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タイ王国の世界遺産 ~バーンチエン遺跡(バン・チアンの古代遺跡)@ウドーンターニー県
2019.2.18
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みなさま、サワディーカー。今回は、タイの遺産を紹介します。Unesco World Heritage Conventionによると、現在、タイの遺産は、7つのユネスコ世界遺産(内文化遺産が4つ、自然遺産が3つ)と4つのユネスコ無形文化遺産*の登録があります。今回はそのうち、ユネスコ世界遺産の文化遺産4つについてご紹介します。
目次
現在タイには、以下の通り7つのユネスコ世界遺産(うち文化遺産が4つ、自然遺産が3つ)と4つのユネスコ無形文化遺産の登録があります。
ユネスコ世界遺産(文化遺産)/登録された年
古都アユタヤ(Historic City of Ayutthaya)/1991年
古代都市スコータイと周辺の古代都市群(Historic Town of Sukhothai and Associated Historic Towns)/1991年
バンチェンの古代遺跡(Ban Chiang Archaeological Site)/1992年
古代都市シーテープと関連するドヴァーラヴァディー遺跡群(The Ancient Town of Si Thep and its Associated Dvaravati Monuments)/2023年
ユネスコ世界遺産(自然遺産)/登録された年
・トゥンヤイ・ファイカケン野生生物保護区群(Thungyai-Huai Kha Khaeng Wildlife Sanctuaries)/1991年
・カオヤイ国立公園、正式名称:ドン・パヤーイェン・カオ・ヤイ森林群(Dong Phayayen-Khao Yai Forest Complex)/2005年
・ケーンクラチャン森林群(Kaeng Krachan Forest Complex)/2021年
ユネスコ無形文化遺産/登録された年
・タイ仮面劇「コーン」 /2018年
・タイ古式マッサージ/2019年
・タイ南部の伝統舞踊「ノーラー舞踊」/2021年
・タイの正月のお祭り「ソンクラーン」/2023年
上記のうち、今回はユネスコ世界遺産の文化遺産の4ヵ所について、その特徴と歴史を紹介していきます。
タイの歴史を感じられるユネスコ世界遺産(文化遺産)は、タイの観光旅行先としておすすめだと感じます。天候により、その風景に多少違いはありますが、異国情緒あふれるその風景にも感動すると思います。
タイの世界遺産「古都アユタヤ」は、首都バンコクから北へ約70km行ったアユタヤ県内にある遺跡群です。タイ・バンコクから約1時間半でアクセスできますので、バンコクから日帰り観光にも適した観光地です。
古都アユタヤは、1350年にウートン王によって建都され、1767年にビルマ(現ミャンマー)の攻撃によって破壊されるまでの417年間アユタヤ王朝の都としてタイの中心だった都市で、その後のバンコク王朝(チャクリー王朝、ラッタナーコーシン王朝、ラタナコーシン王朝等とも呼ばれる)にも受け継がれるものとなり、チャオプラヤー川のほとりに広がる遺跡群は、歴史公園として整備され、1991年にユネスコ世界遺産に登録されました。
2011年のタイ大洪水を経て、現在も残る、東西に並ぶ3基の仏塔(チェディ)が特徴の寺院「ワット・プラシーサンペット」、木の根の間に埋め込まれた仏像の頭や頭部のない仏像、崩れたレンガの壁や礼拝堂の土台が残る寺院「ワット・マハータート」、階段を上るとアユタヤの風景を俯瞰で楽しめる寺院「ワット・プーカオトーン」、横たわる涅槃像が見られる寺院「ワット・ロカヤスタ」などの寺院跡、歴代の国王たちが夏を過ごす別荘(離宮)として利用されたバン・パイン宮殿などから、かつて栄華を極めた古都の壮大さを体感できると思います。
近年、川や遺跡等を見ながら飲食できる雰囲気のよいカフェレストランがたくさんオープンしています。また、象乗り体験のほか、タイ衣装に着替えての写真撮影等もできるようになっています。遺跡の夜のライトアップもきれいでおすすめなので、アユタヤで宿泊するのもよいでしょう。12月には、歴史公園を舞台に、世界遺産に登録されたことを祝う伝統舞踊などのショー、タイの旧正月(ソンクラーン:水かけ祭り)には、タイの伝統的な催しが楽しめます。
「古代都市スコータイと周辺の古代都市群」は、タイの首都バンコクの北西約400kmに位置する遺跡群です。スコータイは、1238年にタイ族による最初の王朝が築かれ、第3代目のラームカムヘーン王の時代に最も発展したといわれています。ラームカムヘーン王を含むスコータイ王朝時代の歴代の王様は仏教の布教に熱心だったので、数多くの寺院や仏像があるといわれています。
1991年、スコータイ王朝時代の歴史を伝える3つの公園、「スコータイ歴史公園(Sukhothai Historical Park、อุทยานประวัติศาสตร์สุโขทัย)」と周辺の古代都市群として「シー・サッチャナーライ歴史公園(Si Satchanalai Historical Park、อุทยานประวัติศาสตร์ศรีสัชนาลัย)」と「カンペーンペット歴史公園(Kamphaeng Phet Historical Park)」がユネスコの世界文化遺産に登録されました。
