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イギリスでの新型コロナウイルス COVID-19に関する状況は、まだ一進一退。本日2020年5月12日現在で公表されているだけでも、感染者数22万3060名(そのうち死亡者3万2065名)となっています。
そんな状況を鑑みて、5000年の歴史あるセレモニーも2020年は中止が決定したことが、本日報じられました。
それは古代遺跡ストーンヘンジでの、夏至祭。今年も6月21日に夏至となり通常ならば大勢の人々が集い、古代ここで行われていたとされる太陽礼賛の儀式が予定されていました。しかし現在の感染状況を鑑みて中止。
また6月というとイギリスでは、ウィンブルドン・テニス杯も恒例行事。2020年は6月29日~7月13日に開催される予定でしたが、こちらもすでに中止が決定しています。
そんな昨今、去る5月10日にはボリス・ジョンソン首相が今後の規制措置について新たな指針を発表しました。これに関して在英国日本国大使館から在留邦人メーリングリストへ送られた連絡が分かりやすかったので、以下のとおり一部引用させていただきます。
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5月10日,ジョンソン英国首相は国民向けスピーチを行い,新型コロナウイルス・アラート・システム(Covid Alert System)の導入,現在導入されている規制措置に関する今後の緩和見通し等を発表しましたので,その概要についてお知らせいたします。
在宅勤務不可能な者の出勤奨励,屋外での運動の制限解除等,これまでに導入されている規制措置が緩和される点もありますが,現時点ではいずれの場合にも社会的距離を保つ必要があるとされています。ご不便な日々が続きますが,今後,規制措置が更なる緩和となるまでは,不急不要の外出は控え,社会的距離の確保に努めるようにしてください。
本スピーチ全文については,英国政府HPをご参照ください。
5月10日,ジョンソン英国首相が国民向けに行ったスピーチの概要は以下のとおりです。
1 規制措置緩和のための5つの条件
現在導入されている規制措置を緩和するには5つの条件を満たす必要がある。
○ NHSが守られていること
○ 死者数が持続的に減少していること
○ 感染者数が持続的に相当数減少していること
○ PPE(個人用防護具)を必要とする人々への十分な供給という課題が解決されていること
○ R値(感染症の再生産率)を1以上にならないようにし,数週間前に直面したような指数関数的な増加に確実に戻らないようにすること。
2 新型コロナウイルス・アラート・システムの導入
新たな合同バイオセキュリティ・センター(Joint Biosecurity Centre)によって運営される新型コロナウイルス・アラート・システムは,5段階とされ,R値及び感染件数によってレベルが決定される。各レベルは社会的距離の制限措置の程度を強弱で表し,レベルが低いほど措置も緩く,レベルが高いほど措置は厳しくなる。ロックダウン期間中はレベル4とされ,現在,レベル3に向かう段階に入りつつある。
3 段階的な規制緩和
○第一段階: 5月11日(月)からは在宅勤務が不可能な職業(建設業や製造業等)の者の出勤が奨励されるべきである。出勤の際は,社会的距離を維持するために,可能な限り公共交通機関を避け,出来れば車,徒歩,自転車を利用して欲しい。
5月13日(水)からは,屋外での運動を制限しない。屋外での運動(公園での日光浴やドライブ,家族でのスポーツ)が可能となる。ただし,社会的距離の規則には従わなければならず,規則を破る者については罰金を増額する。
日々のR値及び新規感染者数,成果をモニターし,条件を満たし始めた場合には,数週間・数ヶ月の後に更なる緩和ができるかもしれない。
○第二段階: 最速で6月1日(ハーフターム終了後)から,店舗の段階的な再開や小学校に生徒を段階的に戻せる状況にあるであろうと信じている。
○第三段階: 条件及び更なる科学的アドバイス次第ではあるが,各種データの裏付けが得られれば,最速で7月から一部のホスピタリティ産業及びその他の公共の場を,安全性と社会的距離が守られることを前提に再開したい。
4 英国入国時の隔離措置の導入
海外からの再感染を防ぐため,感染の程度が相当低くなった段階で,英国へ空路で入国する者に対し,隔離措置を導入する。
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ウイルス感染拡大の抑え込みが最優先ながらも、深刻な経済恐慌は回避したいというのは各国共通の課題。今後の規制緩和について、イギリス政府による慎重な方策が望まれています。