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バルカン半島に位置するアルバニアには、古代の遺跡やオスマン帝国時代の建造物、手つかずの自然など魅力的な観光スポットが点在している。首都ティラナの歴史あるモスクや、ブルーアイというクリスタルブルーの泉、ベラティに残されているオスマン帝国時代の町並みなどは訪れる価値のあるスポットだ。今回はそのなかから厳選した10のスポットを紹介する。観光地としてはメジャーではないかもしれないが、静かな時間の流れと豊かな歴史を堪能しながら、新たな発見に満ちた旅を楽しんでほしい。
首都ティラナを訪れるなら、まず足を運びたいのがジャミーア・エトヘム・ベウト。このモスクは、オスマン帝国時代の1793~1821年にかけて建てられたもので、威厳あるたたずまい。内部の鮮やかなフレスコ画には当時の町並みが描かれ、宗教的なシンボルだけでなく自然の要素を取り入れた独自のデザインが特徴。その細やかな装飾に魅了されるだろう。
首都ティラナから少し足を延ばせば、ダイティ国立公園が広がっている。公園には標高1613mのダイティ山がそびえ、ロープウエイで標高1000m地点まで行くことができる。ロープウエイを降りればティラナの町並みや遠くに広がる海まで見渡すことができ、息をのむほど美しい眺望。ハイキングやピクニックなども楽しめるので、自然とのふれあいを求める旅行者にとって理想的なスポットだ。
ティラナの中心に位置する国立歴史博物館は、アルバニアの歴史を知りたいなら必見のスポット。古代や中世から現代にいたるまで、アルバニアの歴史の流れが年代順にわかりやすく展示されている。館内には、紀元前4世紀のアルバニア最古のモザイクをはじめ、考古学的な出土品、民族衣装などがあり、文化的アイデンティティを学ぶことができる。
ティラナの市街地に隠れるようにしてたたずむ葉の館は、かつて秘密警察シグリミが拠点としていた建物。この場所は、社会主義時代を象徴する歴史的なスポットであり、現在はその過去を振り返る博物館として一般公開されている。館内は、鎖国状態にあったアルバニアの影の部分に焦点が当てられ、秘密警察に関する解説や当時の監視装置などが展示されている。建物自体のデザインはシンプルで無骨だが、そのなかには多くの歴史と戒めが詰まっている。
「千の窓をもつ町」として知られるベラティを見守るように川沿いに立つベラティ城は、オスマン帝国時代の風情を色濃く残した城塞都市。城の内部には、古きよき石畳の道や、伝統的な建築様式の家屋が軒を連ね、中世の面影を残している。ベラティの美しい景観は、ユネスコの世界遺産にも登録されており、特に夕暮れ時に城から眺める幻想的な町並みは必見。
ベラティの丘の上に位置するヘルワティー・テッケは、宗教的な多様性と歴史を象徴するスポット。イスラム神秘主義のヘルワティー教団の道場であり、静寂と神聖さに包まれている。内部の装飾は華やかな彩色で特徴的な幾何学模様などが施されており、バロック様式で装飾された天井も美しい。
アルバニア南部、港町サランダの近郊にあるブルーアイは、神秘的な雰囲気をまとう透明度の高いクリスタルブルーの泉。水温が低いため、夏には涼を求める人々でにぎわう。ブルーアイは、地元の人々にとっても特別な場所であり、この泉に関する伝説が多く存在する。周囲の自然も豊かで、ハイキングを楽しむのもおすすめだ。
世界遺産に登録されている紀元前の古代都市ブトリント。サランダからほど近くにあり、広大な敷地には古代劇場跡や教会、そして医学の神・アスクレピオスの神殿などが点在している。ローマ時代の浴場も保存状態よく残されており、当時の生活が鮮明に伝わってくる。また、ブトリントは自然保護区でもあり、豊かな緑が広がる。歴史と自然が織りなすこの場所で、古代の息吹を感じてみよう。
アルバニア独立の象徴ともいえるクルヤ城は、英雄スカンデルベグが拠点とした歴史的な城。かつてオスマン帝国に対抗した要塞として重要な役割を果たした。城内には国立博物館があり、スカンデルベグの生涯や戦いの記録が展示されている。石造りの要塞や塔から見渡すクルヤの町並みは絶景で、アルバニアの雄大な自然を感じることができる。また、クルヤにはバザールがあるので、立ち寄って地元の工芸品や食品を購入して楽しみたい。
ゼカテの家は、ジロカストラの石造りの町並みのひときわ高い位置にそびえ立つ3階建ての邸宅。1812年に建てられたもので、内部には当時のまま保存されたフレスコ画や精巧な木彫りの装飾が施され、当時の豪族の暮らしを垣間見ることができる。また、邸宅からはジロカストラの町と周囲の山々が一望できる。
アルバニアには秘められた魅力がたくさんある。訪れる人々に静かな時間と深い歴史を与えてくれるこの国は、古代遺跡から美しい自然、そして独特の文化まで多様な体験ができる場所だ。訪れるたびに新しい魅力に出合えるアルバニアの旅は、きっと忘れられない思い出となるだろう。