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ネットにつなげられて電源の心配もない、となると現地で使える便利なアプリをあらかじめ用意しておきたくなることでしょう。これには好みが色濃く反映されるので、最少公約数的なところを紹介します。
Google翻訳
金楯を回避している前提ですが、翻訳アプリは数あれど、これがいちばんお手軽です。看板やメニューなどをカメラで写して翻訳することもできます。
新しめのiOSですと、文字の写った写真を長押しするだけでテキストを認識してコピーしてくれるので、それをこのアプリにペーストして翻訳させるという使い方もできます。観光地の入口によくある解説掲示板をとりあえず撮っておいて、移動中のヒマなときに翻訳してみるのも趣深いものです。
辞書
翻訳アプリではピンとこない言葉や、現地で見聞きした言葉を調べたいときには辞書が頼りになります。筆者はオフラインで使える辞書(超級クラウン)とオンラインじゃないと使えない辞書(北辞郎)を入れていますが、結局のところオフラインでも使えるほうが情報量も多く、登板機会が多くなりました。
百度地図
金楯を回避しているならなじみのあるGoogle Mapも使えますが、地元のことはやはり地元のほうが詳しい情報を得られます。直接の影響はあまりないものの「ただいまこの道工事中です」といったお知らせも表示され、現地の今を生々しく感じられるのもいいところです。
Travel List
『地球の歩き方』の「旅の準備と技術」によく載っている持ち物リストをアプリで実現したものです。
旅に持っていく服や日用品や消耗品などなどをマスターリストから拾って持ち物リストを作成します。行き先や目的ごとに作った複数のリストを記憶させておくことができるのも便利です。
荷造りを終えた品にチェックを入れるとリストからどんどん消えていきます(実際に削除してしまうのではなく一時的に見えなくするだけ)ので、リストをきれいに消していけば、効率よく、またうっかり忘れを防ぎながら荷造りを終えることができます。
VPNネコ
なんでネコなのか知りませんが、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を簡単に設定できるツールです。起動後、いちばん上の枠で「どこの国からアクセスしていることにするか」を選びます。「日本」を選んでおけば間違いありません。そしていちばん下の「VPN接続」スイッチをオンにすると、ネコの周囲がくるくる回り出し、首尾よく接続できたら「VPN連結した」とやや乱暴なメッセージが表示されます。ホテルのWi-Fiなどはこれで金楯を回避できる可能性が高まります。
ちなみに、eSIMでつながっている端末とテザリングするときにVPNネコが生きていると、せっかくつながっていたサイトにつながらなくなる現象が起きたりします。そういうときは慌てずにネコ側を切断して様子をみましょう。
世界の霧
完全に著者の趣味ですが、地図全体にうっすらと漂う霧が、通った道だけ晴れていくというアプリです。画像でご覧いただいているのは西安市の地図で、数年前と今回行ったところの霧が晴れている状態です。
前はここまで行って引き返したなぁとか、この道何度も通るんだなとか、ここは通ったことないから先まで行ってみようとか、旅先で歩き回るときのモチベーションに少し影響を与えてくれます。
今回は、空港から市内へ向かう高速道路が事故で通行止めになっていたため、別ルートで市内入りしたのですが、本来ならどこを通りたくて、でも今はどこを通っているというのがひと目で比較できました。
税関アプリあらためVisit Japan Web
税関アプリは役目を終えて使用終了になっていますが、後任をウェブサイトが務めているサービスです。
中国から帰ってきたときの話になりますが、帰国して日本の空港で機内預け荷物を引き取ったあと、黄色い「携帯品・別送品申告書」を提出しなければなりません。これをあらかじめウェブサイトで登録しておくと、税関検査場の電子申告ゲートをするするっと通るだけですんなり出られるといううれしい仕組みです。用紙は帰国便の機内で配ってくれますが、ぐっすり眠っていてもらいそびれることも。いずれにしろ書かねばならない書類ですから、事前に用意しておいて損はありません。ぜひお試しください。
ただし、2024年4月現在で電子申告ゲートの設置されている空港は、新千歳、成田(第1、第2ターミナル)、羽田(第1、第3ターミナル)、中部、関西、福岡、那覇です。順次拡大していくと思われますので、最寄りの空港がまだの方々もお楽しみに。
アプリを用いたキャッシュレス決済が普及した中国では、二次元コード/バーコードを用いるキャッシュレス決済の用意をして臨むのがいちばんおすすめです。
現金はもちろん使えるのですが、旅行者が持ち込みがちな高額紙幣(100元札)は「おつりがない」と言われて受け取ってもらえないリスクがあったり、今さっき中国銀行で両替したばかりのお札であろうとも偽札の疑いを向けられたり(以前から偽札が出回っていたことも現金が敬遠されてキャッシュレスが一気に普及した一因)して、思いのほか使い心地がよくありません。
