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『世界244の国と地域 改訂版』から厳選した「お国自慢」を紹介!

地球の歩き方ウェブ運営チーム

地球の歩き方ウェブ運営チーム

更新日
2024年8月1日
公開日
2024年8月1日
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今年から来年にかけて、私たちにも親しみが感じられる国際イベントが続きます。パリの歓声と熱狂などは記憶に新しく、多くの人は足が遠のいてしまっている海外がぐっと近づいてきそう。でも世界にはまだまだ知らないことがたくさんあります。『世界244の国と地域 改訂版』を読んで知識を得れば、世界の広さをあらためて実感することができるはず。

オマーンルーツは紀元前!オマーンの世界一高価な香水

©︎iStock 首都マスカットは乾いた岩山の麓に白い家々が立ち並ぶ

アラビア半島の東端に位置する国オマーン。日本での知名度はそれほど高くありませんが、17世紀には遠く東アフリカから中国の南部まで覇権を握る海洋帝国として栄華を極め、その後、19世紀末から1970年までは鎖国政策をとっていたこともあって、古きよきアラビアの面影を残す国といわれています。

この国には「世界一高価」とまことしやかに囁かれる香水があります。それが1983年に国王の命によって創立されたフレグランスブランド「アムアージュ」。金をあしらったボトルなどもあり、見た目にも高級感たっぷりですが、高価になる最大の理由は高級な香料を贅沢に使用して作られるためです。なかでも、オマーンとその周辺にのみ自生する植物の樹液を固めた「乳香」という香料は希少で、オマーンのシンボル的存在です。

©︎iStock 乳香の香りは心を休める効果があるという

乳香の歴史は古く、古代エジプトでは神聖な儀式に使われ、キリスト教ではイエス誕生の際に賢者が贈ったとも伝えられます。また、乳香の交易で栄えたオアシスや港などがオマーン各地に残され、「乳香の土地」として世界遺産に登録されています。

オマーンを訪れると、古いスーク(市場)でも高級ホテルのロビーでも乳香が焚かれ、独特のエキゾチックな香りが漂っています。今もなお乳香はオマーンの誇りであり、香水としても世界中の人々を魅了しているのです。

フランス世界中から観光客を集めるパリが「フランスはパリとパリ以外」といわれる理由

©︎iStock パリのエッフェル塔とセーヌ川の風景は定番

フランスは世界中から最も観光客を集める国のひとつ。国連世界観光機関(UNWTO)による統計では、コロナ禍前の2019年の訪問者は約9000万人と世界一でした。注目の世界イベントが開催される2024年の訪問者数はさらに増えることでしょう。

ところで、「フランスはパリとパリ以外」といわれることはご存じでしょうか。国連が2024年7月11日の「世界人口デー」に発表した世界人口推計によれば、フランスの人口は6654万8530人で、世界23位とかなり上位です。しかし、フランス国内で100万人を超える都市は、実は約214万人が暮らすパリだけ。2位の南仏マルセイユで約79万人、3位のリヨン以下は50万人に届きません。ほとんどが地方の市町村で構成されている国なのです。

©︎iStock フランス人の多くは地方に暮らす。ノルマンディー地方の小さな町ボーモンアンオージュ

多くの国民は田舎暮らしを楽しんでいますが、一方でパリは憧れの地でもあります。パリ生まれの純粋なパリっ子はわずか30%ほどとされ、28%ほどが地方出身者(残りは外国出身者など)。数々の歴史の舞台として名を馳せ、豊かに芸術を育み、世界の人々をひきつけるパリの魅力を最も知るのはフランスの人々にほかならず、最大のお国自慢なのです。

キューバ音楽と葉巻とクラシックカーとキューバの誇りのカクテル「クーバリブレ」

©︎iStock 大きな葉巻をくゆらすキューバの婦人

カリブ海最大の島である本島と、1600余りの島々からなるキューバ。1902年の独立後は多くのアメリカ資本が進出し、この世の楽園とまで呼ばれるほど栄華を極めました。一方でその富は国民まで行き届かず、1959年にカストロやチェ・ゲバラによるキューバ革命が起き、それ以来アメリカによる厳しい経済封鎖が続きます。そんな苦難の時代にも、名産品の葉巻やラム酒の生産は続けられ、ルンバやマンボ、サルサといった音楽が止むことはありませんでした。

