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オーストラリア大陸の南に浮かぶタスマニア。
島全体の約36%が国立公園や州保護林、自然保護地域などで、そのうち4つの国立公園
が世界自然遺産「タスマニア原生地域」に登録されているほど、豊かな森を抱えている。
そして、こうした深い森の中に、できるだけ多くの人に自然の豊かさを味わってもらえる
ようにと、さまざまなウオーキングトラックが整備されているのも大きな特徴だ。
タスマニアへ出かけ、森に分け入る。
濃密な空気と静寂が支配するその世界で、地球の豊かさ、自然の尊さを実感してみたい。
オーストラリア本土と同様、タスマニア島もまた、ゴンドワナ大陸の分離によってできた島で、分離後、ほかの大陸と一緒になることはなく、特異な自然が残る場所として知られている。
その自然は大きく3 つのタイプに分けられる。まずゴンドワナ大陸の植物相の遺産として知られる木生シダ(マンファーン)やナンキョクブナのマートルビーチ、固有針葉樹のキングビリーパインやセロリトップパイン、さらに多様なコケ類が茂る冷温帯雨林、次に冷温帯雨林より雨は少ないが湿度の高い場所に育つユーカリ林(なかにはユーカリ属で最も高木となるマウンテンアッシュも含まれる)、最後にタンニンを多く含んだボタングラスや草原地帯だ。
おもしろいのは、これら3タイプの自然は異なった地域に存在するのではなく、隣り合ったり、とき
に混在したりしているのだ。タスマニアを代表する植物のひとつパンダニ(世界で最も背の高いヒース科の植物)も、本来冷温帯雨林に生えるのだが、草原地帯などでも普通に見かけるほどだ。
タスマニア随一の人気を誇る国立公園がクレイドル山/セントクレア湖国立公園。1億6500万年ほど前に形成された粗粒玄武岩の台地が氷河によって削られてできた山岳地帯。標高1300mを超える山々、数多くの湖から成り立つ16万ha もの面積をもつ広大な国立公園だ。その北部、クレイドル山地域は、雄大な景観、見事な原生林を満喫でき、さらに数多くの動物たちに出合える場所として知られている。もちろんウォーキングトレイルも数多く、滞在日数に合わせていろいろなコース選びができるのもうれしい。
クレイドル山/セントクレア湖国立公園
詳細をみるホバートから日帰り可能な国立公園で、標高の低い場所にあるユーカリ林、冷温帯雨林から標高1000m を超える場所の高山植物地帯まで、多様な植生が見られることで知られている。朝夕はハリモグラやワラビーなどさまざまな動物にも出合える。
マウントフィールド国立公園
詳細をみるタスマニア東海岸を代表する国立公園がフレシネ国立公園。タスマン海に突き出した火山岩でできた半島で、美しい白砂のビーチ、ユーカリ林を中心とする森、そしてドラマチックな景観が楽しめる場所として、オーストラリア人にとても人気が高い。
フレシネ国立公園
詳細をみるタスマニア州の国立公園を楽しむためには、入園パスを手に入れなくてはならない。入園パスは有料で、その料金は国立公園の保護や維持活動に役立てられている。ウォーキングトレイルの入口となる駐車場でレインジャーによるチェックが行われることもあるので、必ず購入しておこう。
パスは各国立公園のビジターセンターで購入可能だ。
●タスマニア国立公園の詳細
パークス&ワイルドライフサービス・タスマニア Parks & Wildlife Service Tasmania
URL:www.parks.tas.gov.au
また、料金は以下の通り。
1日パス(クレイドル山を除く):1人$20.60、車1台(8人まで)$41.20 /クレイドル山限定1日パス(シャトルバス込み):大人$25.75 子供$10.30 家族$61.80/ホリデーパス(8週間有効):1人$41.20、車1台(8人まで)$82.40 /年間パス:車1台(8人まで)$91.35
主要国立公園のビジターセンターに必ず置いてあるのが『Discover Tasmania 60 Great Short Walks』という小冊子。数多くあるウオーキングトレイルのなかから、1 時間~半日程度で歩け、かつタスマニアらしさを実感できるルートを60ヵ所厳選し紹介してある。
ほとんどのウォーキングトレイル入口には、チェックポストがある。来園者はチェックポストに置い
てあるノートに、ウォーキング開始時間、目的地を記入し、さらにウォーキング終了時には終了時間とサインをすること。基本的に、よほどのロングトレイルを歩かないかぎり、それほど迷うようなルートはない。しかし万一、行方不明者が出た場合、チェックポストのノートは捜索の手がかりになるので、忘れずに記入すること。