
D28 地球の歩き方 インド 2025~2026
2025.3.3
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市街地が世界遺産に登録され、「ピンクシティ」と呼ばれるラージャスターン州の州都・ジャイプール。『arucoインド2026~2027』制作前に、編集部員が旅した2泊3日モデルコースをご紹介します。ローズピンクに彩られた街並み、宮殿、おしゃれな雑貨店にカフェ……。伝統文化とモダンなセンスが融合したおしゃれな雑貨を発掘しながら、煌びやかな観光地を巡ってきました。
目次
前日の夜にジャイプール国際空港へ到着。そのまま空港近くのホテルに宿泊し、早朝から旅をスタート! まずは腹ごしらえにカフェへ向かいます。
Uberで呼んだリクシャーに揺られること約10分、「Tapri Ashram」に到着。店内は広々とした空間で広くテーブルを使うことができます。緑豊かな庭もあり、さわやかなモーニング時間を過ごすのにぴったり。
ライスケーキ「イドゥリ」、薄い揚げパンの上に豆カレーがのった「ダルパクワン」、そしてチャイいただきました。朝からスパイシーな食事を取って、インド気分を高めます!
リクシャーに15分乗車し、テキスタイルの一大産地として知られる「サンガネール村」へ。表通りには、服やテキスタイルを販売するショップがずらりと並びます。
裏通りにはテキスタイルやブルーポッタリーの工房があり、覗いていると「見学していきなよ!」と男性が声をかけてくれ、木版を手押しして模様を付けるブロックプリントの製作、縫製作業の見学をさせてもらいました。手作業で一つひとつていねいに作り上げられるテキスタイルを見ていると、特別なインドのお土産として誰かにプレゼントしたい気持ちになります。
工房では実際にブロックプリント製作体験をすることも可能なので、予約の上訪れてみてください。
サンガ―ネール村からタクシーや約40分、いよいよジャイプールの市街地へ。まずは、名前から魅惑的な響きのある「ハワ・マハル(風の宮殿)」を一望できるカフェ「The Tattoo Cafe & Lounge」でランチをいただきます。風に当たってピンク色のローズラッシーを飲みながら、ハワ・マハルを眺めるのは至高。ハワ・マハルに向かって突き出た写真撮影用のスポットもあり、映える写真を撮影をしている人も多くいます。
ジャイプールの町を築いたカチワーハ家のサワーイー・ジャイ・シン2世が建てた宮殿「シティ・パレス」。現在もマハラジャの子孫が暮らしていますが、一部が博物館として公開されています。ピンクと白のアーチがかわいい貴賓謁見の間や、壁や天井に赤や緑の石がはめ込まれたジョバ・ニワスなど、豪奢な雰囲気についうっとり…。
今回はガイド付きのスペシャルチケットで入場。シティ・パレスの歴史からや現在のマハラジャ家族のことを教えてもらえたり、映え写真の撮り方を熟知しているガイドさんにたくさん写真を撮ってもらうことができました(英語ガイド)。
最後は屋上のカフェでクッキーとドリンクをいただき、シティ・パレスの外観を眺めながらほっとひと息。こちらもスペシャルチケットの料金内に含まれています。
ジャイプールにはいくつかの有名なバザールの通りがあります。ジャイプールいちの目抜き通り「ジョハリバザール」は宝石屋や服屋が、「バープーバザール」には布製品やサンダルが多いなど、通りごとに個性があるのでたくさん歩いても見飽きません。
値段交渉にもチャレンジして、表示価格500ルピーのかばんを300ルピーで購入することができました! 自分だけの宝物を持ち帰りましょう。
夕食を取ったら、ホテルにチェックイン。今回泊まったのは1892年に建てられたラージプート一族の邸宅を改装し、現在ホテルとして使われている「Alsisar Haveli(アルシサールハヴェリ)」。インドの建造物らしい構造、共用スペースの家具や調度品などが当時の煌びやかな暮らしを思い起こさせます。プールもあり、水着があれば泳ぐことも可能です。客室は広々としてシンプル。質のよさそうな机や棚に、かわいいタイルの柄などが居心地のよい空間を生み出します。木製の大きなベッドに寝転がり、1日の観光の疲れを癒やします。
朝日が部屋に入りこみ、小鳥がさえずり…。自然と目を覚ましました。さわやかな心地よい気分で朝食会場へ。写真左のような、まさに宮殿を思わせる空間にインドの料理がずらりと並べられています。バイキング形式でダルカレー、豆をペーストにしてドーナツ型に揚げたワダ、オムレツ、フルーツ、チャイなどを取って、いただきます。せっかくのヘリテージホテル、朝も夜も満喫し尽くしましょう!
