計画を練っても、プランどおりの旅ができる国です。
交通機関は3000mを超える展望台にすら通っています。スイスで最も高い展望台はツェルマットから上るマッターホルン・グレッシャー・パラダイスの3883mですが、最新型のロープウェイが導入されており、足元が透けて見える特別なゴンドラも用意されています。外に出なければ、サンダル履きでも山頂からの風景を楽しむことができるのがスイスです。
よく整った交通機関に、眺めのいい展望台。さらには景勝ルートを走る数々のパノラマ列車があるので、ハイキングしなくても絶景を堪能することができます。登山鉄道やロープウェイに乗れば、次々と絶景が目の前を通り過ぎていき、気に入ったポイントがあればそこで途中下車してハイキングすることも簡単です。スイスでは、絶景は秘境に分け入り求めるものではなく、乗り物に乗っていればやってくるほどあちこちで出合うことができます。
乗り心地のいい景勝ルートを走る列車で移動することをまず考えましょう。次は眺めのいい宿を取ること。いくら体調管理していても時差の大きいヨーロッパに行けばどこかで疲れが来てしまいます。そんなとき、眺めのいい宿に滞在していれば、自室で絶景を楽しむことができますので、外出できなかったとしても残念な思いをせずに済みます。
富士山に登ったことがあれば、2500mを越えたあたりから呼吸が苦しくなり、気持ちも悪くなる高山病の症状を経験している方がいるかもしれません。スイスでは3000mを超える展望台に登山鉄道やロープウェイで簡単に上れてしまいますので、展望台で時間を過ごしていると高山病の症状が出てくる可能性があります。
高山病は血中の酸素濃度が低下することで発症します。展望台に上ってすぐはまだ酸素濃度が高いので、少し息苦しい程度で行動できますが、滞在時間が長くなると酸素濃度はぐんと低下しますので、急激に症状が現れます。対応はシンプルです。気持ちが悪いと感じたらすぐに下りましょう。帰りの電車やロープウェイでは気持ち悪さが残りますが、下界に下りればあっという間に症状が和らぎます。
では、少しでも長く滞在したい場合はどうすればいいのでしょうか。当日できる対策としては、展望台についたら、運動量を減らす(=酸素使用量を減らす)ように行動しましょう。時々深呼吸してゆっくり歩き、極力エレベーターで移動します。食事時にはアルコール摂取も控えましょう。40代の方でも3000mを超える展望台でお酒を飲んだらふらふらになってしまう可能性があります。
ある程度準備することができるなら、3000m級の展望台を訪れる前に、山岳リゾートエリアに滞在し、2000m程度の標高でのハイキングを体験しておきましょう。個人差がありますが、少し空気の薄い場所に滞在することで、体は標高の高い場所での生活に適応します。体を慣らしておけば、3000mを超える展望台でも以前よりは楽に行動できるようになることが期待できます。
シニア旅で最も大事なことは、無理なスケジュールで行動しないこと。現地6泊程度なら、なんとかがんばりがきくかもしれませんが、帰国してからへとへとになってしまいますし、現地で交通機関の大きな遅延に遭遇した場合、予定日に帰国できない危険性もあります。
1カ所で3泊すれば旅はぐんと楽になります。天気が悪ければ丸1日を休息日や洗濯の日に使っても、まだもう1日の余裕があります。荷造りや荷ほどきも体力と知力を消耗する作業です。旅の期間を意識的に長くしたり、同じ都市に連泊することで体と心に余裕を作り、旅を楽しむためのパワーを保ち続けてください。
A18 地球の歩き方 スイス 2024~2025
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2023/06/29発売アルプスを望む湖畔の町からまぶしく輝く山々のふところへ。谷を抜け、峠を越えて、ハイジの世界を探しに行こう。
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