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ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)には、東西ヨーロッパの影響が色濃く残っている。サラエヴォ(サラエボ)やモスタル、ヴィシェグラードといった主要都市には、オスマン帝国時代やオーストリア・ハンガリー帝国時代の建造物や史跡が数多く存在する。近年、観光インフラも整備され、観光スポットや美しい自然が手軽に楽しめるようになってきた。今回紹介する10の観光スポットは、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの魅力を余すところなく満喫できる場所ばかり。歴史、文化、自然が織りなす旅を楽しもう。
サラエヴォ(サラエボ)の旧市庁舎は、オーストリア・ハンガリー帝国時代に建てられた、ムーア様式を採用した建物。色鮮やかな外壁と繊細な装飾が施されたこの建物は、もともと市庁舎であったが、現在は国立図書館として使用されている。内部は天井まで続く豪華なアーチやタイル装飾が施されており、まるで中世の宮殿に迷い込んだかのよう。1992年に甚大な被害を受けたが、修復が行われ、2014年に再オープンした。定期的にイベントやコンサートも行われている。
サラエヴォにある旧正教会は、16世紀にオスマン帝国時代に建設されたサラエヴォ最古の教会のひとつ。建物の外観は比較的シンプルだが、内部に足を踏み入れると豪華なイコン(聖像)が目に飛び込んでくる。教会内部の装飾は正教会の独特な美しさを誇り、特に彫刻の技巧とイコン画の芸術性が際立っている。教会内には貴重な遺物が保管されており、歴史好きにはたまらないだろう。さらに、併設の博物館では、ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける正教会の歴史や文化を学べる展示もある。
サラエヴォのユダヤ人博物館は、ユダヤ人の歴史と文化を紹介する重要な施設だ。ここは、オスマン帝国時代に建てられたもので、かつてはシナゴーグとして使用されていた。博物館の展示では、国内のユダヤ人コミュニティの歴史や文化、宗教、そして第二次世界大戦時のホロコーストについて詳しく学ぶことができる。特に、第二次世界大戦中の悲劇的な歴史を伝える展示は心に訴えかけるものがあり、平和と寛容さの重要性を改めて考える機会になるだろう。
ミリャツカ川に架かるラテン橋は1799年に建造されたもので、オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子フランツ・フェルディナントとその妻ソフィアが暗殺されたサラエヴォ事件の現場となった。第一次世界大戦のきっかけとなった場所として、歴史的に重要な意味をもつ。かつては狙撃犯ガヴリロ・プリンツィプの名にちなんでプリンツィプ橋とも呼ばれていたが、ラテン橋という名称に戻された。近くにはサラエヴォ事件を説明する博物館もあり、事件に関する説明もある。
サラエヴォの国立博物館は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの豊かな文化と自然の歴史が学べる場所だ。1888年に建てられた博物館は、考古学・歴史、自然科学、民俗学、図書館の4つの建物で構成されている。特に注目すべきは、天井を覆う装飾や扉や家具の木彫細工で、これを観るために訪れる観光客も多い。また、古代の遺物や中世のアート、動植物の標本など、展示物の幅広さが魅力的。国際的にも評価されているこの博物館は、文化的にも学術的にも価値が高い。
2009年にオープンした、国内で最も高いビルであるアヴァズ・ツイスト・タワー。高さは142m、36階にある展望台はサラエヴォ市街地や周囲の山々を見渡せる絶好のスポットで、夕暮れ時の景色は特に美しい。31階にはレストラン、35階にはカフェも併設されており、市街地を眺めながらゆっくりとした時間を過ごすことができる。秒速5mで上昇する高速エレベーターであっという間に展望台へ。サラエヴォの歴史的スポットを訪れたら、この現代的な建築もぜひ体験してみよう。
ドリナ川に架かるこの優美な橋は、オスマン帝国時代の象徴でもある。16世紀にオスマン帝国の建築家ミマール・スィナンが設計した、彼の最高傑作ともいわれる橋だ。長さ175mで、11のアーチをもつデザインが有名。第一次、第二次世界大戦で被害を受けたが修復され、今なお美しい姿を保っており、橋を渡れば時を遡るかのような感覚を覚えるだろう。2007年にはユネスコの世界遺産にも登録されており、その価値は国際的にも認められている。
オスマン帝国時代に建造された石橋であるスターリ・モストは、ボスニア・ヘルツェゴヴィナのシンボル的存在だ。町の中央を流れるネレトヴァ川に架かり、川で隔てられた地域を繋ぐだけでなく、文化や宗教の違いを越えて人々を結びつけた架け橋でもある。戦争によって破壊され、再建された現在の橋は、平和と再生のメッセージを強く伝えている。周囲には中世の面影を残す石造りの建物や、川沿いにはカフェが並ぶ。また、夏になると橋から川へ飛び込むイベントも行われ、人々が飛び込む姿は迫力満点。モスタルの旧市街とともにユネスコの世界遺産にも登録されており、歴史的・文化的な価値が高いスポットだ。
モスタル郊外にあるブラガイは、自然と宗教文化が融合した場所だ。特に有名なのは、ブラガイの泉とその近くにあるスターラ・デルヴィシュカ・テキヤはオスマン帝国時代に建てられたイスラム神秘主義教団の修道場で、静かな瞑想の場として多くの訪問者を魅了している。修道場の周辺は美しい山々に囲まれたこの場所は、心を落ち着けるのに最適。また、ブラガイの泉はヨーロッパ最大級のカルスト泉であり、透き通った水が山間から湧き出す様子は神秘的だ。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの自然を堪能するならクラヴィツァの滝は必見。滝の高さは約25~27mで、水流がエメラルドグリーンの滝つぼへと流れ落ちる景観は圧倒的。特に春から夏にかけては水量が豊富で、滝つぼでは水遊びも楽しめる。滝の周辺にはピクニックエリアやカフェもあり、家族連れやカップルにも人気。ポプラやイチジクが生い茂る美しい自然を満喫することができる。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナは、東西の文化が交差する特色ある地域である。サラエヴォやモスタルでは、オスマン帝国やオーストリア・ハンガリー帝国の影響を受けた建造物が残され、歴史の重みを感じさせる。また、クラヴィツァの滝やブラガイの泉のような自然の美しさも、この国の魅力。今回紹介したスポットのみならず、地元の人々とも触れ合い、自分自身の旅の物語を彩ってみよう。