市街地からリクシャーで30分ほど行くと、世界遺産「アンベール城」に到着。築城が始まった16世紀には、ジャイプール一帯を支配したカチワーハ家の王国の首都だったそう。午前中は麓から城の入り口までゾウタクシーに乗ることができます(1500ルピー)。
マハラジャが公務を行った一般謁見の間を通り抜けると、ガネーシャ門に突き当たります。アラベスク模様や植物をモチーフにした装飾、ガネーシャ神が描かれた豪奢な正門は圧巻。つづいて天井や壁に無数の鏡が埋め込まれた鏡の間、涼をとれるよう室内に水が回るように造られたマハラジャの私室スク・ニワスなど、往時の栄華がうかがえます。
市街に戻り昼食を済ませたら、前日にカフェから眺めた「ハワ・マハル」の内部見学へ。正面から見ると高さ6mもの城壁が圧巻ですが、内部を探検すると意外と薄い建物ということがわかります。
どの方角からでも風が入るように、また宮中女性が街の様子を覗きやすいようにと造られた無数の小窓は、近くで見てもその網目は細やか。最上階からは碁盤目状の市街のようすを見下ろすことができ、頑張って登る価値ありです。
つづいて、押さえておきたい世界遺産の「ジャンタル・マンタル」へ。すべり台のような形、半球型など変わった形の観測儀が約20点在しています。天文学に造詣のあったマハラジャ、サワーイ・ジャイ・スィン2世が建造し、それぞれの観測儀で時刻や星座の位置などを計測したそう。ジャンタル・マンタルはインド各地にありますが、ジャイプールのものが最も巨大です。
ジャイプールでのはじめての夜ご飯は少し豪華に。19世紀のハヴェーリーを改装したブティックホテルの1階にあるレストラン。ピンクの壁と植物が照らされた外観から洗練されたおしゃれさを感じながら店内に足を踏み入れると、そこはピンク尽くしの空間。オーガニック食材を使ったベジタリアン料理をいただくことができます。サグパニール、ダルカレー、チーズナン、ナン生地よりも薄いロマ・ロティをいただきました。
ドリンクも個性的で、スパイスが使われたカクテルが絶品。とくにクミンレモネードがお気に入りです。
今のジャイプールにはおしゃれなブランドやお店がどんどん増えています。インドの伝統とモダンな感性が合わさった唯一無二の雑貨は持ち帰るべし。インドの伝統技術保存の目的で設立された団体が運営する「Nila House(ニーラ・ハウス)」、インドのデザイナーとフランスのデザイナーオリジナルの雑貨が揃う「Hot Pink(ホット・ピンク)」、マハラジャが運営するゴージャスな世界観の「The Palace Atelier(ザ・パレス・アトリエ)」など、見ておきたいお店がたくさん。
ジャイプールから車1時間ほどで階段井戸「チャンドニバオリ」へ到着。インドで最も深くて巨大、美しい階段井戸とされています。雨季に水を貯めておく貯水槽の役割だけでなく、宗教的な儀式にも用いられていたそう。幾何学的なジグザグを描く階段で構成されていおり、中を覗き込むとうっかり吸い込まれていきそうになります。
少し離れた場所の観光地も押さえて、思い残すことのないように旅しましょう!
「チャンドニバオリ」の後は、ジャイプール市街地に戻っても、そのまま「タージ・マハル」のあるアグラへ向かっても◎。
ピンク尽くしの市街地、マハラジャが建てた豪奢な宮殿、伝統が息づく手工芸、洗練されたカフェ……と、ジャイプール特有の文化にどっぷり浸ることのできた2泊3日の旅でした。最近はインドの伝統が息づくおしゃれなお店が増えているので、ファッションや雑貨好きな方にもおすすめです!
2025年6月発売の『arucoインド2026~2027』には、ジャイプール含めインド北部の最新情報をたっぷり掲載しているので、旅行の際はぜひお手に取ってみてください。
テキスト・写真/内田早紀