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昭和チックなレトロ家電・大同電鍋を知っていますか? この電鍋をテーマにした書籍や雑誌が近年続々と登場! 2019年秋、東京・日本橋にオープンした誠品生活日本橋でも店頭販売されるなど、台湾発のこの家電が今、日本人の間でもちょっとしたブームになっているのです。今回は、この電鍋を大特集! なぜそんなに人気なのか、どんな料理が作れるのか、はたまたどこで買えるのかなどなど、詳しくお伝えします♪
目次
では、はじめに大同電鍋とはどんな家電なのか、解説をしましょう!
大同電鍋【通称・電鍋(ディエングォ)】は、台湾でよく見かける電気釜のことで、台湾の家庭においては“一家に一台”ともいわれる生活に欠かせない家電です。
なんとなく昭和レトロの趣きを感じさせるのは、なんと日本の家電メーカー・東芝が関わっていたから。台湾に先駆け日本において、1952年に東芝からの依頼で協力会社の光伸社が自動式電気釜の開発に着手。1955年に完成させ、自動式電気釜の特許を取得します。そして東芝と台湾を代表する総合電機メーカー・大同公司(TATUNG Co.)が技術提携をし、1960年に台湾で発売されたのがこの電気釜です。以来、かれこれ60年以上にもわたり愛され続けているロングセラー商品なのです。
1960年に台湾発の自動式電気釜が誕生し、1966年にはなんと、蔣介石の息子で後の総統・蔣経国が大同工場に見学に来ています!
東芝のウェブサイトにも書かれていますが、自動式電気釜の登場前は、炊飯にはかまどなどが使われていました。当時は、炊く人の経験に基づいたノウハウでご飯の出来栄えが左右されてしまい、吹きこぼれや焦げに気を配りながら調理をしていました。それが、自動式電気釜の出現で指定した時間にご飯が炊けるようになり、家事労働にかかる時間が大幅に軽減。生活様式に大きな変化をもたらしたのです。その便利さに多くの家庭が飛びつき、台湾でも電鍋は一気に広まりました。
電鍋の基本的な構造は変わりませんが、2000年にはオールステンレスの電気釜を発売したり、2009年には取っ手を本体と一体成形にしたり、2011年にはカラフルな電気釜を発売したり、時代に合わせ、電鍋も進化しています。そして2015年、とうとう日本向けの電鍋が発売となりました!
なぜ、こんなに長い間愛され続けるロングセラーなのでしょうか。
その理由は、1台でいくつもの調理をこなせることにあります。なんと「炊く」以外にも、「煮る」「蒸す」が出来てしまうのです! 台湾の家庭料理は「煮る」「蒸す」料理が多いため、電鍋が必需品であり続けるのも納得です。加えて「温める」&「保温」が可能なのも、ポイント高いですね。また人によっては、電鍋の外釜でパンを焼く人も! まさに万能家電とはこのことです。
ロングセラーの理由その2は、なんといっても操作が簡単なこと!
水を入れ、スイッチON、本当にこれだけです。
電鍋は外釜と内釜の二重構造。外釜に水を入れると、内釜にある食材を蒸気の熱で加熱する「二重間接炊き」方式になっており、外釜の水がなくなると、自動的にスイッチがOFFに。その後は保温モードに変わります。料理のメニューにより外釜に入れる水の量を変えるだけで、焦がすこともなく調理が可能。
また、スイッチが切れた後、保温状態でふたを閉じたままにしておけば、内と外の温度差により圧力釜状態となり、勝手に食材へ味がしみ込んでくれます。
では、電鍋でどのようなものが作れるのか、いくつかの代表的メニューをお伝えします。
電鍋を購入すると計量カップが付いてきますが、カップで1杯が1合にあたります。
①まず2合から4合まで炊く場合は、水をカップで1杯分、外釜に入れます。
②内釜には洗ったお米を入れて、お米と同量の水を入れます。
③ふたを閉じて、スイッチON。操作はこれだけ!