旧市街エリアにある「スコータイ歴史公園」では、アユタヤにある寺院と同じ名称で、一番の規模を誇る寺院「ワット・マハタート」や、タイ国内最大級の高さ15m、幅幅11.3mの大仏が佇む寺院「ワット・シーチュム」等が見どころとなっています。毎年陰暦12月(新暦10月~11月頃)の満月の夜に開催されるロイクラトン等の特別な日には、「スコータイ歴史公園(Sukhothai Historical Park)」で花火等のショーが見られます。
シーサッチャナーライ市を中心に点在する「シー・サッチャナライ歴史公園」の遺跡には、「ワット・カオ・パノム・プルーン(Wat Kao Panom Pluang)」や「ワット・チャーンローム(Wat Chang Lom)」、「ワット・チェディ・チェットテーオ(Wat Chedi Ched Taew)」、「ワット・ナーンパヤー(Wat Nang Paya)」などがあり、シーサッチャナーライ城壁内に集中しています。城壁外にあるサンカローク焼きの窯跡も見どころのひとつになっています。
カンペーンペットは、ビルマ(現ミャンマー)からの侵入を防ぐため、スコータイ王朝の要塞都市として発展した都市で、当時の城壁を含む一帯が「カンペーンペット歴史公園」として整備されています。
「バンチェン(バーンチエン)の古代遺跡(Ban Chiang Archaeological Site、แหล่งโบราณคดีบ้านเชียง)」は、バンコクから北北東へ約560kmのウドーンターニー県内にあり、推定紀元前5600年頃~1800年頃にさかのぼる先史時代の遺跡で、1992年に世界文化遺産に登録されました。
ウドーンターニー県はタイ東北部に広がるコラート高原の北側に位置し、世界遺産に登録されているバンチェンをはじめ、数多くの遺跡が残るなど、古代からの歴史が刻まれた地で、隣国ラオスへの入口となるノーンカーイ県がすぐ北にあり、近隣諸国や近隣県への観光拠点にもなっています。
1975年に文化遺産を保全する目的で設立されたバンチェン国立博物館(英語表記:Ban Chiang National Museum、タイ語表記:พิพิธภัณฑสถานแห่งชาติบ้านเชียง)において、5600年程前から存在していたと考えられているバーンチエンのコミュニティーで使われていたのではないかとされる古代の道具、家庭用品、工芸品、陶器等を鑑賞することができます。1981年から博物館から1km程離れたポーシーナイ寺院(Wat Pho Si Nai、วัดโพธิ์ศรีใน、読み方:ワット・ポーシーナイ)の境内にあるバンチェン遺跡の発掘跡とともに公開されています。
バンチェン遺跡自体は、遺跡の風景を楽しむという雰囲気の場所ではありませんが、バンチェン遺跡のあるウドーンターニー県内には、毎年寒季(12月~2月頃)に赤い睡蓮の花が見頃を迎える観光地「紅い睡蓮の海(タレー・ブア・デーン)」*があり、早朝ボートに乗船して見られる日の出と美しい睡蓮の風景は、とても幻想的です。バンチェン遺跡に来る際には、時期を合わせて訪問することをおすすめします。
ほかにも、「プー・プラバート史跡公園(Phu Phra Baat Historical Park、อุทยานประวัติศาสตร์ภูพระบาท)」やラオスとの国境にある「タイ・ラオス友情橋(Thai-Laos Friendship Bridge)」の観光スポット、ブンカーン県にある3頭のクジラ岩「プー・シン・ヒン・サーム・ワン(Phu Sing Hin Sam Wan、หินสามวาฬ (ภูสิงห์ บึงกาฬ))」等合わせて観光するツアーもあります。
「シーテープ古代都市とその関連遺跡群」は、2023年9月に文化世界遺産に登録された比較的新しい世界遺産です。タイ北部、中部、東北部の間に位置するペッチャブーン県にあり、近年、タイ国内および周辺諸国から注目を集めています。世界遺産登録を記念して、2023年9月20日から2024年1月14日の期間中、バンコク国立博物館において、シーテープ歴史公園とその世界遺産の意義に関する特別展が開催されました。
ペッチャブーン県は、山や滝、湖、川等、自然が豊かな場所です。「シーテープ歴史公園(Sithep Historical Park、อุทยานประวัติศาสตร์ศรีเทพ)」では栄華を偲ばせる古代建築を見学できるほか、北へ進むと、巨大な5連仏の仏像が見られる寺院「ワット・プラタート・パーソーンケーオ(Wat Pha Sorn Kaew、วัดพระธาตุผาซ่อนแก้ว)」、天候や浸食によって引き起こされた奇岩群が見られる「プーヒンロンクラー国立公園(Phu Hin Rong Kla National Park、อุทยานแห่งชาติภูหินร่องกล้า)」や、寒季に幻想的な雲海が見られる「ナーム・ナーオ国立公園(Nam Nao National Park、อุทยานแห่งชาติน้ำหนาว)」といった観光スポットもあります。
以上、タイの世界遺産の内、ユネスコ世界遺産の文化遺産を4ヵ所紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今回紹介した4ヵ所の文化遺産は、公共交通機関等を駆使してアクセスする方法もありますが、日系ツアーでの取り扱いも増え、比較的アクセスしやすいタイの観光旅行先になってきました。もし、まだ未体験のところで気になるところがありましたら、ぜひ旅の候補地に加えてみてください。それでは、皆様、サワディーカー。
2024年5月時点で、1バーツは約4.29円です。
監修:地球の歩き方