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【インドネシア】バリ島の正月「ニュピ」って?観光客も満喫する方法

地球の歩き方編集室

地球の歩き方編集室

更新日
2026年4月17日
公開日
2026年4月17日
バリ島の新年「ニュピ」の前日に行われる「オゴオゴパレード」の様子

世界中の観光客を魅了する神々の島、バリ島。この島には、一年に一度、空港すらも閉鎖され、島全体が完全な沈黙に包まれる不思議な日があります。それがバリ・ヒンドゥーの元日「ニュピ(Nyepi)」です。今回2026年度のニュピを体験してきたので、前夜の熱狂から、当日の過ごし方まで、観光客がニュピを満喫する方法をご紹介します。

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そもそも「ニュピ(Nyepi)」とは?

バリ・ヒンドゥーの暦を表した図表

ニュピは、バリ島で使われる「サカ暦」の新年で、毎年3月の新月の日がニュピに定められています。その起源は西暦78年、部族間の争いを終わらせ、平和をもたらした賢者アジ・サカの到来に遡るといわれています。最大の特徴は、「静寂をもって悪霊をやり過ごす」という独特の教え。バリの人々は、新年にやってくる悪霊に対し、「この島には誰もいない」と思わせて通り過ぎてもらうために、一切の活動を停止し、静寂を守るのです。

ニュピ当日は、朝6時から翌朝6時までの24時間、4つの禁止事項が課せられます。ひとつ目は仕事や家事など、あらゆる活動の停止。ふたつ目は火や光の使用禁止。リゾートホテル内も最小限に制限されます。3つ目は外出・移動の禁止。飛行機の離着陸も終日停止され、急病など以外での外出は観光客も禁じられます。4つ目が娯楽・欲求の禁止。バリ島内ではテレビの放映も全面停止されます。

現代社会では考えられないような厳しいルールですが、喧騒から離れ、立ち止まって自己を振り返るという意義があります。また、24時間にわたって火や電気の使用が制限され、島全体の活動や移動が停止するため、エネルギーの消費量が大幅に節約され、騒音レベルも劇的に低下するなど環境的にも良い影響があることがわかっています。

「オゴオゴパレード」などニュピにまつわる儀式の数々

バリ・ヒンドゥーの暦を表した図表

ニュピは単一のイベントではなく、前後に行われる複数の儀式も含まれています。ニュピの数日前に行われるのが「メラスティ」という水による浄化の儀式です。バリの人々は真っ白な正装に身を包み、御神体や村の宝物を手に海や川、湖へと向かいます。

「すべては水から始まり、水に還る」という信念のもと、水源の聖水でこれらを清め、新年に向けてエネルギーを充電するというものです。ニュピの前日は、一転して賑やかな「動」の時間となります。日中は「タワール・アグン」と呼ばれる壮大な犠牲の儀式が行われ、大地と空への恩恵に感謝を捧げます。

そして夕刻に始まるのが混沌の夜と呼ばれる「プングルプカン」のハイライト「オゴオゴ」パレードです。若者たちが数ヵ月かけて制作した、悪霊の象徴である巨大な張り子が町を練り歩き、人々は楽器や鍋などを使い大きな音を出し、松明を掲げて悪霊を追い払います。

私が今回体験したのは「アヤナ バリ」のオゴオゴパレード。悪霊の象徴であるオゴオゴは、恐ろしくもどこか芸術的です。何十人もの男たちがオゴオゴを担ぎ、わざと激しく揺らしながらパレードします。悪霊を驚かせて追い出すための熱気と叫び声。人形灯籠を山車に乗せて練り歩く、青森県の「ねぶた」に似た雰囲気も感じました。

ニュピ前日のサンセットセレモニー「メゴボッグ」

シアターが設けられた屋外レストランでのメゴボッグの様子

パレードの後に行われるのが、バリ・ヒンドゥーの人たちがプングルプカンデーのみに行うサンセットセレモニーの「メゴボッグ」です。「アヤナ バリ」内にあるバリの伝統料理レストラン「カンポンバリ」でも、メゴボッグとカルチュアルディナーが行われていたので、参加してみました。