④あとは15~25分でスイッチがOFFになるので、その後15分程度蒸らせば炊き上がりです。
白米のほか、具材を入れ、調味料を加えれば、炊き込みご飯もできます。
うれしいのが、台湾名物の魯肉飯(ルーロウファン)や鶏肉飯(ジーロウファン)、台湾風おこわの油飯(ヨウファン)なども作れちゃうこと。電鍋の鉄板台湾料理・魯肉飯は、たくさんの方々が電鍋用のレシピを公開しているので参考にしてみてください。
さらに内釜に入れる水の分量を多めにすれば、お粥だって簡単です。大同電鍋公式チャンネルには、ご飯の炊き方をはじめ大同電鍋で調理できるさまざまなレシピを公開しています。
お鍋で調理すると火加減など少々面倒な煮物も、電鍋はお得意!
肉じゃがの場合は下記の手順で。
①牛肉、ジャガイモ、ニンジン、タマネギなどの具材を切り、牛肉に調味料で下味をつけます(これが大事)。
②上記の具材を鍋に投入。だし汁を加え、軽くかき混ぜ、外鍋に水を入れて、スイッチON!
あとは電鍋が調理をしてくれます。私的にはアルミ箔に穴を開けたものを落としぶたがわりに載せると、味がしっかりする気がしています。
出来上がったら保温までしてくれるので、食事時にはあったか~い肉じゃがが用意されています。電鍋の場合、火力や調理時間がちょうどよいので、肉じゃがも煮崩れなし!
なお“具材&調味料ポン!→スイッチON!”が電鍋煮物の基本ですが、水分量には気をつけてください。通常の料理の場合は、煮ているうちに水分が蒸発していくので、材料にその水分量が含まれています。
が、電鍋の場合、ふたを閉め切っているので水分が蒸発せず鍋内に溜め込まれ、さらに具材から水分も出るので、通常の料理レシピの水分量だと味が薄めになってしまいます。そのため、通常の料理レシピで材料を用意するならば、煮物などは水分少なめがいい味を出す秘訣です。
また煮物メニューならば、台湾のコンビニで香る煮卵「茶葉蛋(チャーイエダン)」も電鍋で作れます。
電鍋は蒸気で料理をするため、例えば台湾風の「饅頭(マントウ)」や茶わん蒸しの「蒸蛋(ジェンダン)」などを作るための「蒸す」機能も優れていますが、電子レンジがわりに物を温めることも可能です。例えば冷たくなった「饅頭」を電子レンジでチンすると、ベタついたりしがちですよね。ところが、電鍋の場合、蒸し物用のスチームプレートを敷き、その上にクッキングシートをしけば、ふっくらとした饅頭が復活! そのほか「冷やご飯」などの温めにも利用できるんです。
電鍋レシピは検索すればたくさんウェブサイトがありますので、自分だけのレシピ開発をするのも“電ラバー”の楽しみとなっています♡
いざ購入!という段階になったとき、迷うのがサイズ……。
台湾では3人用から20人用まで5サイズ揃っていますが、日本で現在購入できるものは、6人用と10人用の2種類となっています。
ちなみに台湾では、10人用を使っている家庭が多く、3人用では蒸し物をする場合に内釜のスペースが小さく、お皿などが置けないので、かなり使い勝手が悪い印象です。蒸し物や温め直しではお皿をそのまま置けることが重要なので、最低でも6人用がおすすめです。なお、10人用があれば複数枚お皿が置けたり大きめのお皿が置けたりと便利ですが、キッチンのスペースを取るので、そこは各自の家族の人数や用途に合わせて選びましょう。
電鍋の人気が日本でも高まっている理由のひとつに、カラーバリエーションが豊富で、レトロかわいいデザインも挙げられます。日本では2019年11月現在、レッド、グリーン、ホワイトの基本3色(税込6人用12,800円、10人用14,800円)に加え、雑誌『Mart』とのタイアップで話題になったアクアブルーの10人用(税込15,300円)も展開されています。定番はレッドとグリーンで、ホワイトは2016年に発売された新色です。
台湾ではゴールドやイエロー、パープルなどの限定カラーやキャラクターの入ったバージョンなども販売されています。
色のチョイスは迷いますね。インテリアに合わせて選んでもいいですし、電鍋らしいカラフルな色も捨てがたいですね。
電鍋を購入すると、外釜、外釜ふた、内釜、内釜ふたの基本4パーツに、付属品としてスチームプレート、計量カップ(180ml=1合)、しゃもじが付いてきます。なお、内釜は直火やIH対応にもなっており、水洗いできるのでかなり便利です。また内釜ふたは調理に使用するのではなく、保存の際などに使用するものなので、お間違えのないように。
電鍋の魅力は伝わりましたか?
