キーワードで検索
フィッシャーマンズワーフのアイコン的レストランだった。
行った〜!っという方も多いと思うが先々月幕を閉じた。
創業1935年のレストラン、老舗だけあっていろんなところに登場したレストラン。
その一つが『美味しんぼ』 "第15巻究極VS至高" 第6話大海老正月 で店名こそ出てないけど話の筋からしておそらくグロットであろうレストランが登場する。
どんな話だったかといえば…
シドニー転勤が決まっている社員が浮かない表情。 聞けば中2の娘は外国が怖くて外国人が嫌いだから引越しを嫌がっている。 アレルギーじゃないのに海老とカニが食べられないそうだ。 その原因となったのが、小3の時家族旅行で行ったサンフランシスコ・フィッシャーマンズワーフ。 周辺の匂いとレストランで出された鮮度の落ちたロブスターだった。 あまりにひどかったので作り直してもらうように頼んだらシェフがキッチンから現れそのロブスターを投げつけたそら恐ろしい体験が原因。 子供にしてみたら真っ赤な赤鬼みたいなわけだ(日本昔話に出てくる鬼って日に焼けた白人だった説もあるくらいなのでね) 以来外国が大嫌いになったという… 年間千万人の観光客が訪れるフィッシャーマンズワーフでの出来事、料理を投げつけた衝撃的な描写や胸が痛くなるような話だった。
多くの方がご承知と思いますが、この漫画グルメ漫画の草分け的存在で、山岡士郎・海原雄山親子の食に絡めた人間関係を描いた長編漫画。 父・海原雄山は100年に一度の天才芸術家で、北大路魯山人を思わせるキャラ。
ここでずいぶん昔の本を紹介します。 『魯山人の料理王国』
美味しんぼのストーリーはここからヒントを得たものがよく出て来てフィッシャーマンズワーフもそう。
その魯山人本人は、1954年(昭和29年)ロックフェラー財団の招聘で展覧会や講演を兼ねた欧米旅行をしてハワイ経由でサンフランシスコにも立ち寄っている。 日本の友人宛に各地の食に関して手紙を書いている事が料理王国で書かれている。
これもざっくり話すと、
サンフランシスコでは、フィッシャーマンズワーフ・グロットで伊勢海老(多分ロブスター)を食べた事を手紙に書いている。「ここの伊勢海老は日本の伊勢海老より優れてやしないかと思った」と嬉しくなるような文面が記されている。 そしてサラダの美味しさも褒めていた。 産地が近くにあるのでレタスを食べたのはないかと思うけど「歯ごたえがちゃんとあり味があった」と書いていた。 その時から魯山人も驚く美食都市だったのがうかがえる。
ついでに言うと、訪問地パリ、ツールダルジャンでは、鴨(合鴨)をワサビ醤油で食べその方が美味かったという魯山人の手紙もあった。 この事は美味しんぼでも同じようにわさび醤油をかけて食べている場面が描かれてある。
北大路魯山人も訪れ絶賛したフィッシャーマンズワーフグロット81年の歴史終止符です。
今回はちょっとしゅんとした話だったけど "思い出のレストラン" と言う方も多いのでお知らせです。
読書の秋になりにけり…。