キューバ生まれのカクテルとして有名なのがクーバリブレ。日本ではキューバリブレ、あるいはラムコークとも呼ばれますが、キューバの人々は誇りをもってクーバリブレと呼びます。しかし、実はこのカクテルが生まれたのは1900年のはじめ、キューバで自由を謳歌していた米兵がラムをコカ・コーラで割って飲んでいたのが始まりとされます。革命後、コカ・コーラが入ってこなくなると、キューバはトロピコーラという独自のコーラを作り、これで有名なキューバ産ラムのバカルディを割ったものこそがクーバリブレと主張するようになったといわれています。

©︎iStock クーバリブレは世界で一番飲まれているロングカクテルという説もある

このように苦難を乗り越え、明るく生きてきた人々は、建物も車もそこにあるものを直しながら大事に使ってきました。それがノスタルジックな町並みやクラシックカーを残すことになり、今や魅力的な観光資源となっているのです。

モロッコ世界的ブームが続くモロッコのタジン鍋実は砂漠の民の知恵が生んだもの

©︎iStock 今やモロッコを代表する観光地となった青の町シャウエン

旧市街の迷路のような町並みが人気のマラケシュや、山の斜面に青色の建物が連なるシャウエンなどユニークで魅力的な古都が多く、近年は優雅な古い邸宅を利用した宿泊施設リヤドが話題、何よりもかわいいモノであふれた雑貨天国として人気の北アフリカのモロッコ。ヨーロッパから気軽に足を延ばせるというのもポイントです。

モロッコの名物グルメといえばタジン鍋を使った料理。日本でも一時期ブームを巻き起こしましたが、ヨーロッパやアメリカの意識が高いセレブたちには依然として高い人気を誇っています。タジンとは円錐形をしたふたがある土鍋のことで、一般的にこの鍋を使った料理全般をタジンと呼びます。食材から出た水分が円錐の蓋の上部で冷やされて水滴となり、ほぼ無水で蒸し焼きができます。具の種類は無数にあり、油も使わず素材本来の美味しさを味わえるヘルシーさが人気の理由です。

©︎iStock 伝統的なスタイルで提供されたタジン鍋の料理

タジン鍋はモロッコのほか、マグレブと呼ばれる北アフリカで広く使われますが、この地域は南にサハラ砂漠をひかえ、乾燥した土地が多く広がります。貴重な水を使わなくても料理をするための先住民の知恵。やはりタジンはモロッコ随一の自慢料理なのです。

サモア諸島明日と今日を行き来できる不思議な島々サモアの名物料理は「サシミ」

©︎iStock サモア諸島は美しいサンゴ礁に囲まれている

南太平洋上に浮かぶサモア諸島。19世紀後半に島々の支配をめぐって大国が争い、1899年に西半分がドイツの植民地、東半分がアメリカの領土として分割されました。現在は西がサモア独立国、東は米領サモアとなっています。しかし、もともとは同じポリネシア系サモア人の島々、親戚がいるのも珍しいことではありません。また、人の行き来があるため「国際線」が飛んでいるのですが、間を日付変更線が通るため、わずか25分ほどのフライトにもかかわらず米領サモアからサモア独立国への到着は翌日、逆は前日となります。

そんなサモア諸島でよく食べられるのがマグロ。周辺は豊かなマグロの漁場ですから、そんなに遠洋に出なくても取ることができます。米領サモアではマグロ缶詰の生産が盛んで、アメリカ本土での消費の約2割を担っています。
そして島の人々は新鮮なマグロを生で食べるのが大好き。しかも「サシミ」と呼び、醤油とワサビをつけて食べています。もともと南太平洋には魚を生で食べる習慣はありましたが、この食べ方はサモアを拠点に漁を行ってきた日本のマグロ船から伝わったものです。地元のスーパーには醤油とワサビが普通に並んでいます。私たち日本人にも「どうだい、日本で食べるより新鮮だろう?」と屈託のない笑顔で自慢します。

©︎iStock サモアでは「サシミ」は家庭でもレストランでも定番の料理

実際に行き来してみると雰囲気はだいぶ違うことに気づきます。しかし、誇り高いけれど心優しいサモア人たちの気質や、緑豊かで青い海に囲まれた美しい自然はどちらも変わりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。世界は広く、好奇心の扉はいくつ開けても尽きることはありません。そして、新しい知識を得たとき、自分がその国に少し近づけた気持ちになれるはずです。きっとそれが相互理解というものにつながっていくのだと思います。

ガイドブックの画像

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今こそ学びたい世界のことを集めました!首都、言語、民族、宗教、特長、現地の挨拶、誰かに話したくなる旅の雑学も。

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TEXT:梅原トシカヅ

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