国際クレジットカードは、外国人の出入りの多いホテルやレストラン、大きな商業施設などではほぼ使えますが、そうでない場所では使えないことのほうが多いのが悩ましいところです。JCBは申し訳ないですがどこでも使えるというわけにはいきません。また、AMEX、VISA、Mastercardも使えないことがままあります。筆者は掲示されているVISAのマークを確かめてからカードを出したにもかかわらず、「中国農業銀行のVISAじゃないとダメ」と断られたことがあります。逆に、何度か通してエラーが出たあとに「あ、これ国際カードか」とつぶやいた店の人がなにやら読み込み方を変えて通ったこともあります。
中国でいちばん普及しているのは「銀聯(ぎんれん)カード」で、三菱UFJや三井住友などが提携している銀聯カードを日本にいても作ることができます。ただしこれも万能とは言えないので、国際クレジットカード複数枚をとっかえひっかえしながら、使えるものを使うという戦術で臨むしかありません。
そんなこんなで、いちばんのおすすめは二次元コード/バーコードのキャッシュレス決済ということになります。PayPayや楽天Payなどのキャッシュレス決済をお使いのみなさま、やることはそれと同じです。ただ、中国のサービスを中国のアプリで利用することになります。中国2大キャッシュレス決済サービスは「WeChat Pay(微信支付)」と「Alipay(支付宝)」で、WeChat PayはSNSのWeChatアプリの機能のひとつ、AlipayはIT大手アリババグループの提供するサービスです。
いずれも、日本にいる間にアプリをインストールし、アカウントを取得して、国際クレジットカードを連携させ、パスポートの顔写真のあるページを読み込ませて本人確認を済ませておきましょう。この手順を細かく説明し始めるとそれぞれにこの記事の今までと同じくらいのボリュームが必要になるので急に端折ってしまってなんだかすみませんが、
【中国 旅行者 Alipay WeChat Pay クレジットカード 登録 連携】
といったキーワードで検索していただいて、できるだけ日付けの新しい記事を参考に設定を試みていただけるようお願いします(というのも、わりとちょくちょく仕様や手順が変わったりするからです)。
無事に設定できましたら、使い方そのものは簡単です。
Alipayは、トップ画面上の「Pay」をタップすれば、二次元コード/バーコードが表示されます。WeChat Payは、立ち上げるとSNSのチャット画面になりますので、右上の「+」をタップして現れるメニューから「マネー」をタップするか、またはチャット画面の左下「自分」から「サービス」をタップすると、画像と同じ画面にたどり着きます。ここで「マネー」をタップすると、二次元コード/バーコードが表示されます。
いずれも、コードの下に出ているのが紐付けされた国際クレジットカードの種類と下4桁で、購入した金額はこのカードから直接落ちる仕組みです。
どちらの決済サービスも、1回の支払いが200元以下であれば手数料はかかりません。額面どおりで請求がきます。200元を超えると、今のところ3%の手数料が加算されます。
ちなみに画像右のWeChat Pay「ウォレット」の下は著者の端末にチャージされている金額です。以前チャージできる機会があったときに入れたのがまだ残っているのですが、今チャージしようとしても外国人の一時的な旅行者にはあれこれ制約があってできません。またいずれチャージできる日が来るかもしれませんが、今現在は残念ながら難しいようです。
ここまでご紹介した準備の参考になる資料が、中国の観光局から提供されています。
ビザ申請手順、現地での通信事情、決済の方法とアプリの設定、さらに公共交通機関を使うときに便利な決済方法に関する情報も掲載されたPDFが手に入りますので、ぜひアクセスして目を通しておきましょう。
D07 地球の歩き方 西安 敦煌 ウルムチ シルクロードと中国西北部 2020~2021
Dシリーズ(アジア) 地球の歩き方 海外
2019/11/13発売葡萄の実るオアシス。ロバの隊商が行き交う砂漠。いにしえの絹の道をバスと列車で回る夢紀行ガイド
葡萄の実るオアシス。ロバの隊商が行き交う砂漠。いにしえの絹の道をバスと列車で回る夢紀行ガイド
まだしばらく改訂版の配本に至りませんが、今なお汎用性の高い準備と技術のあれこれをじっくりチェックするなら書籍を手元に置いて眺めるのがおすすめです。あっては困りますが、パスポートを紛失したときの手続きや必要になる書類などなど、知っていると知らないとでは大きな違いが生じます。パラパラとめくって眺めていれば、思わぬ発見があるかもしれません。
TEXT&PHOTO: 高島正人(ZNCHOR)
〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
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◎外務省海外安全ホームページ