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【アメリカ銀行】商才溢れたバンカーA.P.ジア二ーニの話

美丸(Mimaru)

美丸(Mimaru)

アメリカ・カリフォルニア州特派員

更新日
2021年3月9日
公開日
2021年3月9日
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▲旧イタリア銀行ビル

1904年10月、ノースビーチに、イタリア銀行(Bank of Italy)がここに設立されました。

イタリア移民向けに小口預金・小口融資から始まり、今やアメリカ国内の支店数4244店のメガバンク"アメリカ銀行(bank of America)"の始まりがここです(2019年時点:①Wells Fargo5469 ②Chase5023 ③Bank of America)創設者は、サンノゼ生まれのイタリア人アマデオ・ピーター・ジア二ーニ(Amadeo Peter Giannini)通称、A.P.ジアニーニ

▲テラー

今は紳士服のブティックになっていますが、当時のままきちんと保存されています。銀行の頃は、ここは窓口(Teller)だったのが分かります。

「いらっしゃいませ、本日はご入金でしょうか?」って感じですかね。

当時にしては珍しく、英語以外のイタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語ができる行員がいました。(顧客獲得のために容姿もなかなかだったそうです^ ^)

▲金庫

ここは、金庫室(Vault)だった所。

A.P.ジアニーニが、顧客獲得の為に、"お国言葉"をきちんと理解するスタッフを雇ったのは、従来の主力銀行から見捨てられたような経済的、社会的にも弱い移民。英語の読み書きがうまくできず、彼らにとっては"銀行は近寄りがたい場所"だったので、稼いだお金はタンス預金でした。ジアニーニは、銀行の広告を出し、各家庭をまわり、その人の言語で説明し、書類の書き方を手伝い預金者を獲得していきました。また、大手銀行から見捨てられてるような労働者階級の人達も顧客として受け入れ獲得していったのですね。オラが町の銀行"ピープルズバンク的な存在"だったのです。

移民の方達、労働者の方達の血と汗と苦労のお金がここに入っていたのです。

▲地下にも

▲天井

ゴージャスな天井に重厚な柱やドア。

ここにやってくるお客さんは、決して裕福ではありませんでしたが、ここに来るとリッチな気分になったのは間違いありません。銀行とは、地域の人達から大切なお金を預かり、その人達のニーズに応えて融資する…そんな本来の業務がここにあったような気がします。

銀行家A.P.ジア二ーニは、1870年サンノゼで生まれました。両親ともジェノバ近郊の出身で、カリフォルニアにアメリカンドリームを求めてやって来ました。宿泊所の経営で資金が貯まり、サンタクララに農地を購入、農業を始めますがお父さんは数年後亡くなってしまいます。お母さんは、同じくジェノバ出身の人と再婚、サンフランシスコのノースビーチで新たに農産物の仲買を始めます。まだ子供のジアニー二も手伝うことになるのですが、人なつこく働き者の少年だったようです。大人になったジアニーニは、ノースビーチの資産家の娘と結婚。不動産業を経て、金融組合の役員株主でもあった義父の地位を引き継ぎ運営を始めましたが、ジアニーニの意見は全く聞き入れられず、結局は自分で銀行を起こす方向へ進みます。

▲支店1号

イタリア銀行初の支店。今でこそ"支店(Branch Banking)"での営業は当たり前ですが、ジアニーニが銀行を立ち上げた時代は、銀行は単体でしか営業していませんでした(単一銀行制度)。昔々は今と同じく支店を持って営業していたのですが、南北戦争以降、単体で営業が一般的になりました。しかし、ジアニーニはお客さんの住んでいる場所じゃないとお客さんには不便じゃないか?職種によっては季節によって融資が必要な時期が違うし単一店だけでは対応できない!そして、"野心"ウォルストリートにヒト泡ふかしてやりたい!幸い当時カリフォルニア州では支店設置禁止の法律が無かったので、細々と支店を増やすことができたようです。1906年サンフランシスコ大地震以降、南部に人が動き始め、L.Aをはじめ南カリフォルニアは、一気に繁栄していきます。映画産業にも投資、自動車ローンも始め、1928年LAのバンク・オブ・アメリカのマネージメントがきっかけで『Bank of America』と改名します(ネームバリューでアメリカ銀行となりますよね)

▲歴史を感じる窓口、テラーは中国語OK!

州を超えて支店設置ができるようになったのが1994年。1998年ノースカロライナのネーションズ銀行(Nations Bank)が、バンカメを買収、本来ネーションズ銀行になるのがネームバリューでアメリカ銀行。生前A.P.ジアニーニの口癖だった「アメリカの端(西)から端(東)まで網羅する町の銀行」の夢がかなったことになりました。国内どこでもバンカメのATMがあり出張先でも心配無用。

お世話になっているバンカメさんのちょっとした昔話でした。

【Bank of America】

URL:https://www.bankofamerica.com

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