特集「今、こんな旅がしてみたい!」
キーワードで検索
イリノイ州シカゴからカリフォルニア州サンタモニカまでの2448マイル(約3917km)を結んでいた、ルート66。大陸を横断する大動脈として、物流や人々の移動を支えてきた国道は、2026年に開通100周年を迎えます。2026年4月30日、ミズーリ州スプリングフィールドで開催される「ルート66 100周年記念キックオフイベント(Route 66 Centennial National Kick-Off)」を皮切りに、2026年はルート66沿いの町で100周年を記念したさまざまな催し物が行われます。記念すべき年に、伝説のハイウエイを旅してみませんか?
1926年11月11日、ルート66はU.S.ナンバー・ハイウエイ・システムが制定した連邦最初の国道のひとつとして誕生。東のイリノイ州から、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州の8つの州を横断していました。インターステートハイウエイの発達により1985年に廃線となりましたが、一部はヒストリックルート66(Historic U.S. Route 66)として残り、景観道路(National Scenic Byway)に指定されています。
沿道には、1950年代のアメリカを感じさせる外観が特徴のダイナーやネオンサインが輝くモーテル、レトロな雰囲気いっぱいのギフトショップなどが点在。古きよきアメリカを求めて、全米はもとより世界中から多くの人々がルート66を訪れています。
ルート66の起点となる、イリノイ州シカゴ。ルート66を横断する人が立ち寄るというルー・ミッチェルズ(Lou Mitchell’s)は、1923年創業の老舗レストランです。オムレツやパンケーキ、ワッフルが特に有名で、歴代の大統領やセレブリティも訪れています。
開店当時、店前を走るJackson Blvd.と、シカゴ美術館前を通るMichigan Ave.の交差点がルート66の起点であるとされていたため、ここで朝食を取ってから横断を始める人が多かったとか。その後、Jackson Blvd.は一方通行になったため、Michigan Ave.とE. Adams St.の交差点に標識「Begin Historic Route 66 Sign」が立てられました。
ルー・ミッチェルズの詳細情報
シカゴとロサンゼルスを結ぶ、ルート66の真ん中あたりに位置するテキサス州アマリロ。この町には地元の人だけでなく、世界各国の旅行者が訪れるステーキレストランがあります。1960年創業の老舗レストラン「ビッグ・テキサン・ステーキ・ランチ」は、72オンス(約2.2kg)のステーキを1時間以内に完食すれば無料になることで有名。木目調であたたかみのあるカントリースタイルのインテリアのなか、カウボーイハットをかぶったスタッフがサーブしてくれます。名物料理のプライムリブ・ステーキ(29.72ドル〜)やサーロイン・ステーキ(25.72ドル〜)、リブアイ・ステーキ(33.72ドル〜)のほか、サンドイッチやパンケーキ、チキン&ワッフルなどもあります。
2010年にはブリュワリーもオープン。ギフトショップやゲームコーナーもあるので、子供連れでも楽しめるのがうれしいポイント!
ビッグ・テキサン・ステーキ・ランチの詳細情報
ルート66沿いで一番有名なショップがアリゾナ州セリグマンにあります。セリグマンで床屋を経営していたエンジェル・デルガディーロは、インターステートハイウエイ40号線が完成したことで廃れていったルート66の復興運動を1980年代に始めました。ルート66を歴史的な道路(ヒストリックルート66)にするため、アリゾナ州ヒストリックルート66協会(Historic Route 66 Association of Arizona)を設立。その立役者エンジェルが1987年にオープンしたのが、エンジェル&ビルマ・デルガディーロ・オリジナル・ルート66・ギフトショップ(Angel & Vilma Delgadillo’s Original Route 66 Gift Shop)。店内は、ノスタルジーあふれるルート66の世界感が醸し出されています。
エンジェル&ビルマ・デルガディーロ・オリジナル・ルート66・ギフトショップの詳細情報
ルート66の終点となる、カリフォルニア州サンタモニカ。観覧車やレストラン、お土産屋が集まるサンタモニカピアには、標識「Santa Monica 66 End of the Trail」が立っています。太平洋に突き出たピア(桟橋)からは美しい夕日が眺められるとあって、1年をとおして多くの人が訪れる場所です。
ピア沿いのパリセーズ公園には、ウィル・ロジャース・ハイウエイ・マーカー(Will Rogers Highway Marker)が鎮座しています。これは、ルート66を使ってハリウッドまでたどり着き、コメディアン・俳優として成功したオクラホマ州出身のウィル・ロジャースを称えたもの。1935年にはルート66の別名として「ウィル・ロジャース・ハイウエイ(Will Rodgers Highway)」が登録されました。なお、Olympic Blvd.とLincoln Blvd.の交差点が正式な終着点といわれており、信号機には標識「Historic Route 66 End Sign」が取り付けられています。
サンタモニカピアの詳細情報
自動車産業の発展とともにアメリカ経済を支えてきたルート66は、アメリカンドリームの象徴としてアメリカ人に認知されています。ジョン・スタインベックは、『怒りの葡萄』のなかでルート66を「マザーロード(Mother Road)」と呼びました。
1960年代にアメリカのテレビ番組『ルート66』が日本でも放映されていたほか、2012年には山下智久がルート66を走破するドキュメンタリー番組『山下智久・ルート66〜たった一人のアメリカ』も日本テレビ系列で放送。また、2006年に公開されたディズニー&ピクサーの映画『カーズ』は、アリゾナ州セリグマンが舞台になっています。
推薦者:菊地俊哉(地球の歩き方アメリカ編 編集担当)