さて、いよいよ電鍋が欲しい!となった場合、どこで買ったらよいのでしょうか?
一番安心なのは、日本での購入です! 電鍋メーカーの大同日本株式会社が日本でも販売をしているので、これを利用する方法です。
大同電鍋は【Yahoo!Japan ショッピング】でサイトを設けているので、下記でウェブショッピングが可能です。
■Yahoo!Japan ショッピング 「大同電鍋」サイト
・URL: https://store.shopping.yahoo.co.jp/toj/
日本での購入ならば、電話やメールで問い合わせが可能ですので、何かあったときのアフターサービスも万全です。なお、とにかくすぐに欲しいという場合、大同日本株式会社に相談を。先に連絡を入れ、在庫確認などが出来ている場合、秋葉原にある会社での直接引き取りに対応していただけることもあります。ただし会社は販売店ではないので、おつりのないよう準備して行きましょう。
■大同電鍋(問い合わせ先)
・フリーダイヤル:0120-057188(月~金9:00~12:00、13:00~18:00[祝日、休業日除く])
・携帯など(フリーダイヤルを利用できない電話)の場合: TEL 03-5688-2186
日本で販売していないモデルや限定品などを購入したい場合は、台湾現地で購入となります。例えば、スイッチ部分が日本と異なる旧型が欲しい場合や小型の3人用、大型の20人用が欲しい場合は、台湾でしか買えません。また、やはり現地では日本での価格より安いので(2019年11月現在で35%程度安価)、このあたりはお財布事情によりけりです。
台湾で買いやすい方法は下記のふたつ。
フランス系スーパーのカルフールは、旅行者にも利便性が高いスーパー。なんと24時間営業で、ちょっとしたばらまきみやげなども買いやすく、台湾リピーターにとっては必訪のお店。
このスーパーは電鍋の種類が豊富で、サイズやカラーもいろいろ揃っていることも多いので、台湾での購入ならば一度訪れてみたいところです。ただし、安めのものにはスチームプレートなどの付属品が付いていないバージョンもあるので、しっかり確認してから買いましょう。
西門町南部にある下記の店舗は、旅行者の利用も多い店舗です。
■家樂福 桂林店
・住所: 台北市萬華區桂林路1号
・営業時間: 24時間
現地には大同電鍋のショップもあるので、こちらもおすすめです。街中でよく見かけるのが、「大同3C」というショップ。3Cとは“3種の神器”の略だそうですが、専門店だけあって品揃えと付属品が豊富で、グッズなども販売しています。台北市内だけでも数店舗ありますが、大同本社の近くにある下記のショップは利用しやすいですよ。
■大同3C 台北中山門市
・住所:台北市中山區中山北路三段13號1樓
・営業時間:10:00~21:00
なお、大同ショップを探すならば、下記サイトを利用してみてください。台北市内だけではなく、地方のショップも探すことができます。
■大同ウェブサイト 門市査詢
・URL:https://member.tatung.com/StoreLocator/Index
裏技ですが、中国語ができる人は台湾のインターネットショッピングで購入し、滞在するホテルに届けてもらうという方法も。ただし、うまく受け渡しができるかどうかなど不安要素は多いので、あまりおすすめはできません。慣れている人向けの方法です。
下記が大同電鍋のウェブショップのアドレスです。
■大同ウェブサイト 電鍋サイト
・URL: https://www.etungo.com.tw/product_list/992/993/994
