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10月4日公開の『花嫁はどこへ?』は2001年のインドが舞台。ふたりの花嫁が花婿の家へ向かう満員列車で取り違えられて…!? 予期せぬ4日間の旅から「幸せ」を考えたふたりは、その後の人生をどのように切り開くのか。美しい映像とともにインドの結婚観や風習など暮らしを感じられる、インド映画好きは見逃せない作品! プロデューサーは国民的大スターのアーミル・カーンが務める。
2001年、とあるインドの村。プールとジャヤ、結婚式を終えたふたりの花嫁は同じ満員列車に乗って花婿の家に向かっていた。
だが、たまたま同じ赤いベールで顔が隠れていたことから、プールの夫のディーパクがかん違いしてジャヤを連れ帰ってしまう。置き去りにされたプールは内気で従順、何事もディーパクに頼りきりで彼の住所も電話番号もわからない。そんな彼女をみて屋台の女主人が手を差し伸べる。
一方、聡明で強情なジャヤは、ディーパクの家族に、なぜか夫と自分の名前を偽って告げる。果たして、ふたりの予想外の人生のゆくえは――?
もしあなたが、作品の時代背景となる当時のインドの「結婚は親のすすめる相手とするもの」「女は勉強しなくていい」という価値観が浸透している社会で生きていたらどのように行動するだろう。
劇中では「夫の名前を口にするなんて」「女が意見を口にするなんて」という言葉をかけられたり、ベールを目深に被らなくてはいけなかったり、現代の日本で暮らす私からするとかなりの不自由さを覚えるシーンが多く見られる。
「ちゃんとした女性(グッド・ガール)」でいるように、という言葉にしばられてきたプールと、自分の幸せをわかっていながらも、外圧によりそれを選択できずにいたジャヤ。
そんな彼女たちが予期せぬ旅で得る気づきや葛藤、そして行動に移していく様子は、異なる社会で暮らす私たちでも性別関係なく共感することができるから不思議で、すてきである。
本作には新しく人と出会うことで起きるプラスの化学反応のようなものが、作品の中にたくさん散りばめられている。自分の軸を持つ、個性的なキャラクターが見どころだ。
たとえば、夫とはぐれて知らない町で露頭に迷っていたプールに手を差し伸べた屋台の女主人・マンジュは、暴力的な夫と息子を家から追い出し、ひとりでお金を稼いでたくましく生きている女性。
「ちゃんとした女性(グッドガール)」の押しつけは、「フロード(詐欺)」だと言い放つ。そんな彼女と一緒に仕事をすることで自立心を養っていくプールに注目してほしい。
また、インドの結婚観や風習、食を美しい映像で見ることができる。
以下のような、インドに関する事前知識があるとより映画を楽しめるはずなので、鑑賞前にチェック!
■結婚観
結婚式の費用は基本花嫁側の負担となり、「持参財」も用意しなければならない。
持参財とは、婿への贈り物、または嫁の個人財産となる現金や貴金属のこと。
映画の冒頭でも、花嫁を連れた人やその家族が「どれくらい持参財をもらったか」という会話で盛り上がる場面がある。
■深くベールを被る女性
「パルター」という習慣に従って、家から外へ出るとき、家に来客があるとき、目上の人と接するときに敬意を払う意味で視線を合わせないために被ることが多い。
花嫁を取り違えるってどういうこと!?と思うが、「まあ、この状況ならありうるか」となるようだ。
■屋台メシ
ヒヨコ豆の粉とスパイスを水で溶いた衣で、主に野菜やチーズを揚げた「パコラ」。
ジャガイモやグリーンピースなどの具をスパイスで味付けし、小麦粉の生地で包み上げたパイのような「サモサ」。
牛乳を固めたソフトなミルク菓子「カラカンド」は、スパイスを加えたり、ドライフルーツをトッピングしたりとさまざまなアレンジも。
どれもマンジュの屋台に出てくるので、必見!
新しい人との出会いが、自分の人生を変えていく。
そんな心温まるストーリーを、ぜひこの秋劇場で楽しんでほしい。