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リヨンはフランスの美食の都として名高く、その魅力はグルメに限らない。ローヌ川とソーヌ川に挟まれたこの町は、古代ローマ時代から続く歴史と文化が深く息づく場所でもある。リヨンの旧市街に足を踏み入れると、中世から残る石畳の町並みが広がり、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえる。歴史的建造物やアート、美食の市場、映画の発祥地を巡る旅は、訪れる者を飽きさせることがない。今回は、そんなリヨンの魅力を存分に味わえる観光スポット6選を紹介する。それぞれのスポットがもつ特別な魅力を通じて、この町の多彩な顔を発見しよう。
リヨンのシンボル的存在であるフルヴィエールの丘は、街全体を一望できる絶景スポットだ。丘の頂上にそびえるノートルダム・ド・フルヴィエール・バジリカ聖堂の260段の階段を上ると展望台があるので、旧市街、新市街、ローヌ川とリヨンの街並みを見渡してみよう。この壮麗な建築は外観の美しさだけでなく、内部のモザイクやステンドグラスも見逃せない。聖堂から少し下がるとルグドゥヌムがあり、紀元前43年建造のローマ劇場、ガロ・ローマの博物館がある。
リヨンの旧市街は、中世の面影を色濃く残す歴史地区。フルヴィエールの丘の麓に広がるこのエリアは、狭い石畳の路地やカラフルなファサードが魅力で、迷路のような町並みを歩くだけでも時間を忘れてしまうだろう。この地区は、ユネスコの世界遺産にも登録されており、その価値は折り紙つき。特にトラブールと呼ばれる狭い通路が、旧市街を探検する際のハイライトだ。これらの通路は、かつて絹織物の商人たちが使っていたもので、建物の中庭を通り抜けることで、町を縦横無尽に駆け巡ることができる。
リヨン美術館は、フランス国内でもパリのルーヴル美術館に次ぐ規模を誇る巨大な美術館だ。かつてのベネディクト会修道院を利用しており、建物自体も一見の価値がある。館内には、古代エジプトの美術品から19世紀の絵画まで幅広い時代と地域の作品が展示されており、アート愛好者ならずとも楽しめる。また、モネやゴーギャンなど、フランス印象派の巨匠たちの作品も数多く収蔵されている。美術館の中央には、静かで美しい中庭があり、作品鑑賞の合間にひと息つくのにも最適なスポットだ。
1993年にオープンしたリヨンのオペラ座は現代建築と伝統が融合した象徴的な建物だ。もともと18世紀に建設されたが、1993年に建築家ジャン・ヌーヴェルによって大規模な改修が行われた。外観はクラシカルなたたずまいを残しつつも、上部にはガラスで覆われたドームが追加され、モダンな印象を与える。このオペラ座では、オペラやバレエ、クラシック音楽の公演が行われており、その音響や舞台装置のクオリティは世界トップクラスだ。
フランスの美食文化の中心地リヨンで、特にグルメに注目したいのがポール・ボキューズ市場だ。この市場は、フランス料理界の巨匠ポール・ボキューズの名を冠しており、リヨンの食文化を堪能できる場所として知られている。新鮮な野菜や果物、肉、魚介類、チーズ、ワインなど、フランスの豊かな食材が集まる市場は、地元の人々だけでなく観光客にも人気が高い。市場内には、高級食材を扱う専門店から、手軽に楽しめるデリカテッセンまで多彩な店が並んでおり、食の都リヨンの多様性を実感できる。
リュミエール博物館は、映画の歴史に興味がある人には見逃せない場所だ。ここは、映画の発明者として知られるリュミエール兄弟の旧邸宅を利用した博物館で、映画の誕生にまつわる貴重な展示物が並ぶ。特に、彼らが世界で初めて撮影した映画『工場の出口』を見られるのは感慨深い。映画がどのように誕生し、どのように進化してきたかを学べるこの博物館は、映画ファンならずとも訪れて損はないスポットだ。
リヨンは、フランスの美食文化の中心地であり、歴史とアートが調和する特別な場所だ。フルヴィエールの丘からの絶景、旧市街の中世の面影、リヨン美術館の名画たち、そしてポール・ボキューズ市場での美食体験。これらのスポットは、リヨンを訪れる際にぜひとも巡りたい場所だ。この町を歩くことで、古代から続く歴史と、現代の躍動感が織りなす独特の雰囲気を肌で感じることができる。次の旅行先に迷ったら、リヨンを選んでみてはどうだろうか。その豊かな体験が、きっと心に残るものとなるはずだ。