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南ドイツの中心地である、おいしいビールの町として有名なミュンヘンはドイツ第三の町。中世の趣を感じさせる建築物や豊かな芸術文化を堪能できる美術館、さらには現代の工業技術を象徴する博物館まで、さまざまな魅力が詰まっている。観光するたびに新しい発見があるミュンヘンは、初心者からリピーターまで楽しめる都市。今回は、そんなミュンヘンの中でも特に訪れる価値があるおすすめの観光スポットを11ヵ所紹介する。
ミュンヘンの中心、マリエン広場にそびえ立つ新市庁舎。この壮大なネオゴシック様式の建物は19世紀末に完成し、今もなお市民の生活と深く結びついている。観光の目玉は毎日11時、12時、そして夏季には17時にも行われる仕掛け時計のショー。32体の人形が繰り広げるバイエルン大公の結婚式を祝う内容の演劇は、観る者を中世の時代へと誘う。また塔に上れば、ミュンヘン市街を一望できるパノラマビューが広がり、天気がよければ遠くアルプス山脈も見渡せる。
バイエルン王国の歴史を深く知ることができるレジデンツは、ミュンヘン市内最大の宮殿。14世紀後半から1918年までの間、ヴィッテルスバッハ家がここを拠点として統治し続けてきた。この広大な複合施設には、絢爛豪華な部屋が数多くあり、その中でもアンティーク家具や美術品が並ぶコレクションは必見だ。特に、宝物館に展示されているバイエルン王家の財宝や、ヴィッテルスバッハ家の人々の肖像画が121枚も並んだ先祖がギャラリー、劇場として使われたホフテアターは、訪問者を当時の宮廷文化へと引き込む。
ミュンヘンは芸術の都としても名高いが、その象徴的存在がアルテ・ピナコテークだ。15世紀から18世紀にかけての欧州絵画を中心に、ルネサンスからバロック、ロココまで、時代を代表する巨匠たちの作品が数多く展示されている。レオナルド・ダ・ヴィンチ、アルブレヒト・デューラーなどの名作を間近で鑑賞できる贅沢なひとときを過ごせる。美術館自体も歴史的価値が高く、その壮麗な建築は必見。
「アルテ(古い)」に向かい合って建つ「ノイエ(新しい)」ピナコテーク。ノイエ・ピナコテークの館内を歩けば19世紀から20世紀初頭にかけての絵画や彫刻が、まるで時を越えて語りかけてくるよう。モネの穏やかな風景画やゴッホの生々しい筆致は、何度見ても新たな発見があり、芸術の奥深さを感じさせる。これらの作品が並ぶ展示室は、広々としていて自然光が差し込む設計が施されており、鑑賞体験を一層豊かなものにしている。
※2025年頃まで改修工事のため閉館中。一部の主要作品はアルテ・ピナコテークの1階とシャック・コレクションで公開している。”
自然科学と科学技術に興味があるなら、ドイツ博物館は外せないスポットだ。世界最大級の展示面積を誇るこの施設は1903年に創設され、飛行機や船舶、エネルギー技術、通信など、あらゆる分野の展示が充実している。特に、航空機の実物展示や、科学の原理を学べる体験型の展示は、子供から大人まで楽しめる。博物館全体が科学と技術の進歩を祝う場所であり、訪れる人々に新たな知識と驚きを与えてくれる。広大な展示エリアをじっくり回れば、1日があっという間に過ぎてしまうほど見どころが満載だ。
ミュンヘン郊外に広がるニンフェンブルク城は、戦争による破壊も免れ「妖精の城」の名にふさわしい優美な姿を見せている。白鳥が浮かぶ運河の後ろに左右対称の姿で建つ本城には、ロココ様式の祝祭の大広間や、歴代のバイエルン公たちが過ごしたプライベートスペースが保存されている。ルートヴィヒ1世が愛した美女36人の肖像画が壁画を埋め尽くす美人画ギャラリーも圧巻。
ミュンヘンのシンボルともいえるフラウエン教会は、そのネギ坊主のような双塔で知られている。このゴシック様式の大聖堂は15世紀に完成し、以降、ミュンヘン市民の信仰の中心となってきた。外観の壮大さもさることながら、内部のステンドグラスや彫刻も見事で、歴史的な遺産がいたるところに見られる。特に、「悪魔の足跡」として知られる床の印は、教会にまつわる興味深い伝説の一部だ。地上から80メートルのところにある塔の頂上に上れば、ミュンヘン市街とアルプスの山々を一望でき、心に残る絶景が広がる。
ミュンヘンは自動車好きにとっても魅力的な町だが、その中心にはBMW博物館がある。1929年に初めての自動車を生産したBMWの博物館では、過去から現在までの歴史を豊富な展示品とともに楽しむことができる。クラシックカーから最新の電気自動車まで、さまざまな車両が並ぶ展示は、自動車愛好家ならずとも心をひかれること間違いなし。さらに、エンジンやデザインに関する技術的な展示も豊富で、車の仕組みに興味がある人には特におすすめだ。
1972年ミュンヘンオリンピックの会場として建設されたオリンピック公園。広大な敷地には、スタジアムや水泳場だけでなく、湖や緑地、そして高台から市内を一望できるオリンピック塔がそびえ立つ。ドイツで最も高い、約290メートルの塔の展望台は特に人気だ。また、公園内では季節ごとにさまざまなイベントが開催されており、訪れるたびに新しい発見がある。歴史的なスポーツの舞台裏を知りたいなら、ガイドツアーもおすすめだ。
ミュンヘンで最も古い教会であるペーター教会は、町の歴史を物語る貴重な建物だ。この教会は11世紀に建設され、その後何度も改修を重ね、現在の姿にいたっている。内部には、美しいゴシック様式の祭壇や、ルネサンス期の彫刻が残されており、訪れる者を圧倒する。また、教会の塔は観光客に人気で、狭く急な階段を上ると、頂上からミュンヘンの町並みが広がる。特に夕暮れ時には、美しい景色が広がり、写真撮影にも絶好のスポットだ。
ミュンヘンの美術館巡りを堪能するなら、モダン・ピナコテークは外せない。19世紀から現代にいたるまでの美術作品を展示するこの美術館は、モダニズムの誕生から現代アートまで、幅広い芸術の流れを知ることができる。特に、ゴッホやセザンヌ、ゴーギャンといった近代美術の巨匠たちの作品にから現代彫刻、グラフィック、メディアミックスなど幅広い作品が揃う。
ミュンヘンはその歴史と現代が絶妙に融合した都市だ。伝統的な建築物や美術館、博物館を巡ることで、この町の多彩な文化と深い歴史を肌で感じることができる。今回紹介した11選は、どれも外せないスポットばかり。この美しい町で過ごす時間が、あなたの旅をより一層充実したものにしてくれるだろう。