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ラグビーW杯2023を現地で応援するサポーターも、いつか開催地に行ってみたいと思った方も、せっかくフランスを訪れるなら、開催都市のみの観光で終わらせるのはもったいない! フランス南西部のオクシタニー地方は、スペイン国境にまたがるピレネー山脈の大自然絶景が楽しめるエリア。日本代表の初戦(対チリ9/10)とサモア戦(9/28)が行われるトゥールーズから足を延ばして、ピレネーの景勝地と奇跡の聖地ルルドをご案内します。
ピレネー山脈の名峰のひとつが標高2877mの「ピック・デュ・ミディ」。2018年に山頂にお目見えしたのが「Ponton dans le Ciel(空に架かる浮橋)」。その名のとおり、空中に向かって突き出た橋で、先端に立てば見渡すかぎりの絶景をひとり占めできちゃいます。
山頂までは麓の村ラ・モンジーLa Mongieからロープウェイを2回乗り継いで到着。山登りの実感はゼロですが、ラクラク登頂できるのは魅力的。
山頂には展望台はもちろん天文台や体験型の資料館もあって充実しています。ただし風が強いと展望台に出られない場合もあるので、現地係員の指示に従いましょう。
ハイキング派には、ピレネー山脈を代表する景勝地「ガヴァルニー圏谷」がおすすめ。「圏谷」とは氷河と流氷の浸食よってできた半円形の谷のことで、山好きの方には「カール」という呼び名でおなじみかもしれません。ピレネー山脈の中心にそびえるペルデュ山の一部を構成するガヴァルニー圏谷。カールを囲むように連なる山々の合間には流れ落ちる滝を見ることができます。1997年、ガヴァルニー圏谷を含む3万ヘクタールの広大なエリアは世界遺産に登録されました。
標高約2000mに位置する「ネオヴィエーユ自然保護区」は、ピレネーのなかでも1930年代にフランスで初めて自然保護区として認められた地域。約350種の植物と野生の牛や羊が生息し、ピレネーの山々を背景に美しい湖が広がる風景はまるで絵本の世界のよう。絶景続きの「湖巡りルートLa route en lacs」では、キャップ・ド・ロン湖(2161m)、オレドン湖(1849m)、オマール湖(2198m)、オベール湖(2150m)をまわることができます。
6月1日~9月30日までは環境保護のため、9:30~18:30までオマール湖、オベール湖周辺の一般車の乗入れが禁止されます。車はオレドン湖に駐車し、オマール湖とオベール湖へは徒歩(約40分)または30分ごとに出るシャトルバス(約15分、片道€4)で訪れてください。
ルドンヴィエーユLoudenvielleの町で訪れた「バー・シェ・ロジェ」は、親子4世代にわたって営業するこの町最古の居酒屋。メニューらしきものはなく、地元食材を使ったおつまみとお酒が楽しめるアットホームなお店です。
ビゴール種Bigorreというこの地方の黒豚の生ハムは、スペインのイベリコ・ベジョータとも並び称される世界的にも希少なもの。ほかにも豚の血を固めたソーセージ「ブダンBoudin」や肉々しいパテなど、シャルキュトリーを中心に地元特産グルメが味わえます。
種類豊富なハムの間に置かれた箸休めのピクルスがまたやみつきになるおいしさ! 聞けばこの店のマダムのお母さんが数日かけた手作りなのだとか。ほのかなカレー風味が食欲を増進させるのか、生ハム→ピクルス→チーズ→ピクルス→生ハム→ピクルス……と美食の無限ループを生み出します。
日が暮れてくるとギターの音色にあわせて合唱が始まります。お店のスタッフとお客さんが一緒に歌うのは、昔から地元で歌われている曲。初めて聴くのにどこか懐かしい童謡のような調べで、ピレネーの旅をさらに思い出深いものにしてくれました。
裏手に温泉施設や運動場のある「メルキュール・ペラグード・ルドンヴィエーユ」は、ラグビー選手をはじめフランス国内のスポーツチームも滞在するウェルネスなホテル。館内には「スタッド・トゥールーザン」の選手のサインが入ったラグビーボールも飾られていました。緑がまぶしい中庭でBBQランチを楽しんだり、ロッジ風なロビースペースでティータイムを過ごしたり、ピレネーの大自然と一体になったようなゆったりとした時間を過ごせます。
ホテルといえば朝食ビュッフェも楽しみのひとつですが、こちらのホテルでは目玉焼きを小さなフライパンで自分好みの固さに焼くことができたり、生絞りのオレンジジュースが楽しめたりと細やかな趣向が凝らされていて、朝からテンションが上がります。
ホテル内はプールやNUXEのスパも完備。取材で移動の多いスケジュールだったため今回は1泊しかできませんでしたが、またいつかゆっくり滞在したい魅力満点のホテルでした。
ピレネーの絶景スポットへはトゥールーズから鉄道で約2時間のルルドを起点にするのがおすすめです。1858年、14歳の少女ベルナデット・スビルーの前に現れた聖母マリアのお告げに従い、洞窟近くの地面を掘ると泉が湧き出し、その水によって病気が治癒する奇跡が何度も起きたことから、ルルドはカトリックの聖地になりました。奇跡を求めて今も世界中から年間600万人が訪れます。
聖域内には泉の水を引いた蛇口が並んでいて、聖なる水をいただいて帰ることができます。周辺のみやげ物屋で空のボトルや小瓶がたくさん売られているので、事前に入手しておきましょう。
4~10月は毎晩21:00から「ろうそく行列」が行われます(11~3月は金・土・日の20:30~)。みやげ物屋で買ったボンボリに灯りをともし、集まった人々は祈りを捧げながら聖堂前の広場をゆっくりと歩きます。
ルルドでの夕食は、地元っ子やスポーツファンが集まるレストラン「レ・サン・キュロット」へ。2階建てでグループでも少人数でもワイワイ楽しめるカジュアルな雰囲気です。店内でお会いしたジャン=ピエール・ガリュエ氏Jean-Pierre Garuetはルルドの元副市長(1989~2014年)ですが、かつてFCルルドやフランス代表でも活躍し、記念すべき第1回のラグビーワールドカップにも出場した経歴の持ち主。隣のルイ・アルマリ氏Louis Armaryも、ガリュエ氏とともにフランス代表で活躍し、現在はオット・ピレネー県議会議員を務めています。
ガリュエ氏はラグビー日本代表の進化する強さに注目していると語り、日本のラグビーファンや旅行者にもぜひルルドを訪れてほしいと強調。カトリックの聖地としてのイメージが強いルルドでしたが、ラグビー熱の高さはここでも伺えました。
ラグビーW杯開催都市のトゥールーズはもちろん、絶景から聖地までパワーチャージスポットが満載のオクシタニー地方。各地へ足を延ばして、個性豊かなフランスの魅力を体感しましょう!
TEXT & PHOTO:地球の歩き方 由良暁世 Akiyo Yura
取材協力
フランス観光開発機構 Atout France www.france.fr/ja
オット・ピレネー観光局 Destination Hautes-Pyrénées www.tourisme-hautes-pyrenees.com
オクシタニー地方観光局 Occitanie Tourisme www.tourisme-occitanie.com
東芝ブレイブルーパス東京 Toshiba Brave Lupus Tokoyo www.bravelupus.com
A06 地球の歩き方 フランス 2025~2026
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2025/02/21発売パリを満喫したら、“その先のフランス”も旅してみたい。パリとフランスの各地方を旅するための詳細マップと徹底ガイド。
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