披露されたのは、伝統のケチャやバロンケット舞踊、バロンとランダの舞踊劇、宮廷舞踊のレゴン・クラトンなど、さまざまな儀式とパフォーマンス。バビ・グリンと呼ばれる豚の丸焼きなどバリ料理の粋を集めたビュッフェを堪能し、ニュピ当日に向けて、生命力を蓄える豊かな宴となりました。

静寂で心身を癒やすニュピ当日の過ごし方

「アヤナ バリ」には14ヵ所のプールやスパがある

島内の移動が一切禁じられるニュピ当日ですが、観光客はリゾート内で静かにこの日を満喫することができます。バリ島最大の統合型リゾート「アヤナ バリ」であれば、その過ごし方も多様です。東京ドーム約19個分もの広さがあるため、一日あってもまわり切れないほど施設が充実しています。

朝は、ビーチフロントでサンライズヨガを。鳥のさえずりと波の音しか聞こえないリゾート内で、ゆっくりと呼吸を繰り返せば、「何もしない」という贅沢な時間によって、ゆっくりと心身が解き放たれていくのを感じます。

日中はリゾート内を散策したり、プールでリラックスするのもいいでしょう。また、インドネシア伝統の生薬ドリンク「ジャムウ(Jamu)」作りのワークショップで、ローカルなカルチャーを学ぶのもあり。「自然の恵みをいただき、内側から体を浄化する」というジャムウは、石の臼を使いターメリック、生姜などを丁寧にすり潰して仕上げます。自分で手作りしたジャムウを一口飲むと、ピリッとした刺激と共に、エネルギーが体内に染み渡るのがわかります。

ニュピ期間中、バリ・ヒンドゥーの人々は24時間断食をするのが一般的です。しかし、リゾート内のレストランはオープンしているほか、ルームサービスも利用できるので、観光客が食事に困ることはありません。トロピカルガーデンと池に囲まれた、オールデイダイニング「To’Ge(トゲ)」やインド洋を見下ろすイタリアン「Sami Sami(サミサミ)」、インドネシア料理の「Karang(カラン)」など「アヤナ バリ」は食の選択肢も多彩です。

ニュピの夜は、人口の光が抑えられるため星空観察にぴったり。ホテルの廊下の明かりも非常灯以外に消え、リゾート内はろうそくの明かりがともされていて、なんだか神秘的。みな懐中電灯などの明かりを頼りにビーチ付近に集まり、思い思いに星空を眺めてリラックスしていました。数えきれないほどの星たちが夜空で瞬く姿を眺めていると、時間が経つのを忘れてしまいます。

ニュピの翌日「ニュンバッ・グニ」

ホテル隣接のクブ・ビーチ。ニュピが明けると利用できる

24時間の静寂が明ける翌朝は、火を灯す日という意味の「ニュンバッ・グニ」と呼ばれています。人々は互いに許し合い、新年の抱負を語り合うそう。島に明かりと活気が戻り、通常通り旅人も観光地へ赴くことができます。

バリ・ヒンドゥーの教えに満ちた新年「ニュピ」

様々な制約があるニュピですが、実際に体験してみると忙しない日々の暮らしから遠く離れた時間を過ごせた気がします。大規模リゾートに滞在すれば困ることもなく、むしろゆっくり羽根を伸ばすよいきっかけになりました。自然のエネルギーを五感で感じながらヨガに勤しみ、プールでまどろみ、潮風に吹かれながら食事を楽しみ、星空を眺める豊かなひととき。バリ島の神秘的な新年「ニュピ」で、伝統文化を学び、自分を見つめなおす時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

アヤナ バリ

住所
Jalan Karang Mas Sejahtera, Jimbaran, Bali, Indonesia 80364
電話番号
+62361702222
公式ページ
https://www.ayana.com/
緯度経度
南緯 8度46分15秒、東経 115度09分56秒(-8.7709, 115.1656)

取材協力:アヤナ バリ
TEXT&PHOTO:中森りほ

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