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北イングランドのスカボロー、アン・ブロンテのお墓と「パラダイス」を訪ねて

小野 雅子

小野 雅子

イギリス特派員

更新日
2020年12月1日
公開日
2020年12月1日
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今夏は娘ファミリーが住む北イングランドのヨークシャーに、しばらく滞在していました。夏季だったので海辺の町スカボローにもたびたび行き、のんびり楽しく過ごすことができました。

そんなある日、スカボロー・ビーチから30分ほどで行ける丘の上まで歩いてみることに。中世の古城が残り、また丘の上から眺める海も美しく、いい散策でした。

スカボロー城のすぐ近くには、これまた14世紀に建てられたという古い教会が。

これはセント・メアリーズ・チャーチ(聖マリア教会)。教会そのものを見ても、14世紀に建てられただけあって威厳に満ちているのですが……ここはブロンテ姉妹の末っ子、アン・ブロンテのお墓があることで有名なんですよ。

ブロンテ一家は彼女以外の全員が、一家で暮らしていた町ハワースの教会に埋葬されたのですが、アンだけは療養のため滞在していたスカボローで亡くなったからです。当時(1800年代中期)は衛生的な輸送技術もなく、仕方なかったのでしょう。

とはいえ後年ここから分骨して、いまは家族が永眠するハワースの教会床下にも埋葬されているそうです。仲のよかった姉たちと一緒で、きっとアンも喜んでいると思います。

将来このお墓を訪ねてみたい方に、ひとつ小さなアドバイス。彼女のお墓は教会に近いほうの墓地ではなく、こうして道を隔てたほうの墓地にあるんですよ。

駐車場にも隣接しているのでそちら側に行き、上の画像で何人かの人がいるところの右手に、アン・ブロンテのお墓があります。

また、教会から海に面した方角を見やると……「パラダイス」と名づけられた一角が。

凪いだ海がキラキラ光る、心休まる風景が広がります。この墓地に眠る故人をしのび、愛した人の魂がいまは楽園にいると信じて……そんな想いが伝わってきます。

ブロンテ姉妹の小説と同じく、美しくてちょっと哀しい「パラダイス」です。

■セント・メアリーズ・チャーチ(St Mary's Church)

・住所: 168 Castle Rd, Scarborough YO11 1HY

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