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2025年8月に発行予定の『地球の歩き方 静岡』。静岡県の全市区町の魅力を深掘りし、「静岡の旅事典」とすべく、鋭意取材中です。今回は静岡県の静岡市で地元の人が太鼓判を押すとっておきのスポットを、ベストなタイミングでフルに楽しむ方法を【朝・昼・夜】に分けてご紹介。レポート後編では静岡市ならではのスケールの大きい絶景スポットをご紹介します。レポート前編はこちら。
早起きしたら向かいたいのが静岡市清水区にある海岸沿いの松林「三保松原」。駿河湾越しに望む雄大な富士山の絶景と、世界文化遺産「富士山-信仰対象と芸術の源泉」の構成資産として知られています。
天候がよいと紺碧の海と砂浜、老緑の松原、そして富士山が織りなす絶景を眺められますが、なかでも朝の時間帯は観光客が少なく、空気が澄んでいておすすめです。特に元旦は伊豆半島方面から初日の出が上がるということで、人でいっぱいになるのだそうです。
松原を散策したら静岡市三保松原文化創造センター「みほしるべ」をぜひ訪問しましょう。午前9時からの開館となりますが、世界文化遺産の構成資産である三保松原の魅力を、歴史や文化、自然に関する展示を通して、より深く理解することができます。ちなみに「みほしるべ」では毎朝9時から松葉かきなどの保全活動ボランティアを受け付けているので、朝活をしたいという方はそちらもおすすめです。
1階の映像シアターや展示では、三保松原の文化や芸術について学ぶことができます。印象的だったのが『絹本著色富士曼荼羅図』のレプリカ。室町時代後期に幕府の御用絵師であった二代目狩野元信によって描かれたとされ、富士山が古くから神の世界へ繋がる特別な場所として信仰の対象となってきたことや当時の登拝の様子をリアルに感じることができました。この曼荼羅図だけでなく、貴重な資料が多数展示されています。
「みほしるべ」の目の前にある美しい松並木「神の道」を通って「御穂神社(みほじんじゃ)」を参拝。神事の際は神様もこの道を通って神社にたどり着くといわれる羽衣伝説ゆかりの神社です。
「御穂神社」の御祭神は地域住民に三保大明神と親しまれ、縁結び、安産子育て、健康、航海安全・漁業・農業など、あらゆる願いをかなえる神としてあがめられています。境内に入ったら拝殿はもちろん、人々の生活を守る神様が祀られている摂末社や子供の守り神、「何でも叶う叶え馬」として知られる神馬舎などゆっくり参拝しましょう。御朱印も頒布しています。
世界遺産の三保松原を満喫したあとは、水上バスで景色を楽しみながら清水港までプチトリップを楽しんでみるのはいかが。水上バスからは三保松原越しの富士山の景色や秋冬にはカモメの群れと一緒にクルーズすることもできます。自転車も搭載できるのでレンタサイクルで旅するのも楽しい!
清水港に到着したら目の前の「エスパルスドリームプラザ」へ。清水港開港100 周年記念である1999 年に誕生したエンターテインメント施設で、「ここにしかないがここにある」のキャッチフレーズの通り、清水ならではのグルメやショッピング、ミュージアムなどが楽しめます。2023 年にはそのエリアを拡大してますますパワーアップ! 「清水らしい体験」のできる施設も豊富です。
おみやげショッピングなら「清水かんづめ工場」へ。ツナ缶発祥の地で、マグロ、カツオ缶詰の生産量全国1位の静岡県。そんな缶詰の町らしく、120 種類以上の缶詰が勢揃い。清水区由比で70年以上の歴史をもつ由比缶詰所の「ホワイトシップ印」のまぐろ缶や「清水もつカレー缶」「静岡おでん缶」などのご当地缶詰が人気です。ほかではなかなか入手できない缶詰も多くあるので、気になる缶詰は迷わずお買い上げを。
お酒が好きなら同じフロアにある「酒蔵屋」へ。米のうま味と上品な香りに県内外にファンが多い清水の酒蔵による「臥龍梅」をはじめ、静岡の地酒やクラフトビール、おつまみなどがところ狭しと並ぶお酒のセレクトショップです。店舗横に角打ち(立ち飲み)スペースが設けられており、買うだけでなく、飲むことができるのもポイント!
清水は「ちびまる子ちゃん」の原作者であるさくらももこ氏の出身地。エスパルスドリームプラザにある「ちびまる子ちゃんランド」は、日本で唯一の常設ミュージアム。プロジェクションマッピングで独特の世界観を音と映像で楽しんだり、先生の私物や直筆イラストなどを見学したりすることができます。施設内には神社があり、さくら先生が書き下ろしたかわいいおみくじを引くこともできます。ユーモアあふれる結果にほほ笑んでしまうこと間違いなし。
もうひとつ、昼どきに訪れたい静岡市きっての絶景スポットといえば日本平。ここはもともと35万年前、海底だった場所が、毎年3mmずつ隆起し、現在は300mの高さの景勝地となっています。日本武尊が東征のとき駿河で火攻めにあった際(「焼津」の地名はこの故事が由来とされています)、草薙剣で難を逃れ平定し、山頂から四方を眺めたことが日本平の名前の由来と伝わります。戦国時代には、駿河に侵攻した武田氏が久能城を築き、江戸時代は徳川家康が久能山に埋葬されて聖地に。明治時代以降はその美しい景観が広く知られるようになり、昭和初期には「日本百景」や「日本観光地百選コンクール」で第1位に選ばれるなど、その圧倒的な美しい景色や歴史的背景から日本一の絶景ともいわれることも数多くあります。
長い歴史のなかで多くの人に愛されてきた日本平の新しいランドマークが「日本平夢テラス」。隈研吾建築都市設計事務所の設計で、回廊を歩くだけで富士山、駿河湾、三保松原、静岡市街、伊豆半島、南アルプス……など、息をのむような静岡の絶景が続々と目に入ってきます。
絶景を楽しむだけでなく、カフェや展示エリアもあり、休憩や情報収集にももってこい。カフェの注目メニューが、静岡銘菓の安倍川もちと日本平煎茶のセット(1000円)。日本一高い山・富士山と日本一深い海・駿河湾を眺めながらいただくお茶とお菓子は格別です。
日本平は昼間の絶景はもちろん、日本夜景遺産にも登録されるほどの夜景スポットとして知られています。夜景を眺めるなら日本平夢テラスから徒歩10分くらいの場所にある「風景美術館」の異名をもつ老舗ホテル「日本平ホテル」がおすすめです。
夜はきらめく清水市街地の光と漆黒の駿河湾とのコントラストが目の前に広がり、昼に訪れた清水港や三保松原も一望できます。宿泊できればベストですが、バーやレストラン利用をする地元の人も多くいます。夜景目的ならホテル最上階にあるバー「アッパーラウンジ」が◎。昼とはまた違った静かでロマンティックな雰囲気のなか過ごす日本平での時間は、特別な体験となるでしょう。
雄大な富士山を眺めながら、朝から晩まで特別な体験を楽しめる静岡市。東京から新幹線で1時間とアクセスしやすく、ここでしか味わえない美しい自然や絶品グルメが楽しめるのが魅力です。静岡市はもちろん、静岡県の絶景は2025年8月に発行予定の『地球の歩き方 静岡』にも多数掲載予定です! お楽しみに。
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PHOTO:PIXTA、地球の歩き方編集室