結論! 早く確実に手に入れるなら日本での購入、限定品や日本にないサイズものを求めるなら台湾で購入がおすすめです。
現地台湾で購入した場合、問題になるのが持ち帰り方法。かなりかさばるので、どういう方法で持ち帰ったか、ウェブサイトにアップしている人もいます。
まず、機内持ち込みができるかどうか。各航空会社で機内持ち込みのサイズ規定は異なるのですが、比較的多いのは【縦+横+高さ=115㎝】のサイズです。ウェブサイトなどでは、10人用でも機内持ち込みできちゃいました!という方も見かけるのですが、元航空会社勤務の立場から言うと、電鍋サイズのボックスの持ち込みは避けていただいた方がよいかな、というのが本音です。
これらのボックスは座席下には入らないサイズなので、ボックスが入るスペースを探さなくてはなりません。飛行機は機材によって棚自体の高さやスペースが異なるので、この高さのあるボックスは棚に入らないことも多く、その場合、別の預かりスペースを探す必要があります。そのため、預け入れ荷物(受託手荷物)にしていただくと航空会社側は助かります。
預け入れ荷物にする場合、スーツケースに入れてしまう方法とボックスのまま預ける方法があります。
「えっ、電鍋ってスーツケースに入るの!」と驚く方も多いかと思います。実は大型のスーツケースであれば、意外に電鍋が入ってしまうんです。外寸は6人用の高さが約220㎜、10人用の高さは約265㎜。ご自身のスーツケースに入りそうかどうか、測ってみてから試してください。
スーツケースに入れる際にはボックスから取り出し、ふたを裏返して、鍋の内側に衣類など詰め、外側も衣類などでカバーし、スーツケースの中で動かないよう工夫をして収納してください。
電化製品などは、通常この方法を使う方が多いと思います。航空会社によって、預け入れできる荷物の重さは異なりますが、ANAやJALの国際線エコノミークラスなら23㎏以下(ほか3辺の長さ規定あり)、2個まで無料。
注意しなければならないのが、LCCです。航空会社により規定が異なり、荷物は座席やクラス、運賃のカテゴリー、荷物自体の重さによって料金が発生することがあります。
例えばPeachならば、台湾路線はZONE Bのカテゴリーなので、規定範囲内の受託手荷物1個ならプライムピーチとバリューピーチは無料ですが、2個になるとバリューピーチでは2個目に3,200円の料金がかかってしまいます(インターネットで予約の場合)。そのためスーツケースに入れたい!という人も出てきます。スーツケースに入れた場合でも、重さの制限で超過料金がかかってしまう場合があります。これらで料金がかかってしまうと、台湾で安く買った甲斐がなくなってしまいます……。
このあたりは各航空会社で規定が異なるので、現地で購入予定のある人は、航空券を購入する段階から利用会社のウェブサイトでしっかりとチェックしておきたいですね。
なお、受託手荷物にする場合、丁寧に扱ってもらうためにも、空港カウンターでチェックイン時に「こわれものシール=Fragile Sticker」や「こわれものタグ=Fragile Tag」をつけてもらうといいでしょう。
話題の電鍋を買ってみたい、そう思われた方もいらっしゃることでしょう。実際、フォルムがかわいいだけではなく、とても使いやすいキッチン家電です。最近はレシピの公開が増えてきており、あれも作ってみたい、これも……と思ってしまうレシピも多くなってきました。ぜひ、この波に乗って電鍋デビューを果たしてください!
TEXT:トラベル・キッチン ぬくい ゆかり
PHOTO:iStock、大西稚恵、ぬくい ゆかり
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