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スイスには4つの国語があり、異なる文化が混在しています。国の面積は九州程度とコンパクトですが、言語圏によって食事も異なるため、ひとつの国に滞在しながら多様な食文化を楽しむことが可能です。スイスで味わいたい料理をご紹介します。
目次
スイスは酪農が盛んでチーズ生産でも有名な国です。スイスのチーズ料理といえば、溶かしたチーズにパンをからめて食べるチーズフォンデュを思い浮かべる方も多いでしょう。チーズ料理の種類も豊富ですが、あえて一番におすすめしたいスイスのチーズを挙げるならラクレットを候補にします。
ラクレットはチーズの表面を熱で溶かし、焦げの混じった断面をこそぎ落として食べる料理です。付け合わせは茹でたジャガイモとピクルスです。チーズフォンデュとは異なり、食感と味わいに違いが生じ、チーズの風味を存分に楽しむことができます。
名物料理ですので、スイス各地で食べることができますが、半円形のチーズを溶かして供してくれるお店で食べることをおすすめします。有名観光地ならマッターホルンの里、ツェルマットのお店はいかがでしょうか。マッターホルンの写真撮影スポットとして人気の「日本人橋」すぐ近くのホテルの地下1階に入る「レストラン・シェイファーステューベ(Schäferstube)」がおすすめです。高品質の羊料理を提供する店としても知られ、ラクレットは1皿から注文することができます。人気店ですので必ず予約を入れてから訪れましょう。
レシュティはスイス風ハッシュドポテトと言われ、メイン料理としても付け合わせとしても食べられています。単純なレシピですが、意外と味の違いが大きく、しつこく感じられるお店もあれば、あっというまに完食できるお店もあります。
最近の記憶ではスイス編改訂版の取材時に訪れたチューリヒのレストランで食べたレシュティが出色のできでした。表面がからっと香りのいい油で揚がっていて、食感も楽しむことができました。
おすすめはチューリヒの中央駅から近く、値段もリーズナブルなレストラン「ヨハニター」。
肉を詰めた大きなソーセージ、ブラートヴルストもスイス国内でポピュラーな料理です。山の上のセルフサービスのレストランでも必ず目にすることができるほどで、町によっては屋台で食べ歩き可能な状態で売られています。
仔牛の肉を詰めたブラートヴルストはジューシーでそれほど味も濃くはありません。タマネギソースをかけたり、レシュティを添えたりすることが一般的で、味が極端にぶれることがありませんので、メニュー選びに迷ったときに注文して間違いのない料理です。
もしザンクト・ガレンを訪問していたら、屋台や老舗レストランで注文してみましょう。ファストフードのような単純な料理と思われるかもしれませんが、料理として完成度の高いメニューだと再認識できることでしょう。
ブラートヴルストを食べるならザンクト・ガレンのこのお店で!
海に接していないスイスでは魚介料理は乏しいと思われる方もいるかもしれません。しかしスイスには湖が多く、レマン湖地方やスイス東部のライン川や湖に面した地方では川魚料理が人気です。フランス語ではフィレ・ド・ペルシュと呼ばれる、バターでソテーされた軽い味わいの白身魚を楽しむことができます。
フィレ・ド・ペルシュを食べるなら、レマン湖を見渡す眺望がすばらしい「オーベルジュ・ド・リヴァ」で。
仔牛の薄切り肉とマッシュルームをクリームソースで煮込んだ料理です。チューリヒの郷土料理ですが、スイス各地で食べることができます。付け合わせはレシュティや写真のようなパスタが多いので、このひと皿でも食事が完結します。
正式な名称はツーリッヒャー・ゲシュネッツェルテスZürcher Geschnetzeltesです。チューリヒで食べるなら、チューリヒで最も歴史のあるレストラン、「オッフェルチェマー」を訪れてみてはいかがでしょうか。
ネーミングのインパクトではナンバーワンの料理と言ってもいいでしょう。コレラとは19世紀に流行した病のコレラを指しています。伝染を防ぐために人々は自宅にこもりましたが、その際に自宅にあった食材を使って作られた料理がこのコレラです。
残りもの食材で作られた料理ですが、基本のレシピはジャガイモとチーズ、ベーコン、リンゴなどを使うパイ料理です。ツェルマットのあるヴァレー州の郷土料理で、世界遺産のアレッチ氷河を下流から見ることができるアレッチ地方のレストランなら出合うチャンスも多いでしょう。ツェルマットから登山列車で上る人気の展望台ゴルナーグラートにある「3100クルムホテル・ゴルナーグラート」内のレストラン「ヴィザヴィ(vis-à-vis)」ではメイン料理としていただくことができます。
グラウビュンデン州はスイス第4の国語ロマンシュ語を話す人々が住んでいます。この地方の名物料理がそば粉を使うパスタ料理ピッツォケリです。具材は野菜中心ですが、チーズがかかっているので、しっかりとおなかにたまります。
写真のピッツォケリは、サン・モリッツからクールまたはランドクァルト方面に向かう電車で、約20分のシュピナスSpinas駅前にある宿「ガストハウス・シュピナス」内レストランのメニューです。ベーヴァーまで徒歩1時間ほどの距離ですので、食事とともにハイキングも楽しみましょう。
ルツェルンのボリュームたっぷりの郷土料理です。パイの中にマッシュルームや仔牛肉の煮込みが詰まっていて、シチューを食べているかのようなジューシーさを味わうことができます。
写真はルツェルンの人気レストラン「ラパン(Lapin)」のメニューです。ルツェルンでおすすめしたいレストランとしては、町で最も歴史のある「ブルガーシュテューベ(Burgerstube)」もあります。ホテル・ヴィルデンマン内のレストランで、ホテルも評判の高い宿です。
スイス第一の都市チューリヒには名店が揃っていますが、世界最古のベジタリアン料理レストランとして知られる「ヒルトル(Hiltl)」はチューリヒにお店を構えています。アラカルト料理では、一見ベジタリアン料理には見えない料理を食べることができます。
以前のレポートでも紹介しましたが、ビュッフェも人気で量り売り精算なので、食欲があまりないときに利用するにもいいお店です。昨今のブームを受け、ヒルトルだけでなくほとんどのレストランでベジタリアンまたはヴィーガン向けの料理がメニューに載っています。
サラダなんてわざわざ紹介する必要はないのでは、と思われるかもしれません。しかしスイスのミックスサラダは店によりさまざまな具材を使っており、おいしいお店のミックスサラダはそれだけで料理として楽しめるほどいい仕事が施されています。
お店によってはビュッフェでサラダを提供しているレストランもあります。自分の好みの食材を盛りつけることも、すべての食材を試すこともできます。季節の野菜はお店の人に尋ねてみましょう。不足しがちな野菜を食べるいいチャンスです。
スイスのおすすめ料理はいかがでしたか? 秋はジビエ料理の季節でシカ肉の料理を食べることができるお店が多くなります。チューリヒやジュネーヴ、ベルンなどの都市でもジビエ料理が味わえますので、秋から冬にかけてスイスを訪問していたらメニューに注目しましょう。みなさんがすてきなひと皿と出合うことができることを願っています。
A18 地球の歩き方 スイス 2024~2025
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2023/06/29発売アルプスを望む湖畔の町からまぶしく輝く山々のふところへ。谷を抜け、峠を越えて、ハイジの世界を探しに行こう。
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